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- カテゴリ:研究者
- 発売日:2014/09/12
- 出版社: 笠間書院
- サイズ:22cm/302p
- 利用対象:研究者
- ISBN:978-4-305-70739-0
読割 50
- 国内送料無料
紙の本
近世刊行軍書論 教訓・娯楽・考証
著者 井上 泰至 (著)
娯楽・教訓・歴史・軍学の諸要素が渾然としていたため、文学研究・思想史研究・歴史研究などの分野から継子扱いされてきた近世軍書。それらの諸分野を超え、近世軍書の流れ、性格を考...
近世刊行軍書論 教訓・娯楽・考証
近世刊行軍書論
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商品説明
娯楽・教訓・歴史・軍学の諸要素が渾然としていたため、文学研究・思想史研究・歴史研究などの分野から継子扱いされてきた近世軍書。それらの諸分野を超え、近世軍書の流れ、性格を考え、小説史に果たした役割を論じる。【「TRC MARC」の商品解説】
近世期に刊行された、軍書の全体像を問う、初の書。「娯楽」「教訓」「歴史」「軍学」の諸要素が渾然としていたため、近世軍書は、近代的な制度である、文学研究・思想史研究・倫理学研究・歴史研究のどの研究分野からも継子扱いされてきた。
本書はそれらの諸分野を超え近世軍書の流れ、性格を考え、小説史に果たしてきた役割を論じていく。
武士の生き方を教えた軍書は、江戸時代の小説という「花」を生む「土壌」として見れば、武士の歴史を語る、まことに養分の多い「沃野」であった――。
【……本書では、「近世に制作・刊行された和軍記・通俗史書・雑史・軍談」を「近世軍書」と定義する。本書が、近世小説の一部としての、あるいは近世小説の母胎の一つとしての「近世軍書」を対象にする以上、軍語りの書である「軍記」が核になることは疑い得ない。しかし、近世に生産された軍記は、それを生みだした近世軍学を念頭に置かざるを得ないし、軍語りと軍学書の色彩が渾然一体とした『甲陽軍鑑』や『太平記秘伝理尽鈔』などの書物、あるいは『本朝通紀』のような軍記を漢文化した通俗史書をもはじき出さないことで、近世当時の「軍書」の制作・流通・受容の実態が見えてくるはずだからである。
むしろ、十七世紀前半には教訓と娯楽が渾然一体としていた軍書の在り方が、十七世紀後半になって出版ベースに乗っていくうちに通俗歴史読み物として一旦は定型化し、それが十八世紀という学問と文学の結婚の時代を迎えると、軍書が考証と娯楽と教訓に分化してゆく経過は、「軍書」の語を今日でいう「軍記」に限定しないことで明らかになってゆくのである。
また、そういう軍書の変遷を見渡してみた時、小説の時代設定の取材源となる軍書との関わり方が、西鶴に代表される浮世草子の武家物と、秋成に代表される初期読本とでどう質的に異なるのかも見えてくる。歴史と文学は双子だと言われるが、その二つの「点」を結ぶ重要な「線」の一つが刊行軍書なのである。……「はじめに」より】【商品解説】
目次
- 第一章 近世刊行軍書の全体像
- 第一節 近世刊行軍書の沿革
- 第二節 近世刊行軍書年表稿
- 第二章 読み物的刊行軍書の成立と展開
- 第一節 寛文期仕官軍学者の写本軍書
- 第二節 読み物的刊行軍書の確立
- 第三節 読み物的刊行軍書の展開
- 第四節 読み物的刊行軍書から通俗史書へ
- 第五節 西鶴武家物と刊行軍書
- 第三章 娯楽と考証への分化
著者紹介
井上 泰至
- 略歴
- 〈井上泰至〉1961年京都市生まれ。上智大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。近世文学専攻。博士(文学)。著書に「雨月物語の世界」など。
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