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遊郭狂奔 (幻冬舎時代小説文庫 妾屋昼兵衛女帳面)
著者 上田 秀人 (著)
妾屋稼業に安息なし。山城屋昼兵衛と大月新左衛門は、八重を妾にせんとした老舗呉服屋の主をやり込めたことで恨みを買った。その執念は町方を巻き込み、ついには吉原に飛び火。妾屋を...
遊郭狂奔 (幻冬舎時代小説文庫 妾屋昼兵衛女帳面)
妾屋昼兵衛女帳面六 遊郭狂奔
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商品説明
妾屋稼業に安息なし。山城屋昼兵衛と大月新左衛門は、八重を妾にせんとした老舗呉服屋の主をやり込めたことで恨みを買った。その執念は町方を巻き込み、ついには吉原に飛び火。妾屋を潰して客を奪おうとの欲に駆られた吉原惣名主は、ご免色里の立場を利用して圧力をかける。命を顧みぬ刺客が山城屋に殺到。猛攻をはね返せるか?波乱の第六弾。【「BOOK」データベースの商品解説】
山城屋昼兵衛と大月新左衛門は、八重を妾にせんとした老舗呉服屋の主をやり込めたことで恨みを買った。その執念は町方を巻き込み、ついには吉原に飛び火し、吉原惣名主が圧力をかけてきた。山城屋は猛攻をはね返せるか?【「TRC MARC」の商品解説】
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大月新左衛門身辺の変化が待ち遠しい
2014/05/25 21:13
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
上田秀人の妾屋シリーズももう6作目である。江戸時代に妾屋などという商売があったのか否かは分からないが、とくに抵抗感なく受け入れられる。様々な敵と対する妾屋山城屋昼兵衛とその腕の立つ用心棒、大月新左衛門であるが、各々の関係は変わらない。良くもあるし、悪くもある。そろそろ、変化があっても良いのではないか。
痛快なのは、大商人の嫌がらせを受けたが、直ちに山城屋との関係の深い将軍お気に入りの小姓組頭、すなわち側用人に強訴する点であろう。躊躇はしない。貸し借りの関係、つまり利害関係がはっきりしているので、迷っている必要はないようだ。
ところが大商人も黙ってはいない。たかが妾屋と侮っている。大商人にも当然後ろ盾はいる。若年寄である。ところが、この若年寄も将軍側用人には身分の上では当然凌いでいるのだが、やはり将軍には勝てない。そこで、大商人は山城屋の商売仇である吉原をけしかけて、営業妨害を試みるのである。
今回はストーリーが整理されている。大月の刀の冴えを披露する場があまりなかったので、それを期待する向きには物足りなかったかも知れない。同じく、山形将左の出番も少ないが、それでも本編では儲け役かも知れない。
南町奉行も登場する。吉原と山城屋の戦いでは町方は場合によっては役柄上、介入せざるを得ない。しかし、この奉行も将軍の寵臣である小姓組頭の勢力下にあった。加えて、吉原も一枚岩ではなかった。
そういう状態で山城屋対吉原の戦いが始まるのである。吉原の風習や忘八と呼ばれる男衆の存在など、上田の他の小説で読んだような気もする内容ではあったが、なかなか興味深い争いに仕上げている。
対外的なストーリーは毎回変化するのだが、たとえば、大月と同じ藩にいた有能な側室との関係は、小説の中でもたしかに書かれてはいるが、ほとんど進展していない。そろそろそちらも面白くして、読者の期待に応えてもらいたいものである。そうしないと、このシリーズが終わってしまうような気がして仕方がない。