紙の本
自分で選択するということ
2014/07/13 17:44
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Cosmopolitan - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界に影響力を持つ医学会が提唱していることは、もちろん信頼性があるし、日進月歩の医療会の中で今日まで正しいとされてきたことが、明日覆されることだってある。世界基準と日本基準があまりに違いすぎることは良い事だとは思えない。
医療保険の整備が行き届いてないアメリカ、高い割合で整備されている日本。それは無駄も横行するでしょう。病院にとっては、やらずに見つからないより、やって見つからない方が安全だから。でもそれは全く患者側のことは考えられていなし、病気になった時の選択肢も与えられない。よっぽど関心を持って調べて自分から意見しないと、中々「選択」という道は開かれない。勇気を持って発言したところで「やっかいな患者」という目で見られるのが現実。セカンドオピニオンを言葉にしようものなら激怒する医者も、実際多い。
親は一週間に二回もPETをさせられた。経過観察で3ヶ月に一回も胸部CTを取られている。明らかにやり過ぎだと思う。今はまったく重篤ではない。PETに至っては保険が効いても4万前後するのに、術前に近い感覚で3回も取った。この本を読む前から、ただの乱用にしか思えなかった。それが私自身だったら、絶対に拒否したと思う。術前にかなり腫瘍が小さくなってきたにも関わらず、さらに様子を見てからの手術を希望したのに手術を押し切られた。ただ言われるがままに医療を受けることは、今の日本においては必ずしも安全とはいえないと思う。自分の目で見て、きちんと判断することは本当に大切だと痛感した。日本でも無駄撲滅キャンペーン始まるといいのだけど。
ただし、白人、黒人、黄色人種、それぞれ体格や骨格が違うように、基礎体温や摂取に必要なものが違う。たとえば、アメリカ人は日本人とは真逆で顔も身体も成熟している。だから、小麦や生野菜を消化するのに適した胃を持ち、シャワーでの生活に対応出来る体を持ち、糖分の摂取も多い。日本人は身体も未成熟で温野菜を摂取する必要がある胃を持ち、きちんと湯船に浸かるべき体を持っている。そして、塩を取ることで骨を強化しているのだ。だから、糖尿病の数値など、やはり日本人に適した数値など、民族に合わせた基準が必要だと思う。
どちらにしても、もっと「患者の立場」に立った医療を日本も進めていってくれることを心から願う。正直、特に総合病院は利益優先主義で、医者が王様みたいな人ばかりで、いい医者に出会えるのは、中々少ない。何が必要で、何が必要でないのか。本当のところを教えてくれる人はまだまだ少ないので、この本は貴重だと思う。だから、みなさんにも参考になると思います。
投稿元:
レビューを見る
本書は米国の『Choosing Wisely(賢く選ぼう)』キャンペーンに言及し、見直した方がいい医療が、医療を受ける側の立場として紹介してある。
『Choosing Wisely(賢く選ぼう)』は、米国の71の医学会が参加して、不必要な医療(行為)を基本的に5つずつ揚げ、無駄な医療の撲滅を目指した医療キャンペーンxで、2013年までに既に50の学会が、合わせて250前後の医療行為に不必要を認定したと。米国のみならず、日本にもこういった活動が普及していくと思われる。というかそれを強く希望する。
本書では、本書では100の”受けたくない医療”が『Choosing Wisely』キャンペーンから紹介されているが、”"日本でその医療を受けると○○円”"といった日本の場面に置き換えて分かりやすく情報を紹介されているので、イメージが浮かびやすかった。
また、本書の主眼は、この個々の医療行為における注意喚起情報を挙げることではなく、医療を受ける側の人間が、如何に情報と選択に向き合うかということにあると思う。
その上で、米国で展開されている『Choosing Wisely』キャンペーンのようなものが、日本でも動き出すことを期待しているように読み取れる。
一般書で分かりやすく書かれているけども、医療に携わるスタッフも必見必読だと思う!
