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紙の本
古代末期 ローマ世界の変容 (文庫クセジュ)
著者 ベルトラン・ランソン (著),大清水 裕 (訳),瀧本 みわ (訳)
ローマ帝国の帝政後期から中世へと変化する時代を、古代の衰退ではなく、古いものと新しいものが共存する豊かな時代ととらえ、キリスト教の広まり、学問・芸術面の変化などさまざまな...
古代末期 ローマ世界の変容 (文庫クセジュ)
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商品説明
ローマ帝国の帝政後期から中世へと変化する時代を、古代の衰退ではなく、古いものと新しいものが共存する豊かな時代ととらえ、キリスト教の広まり、学問・芸術面の変化などさまざまな角度からその多様性を解説する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ベルトラン・ランソン
- 略歴
- 〈ベルトラン・ランソン〉古代末期を専門とする研究者。
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帝国の変化
2024/02/18 00:49
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投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
ローマ帝国の歴史は、草創期、黄金期、そして衰退期にわけられると考えられてきた。
476年に西ローマ帝国が消滅するまでの数世紀を衰退期と考え、巨大な帝国が分裂し変質していって滅んだ後に暗黒の中世へと突入していくという考え方だ。
だがこの古き良きものが失われていく時代という考え方が実は間違っていて、この古代末期には古いものと新しいものが共存した豊かな時代であったと著者は述べる。
それまでの「ローマ的」なものに、新しいものである「蛮族」の影響とキリスト教会という新たな権力が加わり多様性に満ちた時代であったとする。
古代末期はセウェルス朝の終焉からディオクレティアヌス治世の前半である「三世紀の危機」と呼ばれる時代、ディオクレティアヌスからコンスタンティヌスまでの「四帝統治」の時代、コンスタンティヌス二世からテオドシウスまでのキリスト教会が勢力を伸ばしていく時代、そして東西ローマ帝国と蛮族侵攻の時代へと変遷していく。
西ローマが蛮族との戦いで疲弊し領土を失っていく中でも、東ローマはコンスタンティノポリを中心に経済的に繁栄していたが、キリスト教内部での宗教対立が激化して政治にも影響をもたらし、フン族のトラキア侵攻ではアッティラに貢納するという脅威もあった。
この中でも蛮族問題に対してローマ軍が直面した問題や、経済の変転として通貨や税制、農村での問題、都市への食糧供給と窮乏について詳しく語られています。
ローマ末期とキリスト教会の関係は切り離せないものがあるが、一世紀前半に発生し時に迫害を受けながら、四世紀には少数ながらも強力な宗教として帝国内に拡大していた。
キリスト教が国教となりそれまでの古代文化は滅んだのではなく、キリスト教が古代文化を吸収し、古典文化にヘレニズム化された聖書文化を加えて後世に伝えたのが古代末期の主要な特徴だそうです。
そして権力という意味でも、古代都市で政治の中心となっていた都市参議会は負担の増大を理由に参加者を減らしていき、その空白となったところへキリスト教会の司教たちが穴を埋めていった。
それに伴いそれまで娯楽として広まっていた演劇、剣闘士競技、戦車競走、音楽、踊りや鯨飲飽食、売春を避けて貧者や病人への救済を尊ぶようになる。
キリスト教以外の異教はもちろん、キリスト教内の異端も排除され、堅牢なピラミッド型の集団が確立していく。
古代末期とは古代文化の莫大な遺産を引き継ぎ変容させて次世代へと引き渡した誕生の時ともいえる。
それを宗教、政治、経済、道徳などから多角的に論じた本でした。