紙の本
昭和な菓子どもの、昨今の世界戦略に関心があるならばドウゾ。
2016/01/10 14:52
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投稿者:arima0831 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主題は「日本のお菓子が海外にいかに進出しているか」。
お菓子といっても、和菓子などの伝統的なものではなく、ポッキー、ハイチュウ、カラムーチョといった、所謂スナック菓子系の話。
私自身は普段スナック菓子などをまずほとんど食べないし、基本的に甘いものも特別好きだとは言えないのだが、幼いころに喜んで食べた時代はある。最近は諸事情で、ちょこっとした駄菓子を仕事に使うケースがたまたま出てきた。数十年を経て、特にお菓子を好んで食わぬオバハンになってみると、幼いころに好きだった駄菓子の類の多くが、実は今も結構しぶとく生き残って流通していることに驚くことがある。
こうしたお菓子が海外で売れている、というところから本書は始まる。
例えば日本は「チョコレートの本場ではなく、先進国」なのだそうだ。なるほど、確かに日本の数百円程度で買えるジャンクなチョコレート菓子って、世界各地の同程度の菓子に比べたらかなり丁寧に作られている。一応十年ほど海外に数か国住んだ経験はあるので、イメージはできる。海外諸国で食べる菓子は、高級なものはともかく、ジャンク系はとにかく雑で不味い。「きのこの山」とか「ポッキー」とか、あのわかりやすい味は、いま改めて考えると完成度の高いものなのかも、と改めて思う。
また「ハイチュウ」は、メジャーに行った田澤投手が周囲に配ったのがきっかけで、アメリカで広く売れるようになった、とか。
本書ではこうした少額の菓子を海外マーケットで爆量売りまくる戦略が、成功したり失敗したりする話がアレコレ展開されている。各トピックはネタとしてとても面白いが、ちょっと礼讃調が強いなあ、とは感じる。取材先の各企業との関わりもあるから、どうしてもそうならざるを得ないのだろうが。
ある部分「プロジェクトX」的でもある。
まあ、所謂ビジネス書の特性なのでもあろうが。
各エピソードは面白かったが、タイトルにわざわざ上げた「フランスでのポッキー」などをはじめとして、話によってはどうも裏付けが甘い。もうちょっと具体的なデータがあればいいのにな、とはつい思った。
しかし昔食べたあの菓子この菓子の一部が、ひょんなことで世界制覇を成し遂げる可能性も無きにしも非ず・・・と思えば、それなりに楽しい。
昭和な菓子どもの、昨今の世界戦略に関心があるならばドウゾ。
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日本で愛されるお菓子の海外ローカライズ・マーケティングをテーマにした一冊!
これは面白い!
どの企業も、予想以上に味のローカライズをしている。
それこそ日本では到底企画が通らないだろう奇抜な強いフレーバーなどにも。
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車、電機に続き、お菓子もグローバルで活躍できるチャンスがあると説く。実際に世界で地位を築くことのできたブランドに取材をし、その努力、失敗、成功を教えてくれる。確かに海外のものより、日本のお菓子の方が美味しいと思う。それは、慣れもあるだろうが、ブランドにたいする日本人特有のこだわりが結集したものかと。一方で、その味に関しては現地の人の舌が重要だとも。食べ物というのは、ローカル食が豊かに表現されているのだと思う。東京で食べるエスニック料理は現地で食べるものと違うのはそのためかな。
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少子化のあおりで、お菓子の国内市場が小さくなっていくなか。流通菓子業界の海外戦略を多岐にわたり紹介した本。
様々なお菓子がこの10年の間に アジアに ヨーロッパに
そして米国にでて根付いていった。そこには日本での実績をもとに右から左に物をもっていけばよいという世界ではなかった。現地の嗜好にあわせ、ニーヅにあわせ試行錯誤すえ 市場を獲得していった歴史があり、いまなお続いている。
品質の安定性、安全性、パッケージの開けやすさ、親しみやすいデザイン。20世紀につちかってきたノウハウが遺憾なくはっきされ、成功するものは成功する。
かつて世界中を日本の文房具が席巻したようにお菓子も
強力な輸出商品となっていくのではないかと 思わせる著作であった。
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概念をすてる
└ポッキーはフランス名でミカド。名称のローカライズは必要。現地の人間がつけるほうが有効
特長を売る
└日本と同じ製品ではなく、特長を残して細かい部分は現地のニーズにあわせる。製品特長を洗い出すことが重要
現地の好みにあわせる
└現地の同種サービスを体感する
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トルコ人乗務員が争うように奪い合った「柿のた ね」。米大リーグのレッドソックスでおやつ係を担 当していた田澤純一投手が火をつけてしまい、挙句 の果てにNBAにまで飛び火してしまっている「森永 ハイチュウ旋風」。そして「ミカド」に名をかえ、 フランスではチョット大人路線攻めてる「ポッ キー」。著者はいう「日本のおやつの普及こそ、平 和の象徴」。
まったくもって賛成。オカラダカラも忘れるな!
