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- カテゴリ:一般
- 取扱開始日:2014/10/30
- 出版社: 岩波書店
- レーベル: 岩波科学ライブラリー
- サイズ:19cm/115p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-00-029631-1
紙の本
サバからマグロが産まれる!? (岩波科学ライブラリー)
著者 吉崎 悟朗 (著)
サバを代理の親にしてマグロを増やそうという研究が進んでいる。この研究を応用し、凍結細胞から生きた魚をつくることに成功、国内外の魚類の保全に実用化されている。魚をこよなく愛...
サバからマグロが産まれる!? (岩波科学ライブラリー)
サバからマグロが産まれる!?
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商品説明
サバを代理の親にしてマグロを増やそうという研究が進んでいる。この研究を応用し、凍結細胞から生きた魚をつくることに成功、国内外の魚類の保全に実用化されている。魚をこよなく愛する著者が試練と発見に満ちた挑戦を紹介。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
吉崎 悟朗
- 略歴
- 〈吉崎悟朗〉1966年鎌倉市生まれ。東京水産大学水産学研究科博士課程修了。博士(水産学)。東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科教授。専門は魚類発生工学、魚類繁殖生理学。
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紙の本
奇想天外に見えるが地道な研究 。
2015/06/01 21:07
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マグロの完全養殖はすでに商品化して既に有名。なのになぜ?と思われるかもしれない。しかし本書の方法も使えば、もっといろいろの魚(もしかしたら魚以外にも)に活かせる話も多そうだ。例えば「絶滅しかかっている魚類を、別の魚を使って増やす」こと。実際に飼育や遺伝などでデータが豊富なヤマメやニジマス(どちらもサケ科)を使い、マグロに手を付ける前に実験は開始されて成功した。
「そんなこと可能なの?」と思いそうなタイトルだが、読めば「ここまでできたのか」と感心する。考えてみればiPS細胞も人間への実用化の道を進んでいるし、魚でもいろいろな技術は進歩していて当然なのだ。
遺伝子の検査やノーベル賞をとったクラゲの光る遺伝子を使う方法など、バイオテクノロジーの最新の知識もたくさん使われている。その一方「数ミリの稚魚に注射する」などの繊細な手作業もそこには必要だということも書かれている。いや、なによりも実験材料の魚をどうやってきちんと飼育するかなどの地道なノウハウが実はとても大事だということだ。
びっくりするような発見も書いてあった。例えば「マグロのオスだけいれば卵も精子もつくれる」というのである。オスから取ってきた「精子を作る細胞」は雌に移殖されると「卵」をつくる。魚類だけの特徴かもしれないが「オスさえいれば子孫が増える」。単為生殖など「メスさえいれば子孫が増える」というのは教科書にも載っている話だが、こういったとても基礎的な発見も沢山出てくるのが「すごい研究」なのだと思う。
研究というものはこうやって地道に進める中、時にブレークスルーで加速したりして進んでいくものなのだろう。しっかりした理論と、無謀でも試してみる勇気。とにかく続けるどん欲さ。そんな「研究の実態」が生臭く(しかし新鮮な魚の)伝わってきた。
ここまで「生命の操作」をしてよいのか?と感じる部分もないとは言えない。だって、「他の種の生き物を借りて生まれてくる」のが魚でなかったら。そしてそれは既にSFではないのだから。良い面もあれば怖い面もあるだろう。専門家に任せるのでなく、少しでも現状を理解して考えていないといけない問題でもあると思う。