----------------
【内容(「MARC」データベースより)】
世界に影響力を持つ米国のおよそ50の医学会が提唱する「絶対に受けたくない100の医療」をまとめました。
「本当にこの診断、治療、予防に意味があるのかな?」。米国の医師らがそんなモヤモヤを一刀両断。
海外の発想から大胆に日本の医療に切り込んでいきます。日本の医療に転機をもたらす意欲作です。
———————
【著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)】
室井/一辰
医療経済ジャーナリスト。石川県金沢市生まれ。東京大学農学部獣医学課程修了。大手出版社を皮切りに、医学専門メディアや経営メディアなどで全国の病院や診療所、営利組織や公的組織などに関する記事を執筆している。海外取材も豊富で米国、欧州、アジアなどの医療、バイオ技術に関する取材経験がある。現在は、ニュース情報サイト「Business Journal」で医療関連コラムを連載中
————————
【目次】
【第1部】こんな医療では治らない!
その医療は本当に必要か?
無駄が無駄を呼ぶ5つの背景
なぜ無駄な医療は止まらない?
人には言えない医療側の大人の事情
「治らない治療」を撲滅せよ!
米国で始まった無駄撲滅運動とは
【第2部】「受けたくない医療100」を一挙公開
「肺癌のCT検査は、ほとんど無意味である」(米国胸部医師学会、米国胸部学会)
「精神疾患ではない若年者には、『まず薬』で対処してはいけない」(米国精神医学会)
「大腸の内視鏡検査は10年に1度で十分である」(米国消化器病学会)
「6週間以内の腰痛には画像診断をしても無駄である」(米国家庭医学会)
「4歳以下の子供の風邪に薬を使ってはいけない」(米国小児科学会)
「リウマチの関節炎でMRI検査をするのは無駄である」(米��リウマチ学会)
・・・など
【第3部】“無駄な医療”を追放しよう
無駄撲滅運動は日本でも広がるか?
実現に立ちふさがる医師と患者のそれぞれの壁
専門学会が設定している基準値にNO!
医療費の急増を前に動き出した保険者
----------------
投稿元:
レビューを見る
挑発的なタイトルですが、中身は、アメリカの医学界でこれまで慣習的に行われることが多かったけれど、研究の結果十分な有用性が認められない医療について情報共有をしようとする「Choosing Wisely」運動の成果を、日本人にわかりやすく伝えようとするもので、非常に説得力のあるものでした。
「医学」というのは、扱う対象があまりにも複雑であるため、自然科学と言うよりもむしろ社会科学の方に近いのではないかと思うことがありましたが、この本を読むとやはりそのような感じです。医学的妥当性というのは、経済学的妥当性と実は似たようなものなのではないかという印象を受けました。
でもそれだけに、権威者の言や伝統的な方法を盲信するのではなく、最新の客観的データに基づいて判断し、普段に正しい医療についての見直しを行うことは重要なのではないかと思います。
日本でも、ぜひこの Choosing Wisely のような動きが広まって欲しいものです。
投稿元:
レビューを見る
「念のため」「万が一」が無駄な医療を増やす。それなりに根拠はあるようだが、どうなんだろ?胸部・腰部のX検査には意味がないってのは衝撃だったけど。あと大腸内視鏡検査も10年に1回でいいとか。
投稿元:
レビューを見る
米国で各医学系学会が公表している「choosing wisely」の内容をかいつまんで紹介した本。
臨床データに基づいて、必要性の低い検査、治療法を示す。
健診で必ず実施される胸のX線検査など、即刻廃止して欲しい。
癌も、「いきなり手術」はダメらしいです。
投稿元:
レビューを見る
先月、医者から進められるままにMRI検査をした
ばっかり。この本にもう少し早く出会っていれば、
受けなかったのに。
これからの健康診断にはこの本で得た知識を活用
していこうと思う。
〈本から〉
「アスペルガー症候群」はもう存在しない
”関係者”の思惑で疾患が増える不都合な現実
一般に名称がなくなったとはあまり知られていない
かもしれないが、「自閉スペクトラム症」という
診断名に統合されている。
