投稿元:
レビューを見る
テーマは面白いのだが、説明的な文章が多く、ちょっと読みづらい。
いくつかの昔話などをピックアップして、じっくりと書いて欲しかった。
投稿元:
レビューを見る
図書館で借りた本。
むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんが・・・で始まることの多い、昔話。
当たり前すぎて、考えたこともなかったけど、なぜお爺さん、お婆さんなのか?そして、その老人たちはだいたい働き者で貧しいのは、なぜ?と言うところをいろいろな角度から掘り下げて書かれている本。
面白くて、すいすい読み進んでいき、同著者の「本当はひどかった昔の日本」を合わせて読みたくなりました。
投稿元:
レビューを見る
新聞書評で見かけてちょっと興味をそそられたので読んでみたのですが、期待以上のおもしろさでした。
日本の昔話や古典文学から、老人についてどのような描写がされているかを実証的に分析しているまじめな論考なのですが、そこに出てくる考察がなかなか強烈です。序文にある「弱いようでしぶとく、枯れているようでエロく、姥捨て山に捨てられても決して死ぬことなく、時にその老醜さえも武器にしてしまう」という記述が、この本全体を貫くトーンを表していると言って良いでしょう。最終章「実在したイカす老人」に取り上げられている、世阿弥、上田秋成、鶴屋南北、葛飾北斎の老境での豪快さにも感服しました。
これは大いにお勧めです。
投稿元:
レビューを見る
羊頭鶏肉の類です。一応実証的な分析を装っていますが、本旨とはズレたところばかりで、最初に問題の立て方を間違うと...何が言いたいのか、イライラの連続です。“昔話”と一括りにしては、時代と範囲・レベルが広すぎるのではないでしょうか?
投稿元:
レビューを見る
昔は弱者には厳しく特に貧しい老人は大変な時代がずっと続いていた。その中で、こういった弱者が逆転する話などは起承転結には良かったのではないかというのを桃太郎やかちかち山及び源氏物語などの古典から例証する。
桃太郎は桃を食べたじいさんとばあさんが若返って子作りをするというバージョンの方がメジャーだったらしい。
かちかち山はばあさんが狸に騙されじいさんがばあさんの死肉を食わされるのが元々の話だったのが現代になるにつれマイルドになった。
投稿元:
レビューを見る
非常におもしろく、興味深く読んだ。
「古典文学」ではなく、「昔話」という口承で伝わる物語。いかに、当時の時代背景、現実の生活に密着しているということがよくわかる。
古代〜中世・近代、「老人」の「社会的地位の低さ」などなど。
様々な資料から昔の暮らしぶりを考察し、そこから本書の主題に対する筆者の持論を展開する。
また、後半では、いろいろな「イカす老人たち」の話もあり、そこも楽しく読めた。
投稿元:
レビューを見る
本のタイトルを読んで「そういえばなぜだろう」と思って
手に取る本の割には、内容が多い。
それでもP.196で要約されているように、要は(富をもたない)老人が今だけでなく昔も弱者であり、その弱者が活躍することが物語として面白いこと、そして人生を歩んで固まった老人の人格が善悪の二元対立を語りやすいことの2つが要因。加えて昔話の語り手自体が老人であることも挙げられる。
江戸時代以前は結婚率が低かったので独居老人も多かった、など滔々と老人の立場の弱さを示す事例を挙げている。
投稿元:
レビューを見る
大塚ひかりの本は目に付いたら読んでいる。平安時代も政治を握る高齢者は今の政治家と同じぐらいの年だったそう。おもしろかった。
投稿元:
レビューを見る
タイトルを見て「そういやそうだな」と思って気になったのが手に取るきっかけ。多分この本はそのように手に取られる方が多いでしょう。
同じ話の繰り返しが何度かあり、話の流れというか章のテーマによるためやむ無しかとは思いますが若干読みにくい感じがしました。しかし内容は面白い。
確かに子供向けにかなりマイルドになったり全然違う結末になってしまったりしている昔話はかなりあるなとは思っていましたが、浦島太郎の元となる話は(浦嶋子など)全く知らなかったのでとても興味深かった。
姥捨てにまつわるいろいろの話も大変面白い。
これは超高齢化社会である今だからこそ身につまされつつ(?)読むのが楽しいのかもしれない。
最終章の「イカす老人」も「いやホントイカスなぁ」と感じ入りながら読みました。世阿弥かっこいい、と思いました。
個人的には上田秋成に大変興味を引かれました。昔、国学の授業があり習った時に「上田秋成って変な人だな」と思った覚えがあるのですがやはり相当の偏屈野郎(失礼)だったのだな、と思いました。
雨月物語も読んだことはありませんが、上田秋成について書かれたナニかがあれば読んでみたいと思いました。
投稿元:
レビューを見る
あまりにも当たり前のことには疑問が生じにくいものです。
そこに疑問をもつには、思考というか視点の柔軟性が必要だと思っています。
そして、この本は、著者が見事にその柔軟性を発揮した本だと思います。
昔話だけでなく、ときには古典の内容を用いながら、昔話は、その背景にある社会情勢を反映したものであることを丁寧に説明しています。
また、社会情勢そのものに対する考察も丁寧に行われています。
実は、タイトルを見た瞬間、もっと軽い本(やや子ども向けの本)を想定していたのですが、読み応えのある、内容のしっかりした本でした。
昔話や古典について深い知識がなくても追っていける構成になっていた点は、非常にありがたかったです。
投稿元:
レビューを見る
もっと「なぜ」にフォーカスしているかと思ったけど、記録から読み取れる事実の羅列のみで、なかなか「なぜ」にたどりつかず、消化不良。
投稿元:
レビューを見る
「むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました」で始まるのがほとんどの昔話。なぜ昔話では、老人がこんなにも活躍するのか?
