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商品説明
書物とは、地質学的時間と歴史的時間を結んで生じた、大いなる変身の産物である。生命と記憶の集積として、電脳化に抗して生き続ける書物の魅力の本質を探る。『考える人』連載に加筆して単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
今福 龍太
- 略歴
- 〈今福龍太〉1955年東京生まれ。文化人類学者・批評家。東京外国語大学大学院教授。遊動型の野外学舎「奄美自由大学」主宰。著書に「薄墨色の文法」「レヴィ=ストロース夜と音楽」など。
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書店員レビュー
書物と琥珀 植物のメタモルフォーゼ
ジュンク堂書店難波店さん
空爆後の図書館の瓦礫の中の書物の骸。大震災が直撃した集落での本の不在。焚書による書物の消失。それらの風景は、「書物はかならず終わりのあるモノである」ことを、更には「身体性を備えた豊かな有機的存在である」という確信を、今福龍太の胸に刻印する。そこから今福は、書物がかぎりない変身能力を宿し、歴史を通じてそのことを表現し続けてきたことを、追跡していく。
変身の、表現の主体は、書物である。書物は、決して人間主体の作物(さくぶつ)ではない。
『ウォールデン』は、まさに植物の書物への変身をソローが媒介したに過ぎない。ジョン・ケージはそのソローを受け、キノコだけでなくすべての音を収集する。
本の裏側に姿を隠そうとしたソンダク、そしてロラン・バルトの日記は、彼らの死後書物へと姿を変え、カフカの中長編の殆どは、死後出版されたものである。
ナボコフは「本のなかの〈私〉は本のなかでは死なない」と書き、レヴィ=ストロースは「私が自分の本を書くのだと言う感じを持たない」と語った。
遡れば、生命連鎖の円環的な時間を樹木がしるした年輪こそ書物の原初であり、人類が誕生する遥か以前に羽虫を閉じ込めた琥珀(=鉱物化した樹液)から始まる書物の長い長い変身の歴史を動かすのは、祈りにも似た書物の意思なのだ。
その途上、アナログが必然的に作り出す生の彷徨、迷い、揺らぎ、交差、錯誤、失敗を、樹木の変容態である紙ならぬ電子ディスプレイ上のデジタルに、担いきれるだろうか!?