CT検査、善意の裏に悪意の影
医療側の責任回避が患者の被爆リスクを高める
(略)CT検査を受けたことのある若者を対象に
ガンの危険度を調べた。結果として、英国の
研究では、白血病や脳腫瘍が3倍近くも増えると
わかった。(略)
臨床研究の結果で医療の常識が激変
(略)
この10年近く、根拠に基づく医療の登場で医療
現場は激変した。過去に「よかれ」と思われてきた
治療の常識が、臨床研究の結果をきっかけに全否定
されて、世界中の医師がひっくり返る事例がいくつも
出てきたのだ。有名な事例には事欠かないが、一つ
紹介すると、心臓病の一つである「心房細動」の
治療法が覆った2002年の臨床研究の結果がそれだ。
(略)「死亡を防ぐ効果がある」と追認する結果が
出るとの想定は否定されて、逆に「効果は全くない」
との結論が出てしまったのだ。(略)
前立腺ガンの検診のために安易に「PSA検査」をしない
(略)
ガン検診がメリットばかりではなく、短期的には
むしろリスクにつながる可能性があることは意外と
知られていない。検査を受けたことで、かえって
合併症を引き起こす恐れもあるのだ。(略)
前立腺ガンでは11年間で1人の死を防ぐために、
1055人を検査し、37人を治療する必要が
ある(略)
乳ガンや大腸ガンんについても、10年間で
1人の死亡を防ぐためには1000人を検査する
必要があると分かっている。10年を下回る平均余命
の場合には、これら3つのガンの検診は短期的な
有害性を起こすばかりでほとんどメリットがない。
リスクとリターンの観点は必要だろう。
低リスクの前立腺ガンは安易に治療を始めない
肺ガンのCT検診はガイドラインより頻繁に行わない
大腸ガンの内視鏡検査は10年に1回で十分
米国外科学会はChoosing Wiselyで、平均余命次第
では、大腸ガン検診はそもそもいらなくなるという
見方を示している。「大腸ガンの検診に際して、
無症状で平均余命が10年を切っており、大腸ガン
の家族歴や既往歴がない場合は実施を避けるべき
である」というものだ。
無用な胸部X線検査はするべからず
軽度の頭部外傷でCT検査をするべからず
腰痛だからと休養しない
北米脊椎学会は、「腰痛の治療のために48時間
以上横になって休む処置は推奨しない」
リウマチで安易にMRI検査をしない
変形性膝関節症にグルコサミンやコンドロイチンは
効果なし
重傷ではないぜんそく、気管支炎で胸のX線検査を
しない
投稿元:
レビューを見る
米国で無駄撲滅運動が始まり、根拠に基づく治療が浸透し、従来の常識が全否定される例も出てきた。8割の医師が参加するChoosing Wizelyキャンペーンのリストから、100点を紹介する。
獣医を含め医者は治す人のイメージでしたが、口蹄疫や鳥インフルなど殺処分で根絶と、動物だと違うんだということを再認識。
投稿元:
レビューを見る
大腸の内視鏡検査。日本でも5年ないし10年とありましたが、わたしは2年と言われました。所見無しでです。健診で肺のX線で所見ありで、「再撮影、できればCT」と言われましたが、断ったこと有ります。長期間で自覚症状無しとかありえないと考えたからです。医師の言われるがままの現状から、まずは選択肢の提示をお値段込みで義務付けて欲しいものです。
投稿元:
レビューを見る
米国から始まった「Choosing Wisely」(http://www.choosingwisely.org/)の翻訳本。
ただ、タイトルに「絶対」などと書いてある時点で、誤訳がありそうな気がする。。。あくまで参考にとどめて正確な情報はオリジナルサイトを確認した法が良いかな?
投稿元:
レビューを見る
米国の医学界が不要・不適切としている治療方や検診が、日本ではさかんに行われているということはわかったが、といって、ここに記載された100項目は、あまりに専門的すぎて、読んでもどうにもならないな。
まあCTスキャンをやたらに勧める医者は怪しいということだけはわかった。
手術や検査も同様。
でも、そうでない医者っているのかな。
投稿元:
レビューを見る
100もの検査や治療行為について、こういう場合は無駄だ、という指摘をしている。内容は、たぶん、まとも。実用性は、どうかな?