昔話や古典文学を読み解くと、「老人」知られざる実態が見えてくる。
年老いてなおあくせくと働き、時には厄介者として山に捨てられてしまう・・・決してお話の中だけではなかったようで。お年寄りは敬い大事にするものとした考えが割と新しいものだと知り愕然としました。さらに、老いは醜いと蔑まれバカにされていたとは・・・日本人は昔から若い女性(男性も)の方がもてはやされていたんですね。
ただちょっと、私の思ってた内容とは違いました。もっとお伽噺をメインに考察するのかと思っていたのですが、源氏物語とかの方が多かったです。
投稿元:
レビューを見る
物語の中には、その時の一般人の生活がよくあらわされている、という基本姿勢から、様々な「文学」として残る古典やおとぎ話の中から、当時の老人の地位を読み解いていくものです。
今日のような社会保障のない時代、老人の地位は危ういものでした。
現代でこそ、望めば結婚ができる環境にはありますが、かつては、「結婚できる」ということ自体がステータスで、独居老人も多く、また、結婚していても、子がいない、子がいても、若い夫婦から無駄飯ぐいと疎まれることも多いのが実情です。
そんなわけで、現代なら退職しているような歳でも、生きるために働いているのが当然で、そうした人たちのサクセスストーリーであれば、大どんでん返しといえるのだそうです。
「姥捨て」の話については、物語にはあるにせよ、日本で実際に行われていたという確証はないものの、他国にはその事実があるようですし、そこから伝来した可能性や、あるいは、無文字であった縄文時代の生活を引きずった口伝である可能性もあり、そこまでさせる過酷な状況がうかがい知れます。
異国の地では、老人を宝と考えるところもあるようですが、どうも、日本はお荷物のように考え、その地位は低かったようです。老人の性や様を笑ったり、嘲ったりするものも多く、しかし、昔語りの語り手となることで、老人たちは、自分たちの様々を伝えていくことの中で、若い人たちとのつながりを持っていたといえるようでもあります。
それで、多く、おじいさん、おばあさんを主人公とした物語が語られていくこととなったようです。
口伝のおとぎ話は、「昔々あるところに」と語るニュースの役割もあったと、以前、習ったことがあります。イキイキとした老人の話は、誰もの行く末として、興味のあるものになったことでしょう。
現在も、死に方に多く関心が寄せられ、死ぬ前に持ち物を減らしたり、年金の額に頭を悩ませたり、痴呆や介護におびえるなど、悩みは尽きません。
しかし、もっと貪欲に生きてもいいかな、そんな希望を持つのが健全だなぁ、なんて、少し気が軽くなりました。
投稿元:
レビューを見る
表紙のふわふわとした柔らかいイメージとは違い、内容は古典文学や研究資料などを用いての、現実的な目線での語り口で書かれている。
子どもや孫に囲まれた幸せな老後イメージは多くの人が持っているのではないだろうか。
現代人の荒んだ心とは違い、昔の人は老人を大切に扱ったはずだと、半ば無意識に思い込んでいたのは私だけではないはずだ。
しかし本書にある、それとはかけ離れた老人たちの現実に打ちのめされた。
縄文時代という大昔、埋葬の仕方が他の若い人に比べて簡素である。
という下りから始まり、結婚できると言うこと自体がステータスであること。
平均寿命は低くい時代であっても長命な人も多かったこと。
運良く結婚できたとしても、歳を取れば家庭の中で孤立し、老人遺棄も当然の事としてありえた社会であったこと。そして殺されることも。
一番ショックだったのは自殺率。
老後問題は何も今に始まった事ではないのだ。
社会的弱者で被害者になりやすく、また加害者にもなる老人。
なのに、そういう老人がなぜ物語に多く登場することになるのか。
それは厳しい現実から出た希望であったり、または老人の持つ特殊性(知性や醜さ)により話を展開させる者として使われたり。
パターンとしては幾つか挙げられているが、やはり弱者であるが故という感は拭えない。
私のように、表紙だけ見て何も考えずフワフワした気持ちで読み始めると痛いめに合う。表紙のと中身のギャップは激しい本。
もちろんそれだけではなくて、面白いところや笑えるところもあった、私にはショックなところがより心に残ったというだけだろう。
ただ、読んで良かったと思う。
日本という国の歴史を見る上での、違った視点を教えてもらった。そして今のこの社会のありがたさも。
そして、そんな厳しい社会の中でもたくましく生きていた老人ももちろんいて、最終章の「イカス老人」では心が救われる思いがした。
厳しい社会であるが故の潔さというか、美しいものはより美しく見えるのかもしれないなどと思う。
時代を物語を老人に注目して見てみる。
そういう今までにない面白い視点をこの本はくれる。
投稿元:
レビューを見る
インターネット上の匿名アカウントは身元を(おおむね)隠せる(はず)ですので、「だからこそ言えるホントのこと」と「バレないと思ってつく作り話」の区別が困難です。
少なくない参考文献を元に本書で繰り返される主張は結論ありきの陰謀論とは程遠く、例えば「正当な歴史書に正式な記録が見当たらない『姥捨山』の風習」など、「昔話は書かれた当時の現実を反映している(はず)!」というスタンスが私には小気味良かったです。