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商品説明
昭和44年、筑豊。主要産業の炭鉱が衰退するなか、荒々しい気質だけは健在だった。いずれはこの地を支配すると目されるヤクザ組織「海衆商会」主催の賭場で現金強奪事件が発生。主犯のチンピラ・菱谷松次に対し、同会若頭・中場杜夫の厳しい追及の手が伸びる。運命の邂逅はやがて、筑豊ヤクザ抗争の根底を揺さぶる巨大な奔流へ―。激動の土地と時代を駆け抜けた男たちの苛烈な人生讃歌!【「BOOK」データベースの商品解説】
昭和44年、筑豊。いずれはこの地を支配すると目されるヤクザ組織「海衆商会」主催の賭場で現金強奪事件が発生。主犯のチンピラ・菱谷に対し、同会若頭・中場の追及の手が伸びる−。激動の炭鉱地域を舞台に描く青春群像。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
西村 健
- 略歴
- 〈西村健〉1965年福岡県生まれ。東京大学工学部卒業。「劫火」「残火」で日本冒険小説協会大賞、「地の底のヤマ」で吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。著書に「ビンゴ」など。
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紙の本
平成の『青春の門』
2014/08/28 16:14
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投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストーリーの入り方は、いつもの如く、謎めいている。
何だろう、誰だ。
著者の短編を読みなれている人は、次の場面展開で謎解きの答えがあることを知っている。ゆえに、ページをめくるスピードが速くなる。それでいて、先の章での謎解きの布石が打ちこんであるので、流し読みするのもモッタイない。
舞台は筑豊田川。
五木寛之氏の『青春の門』で、あまりに有名になった場所だった。さらに遡ると、火野葦平の『花と龍』、夢野久作の『犬神博士』など。炭鉱町は日本でありながら、暴力と権力が混在する自治区でしかない。そこには人種も国籍も関係ない。社会の底辺で生きる人々は、さらに地底にまで降りていく。筑豊田川を知らない人には、こんな暴力的な、こんな無法地帯が存在するわけがない。そう固く信じてしまうだろう。
しかし、なにか、日常生活とは大きくかけ離れた世界に引き込まれる。これは、人間がもつ野生の本能なのかもしれない。目が覚めたら起きる。腹が減ったら「うまい」物を食う。快楽を求めることに解釈は無用。知らないことは「知らない」。幕藩制度であろうが、近代法治国家であろうが、所詮、人間が考えたこと。それを全て取り払って、人間の本能と知恵で生きたらば、こういう社会構造を形成する。そんなストーリー。
受け止め方は読み手が感じれば良い。しかしながら、内容は平成版『青春の門』とでも評しておきます。
(大藪春彦賞受賞作)