投稿元:
レビューを見る
アスペルガー症候群はもう存在しない。自閉スペクトラム症と統合された。
安易にPSA検査をしない。有害性が大きい。余命10年以内なら不要。
前立腺がんに陽子線治療を行わない。治療費が高い。
早期の乳がんは骨への転移検査をしない。検査による放射線の危険。
65歳以上は子宮頸がんの検診は不要。
大腸がんは10年に一回の検査でよい。
PETCT検査は無用な放射線被ばくの可能性がある。
腰痛は6週間以内はMRI検査不要。
腰痛に休養は不要。
グルコサミンやコンドロイチンは効果がない。
認知症のコリンエステラーゼ阻害薬をむやみに取らない。
じんましんの診断は不要。明確な検査法がない。
急性副鼻腔炎はウイルス感染で抗菌薬は不要。自然に治る。
投稿元:
レビューを見る
そもそも医療の「無駄」がどうして生ずるのか、第一部ではその理由が例をひいて述べられている。
単純なものとしては、医療の側からいえば「利益」と「リスク回避」などが挙げられる。より保険の点数を高くするために不要(かもしれない)検査を行なったり、後からのクレームが来ないように「(必要ではないと思われても)念のため」の処置を施したり、など。
しかし患者の側としても、近年問題になっている「延命処置」が必ずしも情愛のみに基づくものではなく、当該患者に支給されている年金や恩給の必要性が陰にあることも否めない、らしい。
あるいは極端な例として医療行為から利益を受ける団体が利益を最大化する目的で「病気を作り出す」disease mongeringという行為なども見られるとのこと。しかしそうやって増大した医療費が、結局そのしわ寄せを「これからの世代」に必要な支出までをも圧迫することにつながる。あるいは健全なあるべき医療に対しても。
そういう状況を危惧した医師たちが唱えたのがEvicence based medicine(証拠に基づく医療)であり、その理念のもとに作り出されたのがChoosing Wiselyというサイトである。本書は2014年にこのサイトを元に著されたものなのだけど、今(2020年)見たら日本でも同様なサイトができていた(https://choosingwisely.jp)。おまけに本部はご近所ではないの。ははは。
それはともかく、第二部は実際に「無駄な医療(検査)」などが疾患別に詳細な理由とともに100件挙げられている。必ずしも誰もがかかる疾患ばかりではないけれど、周囲を見渡せば該当する人がほぼ確実に思い当たるようなものばかり。果たしてその人の受けた治療/検査が妥当なものだったかしらん?????
とは言っても、現状でこの一覧を見たところで、正面切って医師/病院に「そんなもん要らねえよ」と啖呵を切れる人はそう多くないと思う。いや、啖呵じゃなくっても。第三部では、その理由が述べられているのだけれど、そこにもやはり医療側と患者側のそれぞれの理由がある。患者側としては、なんと言っても「国民皆保険制度」の下、USAと比べると医療費が段違いに安く、医療費の「無駄」に対する切迫感の度合いが異なる。医療側にしても「できることなら(要不要にかかわらず)何でもやって」くれることが患者の要求に応えること、という発想がある。
しかし、ネットによって患者の持つ情報量は20世紀より数十倍(以上?)も増えているし、患者の経験談などを扱ったブログも数えきれないほどある。妥当な医療/治療な何なのか、患者側の体勢が大きくなるのに対し、医師の説明力はさほど上がっていない。この落差をどうするか、「医療側が十分な説明を行なって、患者も納得できるような合致点」に基づいた医療が今後どんどん要求されるようになっていくだろう、というのが筆者の読み。Choosing Wisely Japanの発足はそれに対する答えのひとつかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
本書の大部分を占める「無駄な医療」の例は、オバマケアを呼び水とした、アメリカで進められている不必要な医療を認定していくキャンペーンの内容である。
僕には詳しい医療の内容をジャッジする力はないけれど、まあそうだろうな、というものがならんでいる。さすがアメリカ人、いざとなれば合理的である。
さて、日本で医療を受けている僕は、ここ3ヶ月でCT検査を2回受けた。結構な被曝である。
CT実施件数は日本が一番多いらしい。患者の費用負担も軽いから、というのもあるが、その裏にはやっぱり検査による利益があったり、あるいは医療側の無知もあったりする。
僕は一度も被曝に関する説明を、少なくとも口頭では受けていない。そして求めてもいない。
日本の患者はアメリカほど治療費に切羽詰まっていない、むしろ安い医療費なのでアレもコレもやってもらいたい、という結論になりがちで、すんなりとアメリカ方式が出来るのかはわからない。
医療側も、知っていてやらかす場合と、知らずにやらかす場合があるので、ただしく新しい知識と治癒効果への説明能力が求められる。
医者と患者は、手の内を見せずにトランプをやっているようなもので、患者はネットの海に溢れる健康情報の多さに、まるでカラオケの曲数が多すぎて選べなくなっているようだ、と。
総じてタイトルから思い浮かぶ他の医療否定本に比べて真面目、硬派であった。トランプの手の内、というかルールが、これで少しは共有できるだろうか。