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ポッキーやハイチュウが海外で人気らしい。言われてみれば日本のお菓子は繊細だし品質も良いし、雑駁なイメージのある海外の商品とは違った魅力があるのかもしれませんね。そんな菓子メーカーを取材して海外戦略や苦労話を紹介したもので、読み物としても面白いですが、よくよく考えると結構奥深いことが多いです。その中で異色の話題が岩塚製菓と旺旺グループの深い信頼と絆の話。こうしたパートナーに出会えるのはありがたいことだろう。また、キットカットが日本のお菓子でないのに日本らしい戦略で海外に受けるのが面白い。
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日本のお菓子を海外のある国で売るために、どのようなローカライズを図ってきたかという話。
情報量が多く、海外進出をねらう人には参考になる部分は多いと思う。
そうでない人間にとっては、お菓子が食べたくなるだけか。
なぜ買ったか理由を忘れてしまった。
本としては優れているのだろうが、読む人間が無目的だといけない。
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去年イギリスに行ったときに、結構日本のお菓子が売られていた。しかし日本からの輸入品で、原材料などの欄にシールを張って対応しているのがほとんどだった。
この本はポッキーだけではなく、湖池屋やカルビー、森永などの大手から、デパ地下で売られるシガール、地方の中小企業などお菓子メーカーといっても様々で、海外進出した背景も違うが、ビジネスとして海外に進出して頑張っている人の姿が分かり力をもらった。
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少子化などで市場が飽和→縮小に向かうなか、海外進出に本腰を入れはじめたお菓子業界。いまではさまざまな商品が世界各国で人気を博している。
日本人の味覚や好まれる食感が、そのまま各地で受け入れられるわけではもちろんない。その地ごとに異なる食事情もあれば、もともとのガリバー企業もある。そんななかで味を現地の人が好むように変えたりパッケージを工夫したりと、日本人らしい細やかさでシェアを伸ばしているのだ。
驚く話、知らなかった話がふんだんに盛り込まれていて楽しめた。なかでももっともうならされたのが、
「『オレオ』や『キットカット』、『m&m's』といったグローバルブランドが日本から誕生するとしたら、その1つはきっと『ハイチュウ』だろう」
というもの。あの触感が真似しようのない高い技術で作られているからというのが最大の理由なのだけれど、過去に電化製品などで名高かった日本人の技術力や改良力が、今やお菓子の分野で存分に発揮されているということなのでしょう。
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海外での日本のお菓子という切り口から、さまざまなものが学べます。食文化や流通、宗教、一つ一つはそれほど深くないので、あっさり読めるのもいいところだと思います。
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日本のお菓子は味もパッケージもネーミングもクオリティが高くそれを海外も含めてどう販売してきたかよくわかる本であった。それを他の工業製品にどう置き換えて行ったらよいか記されていた。カルビー、亀田、不二家、グリコ、ハイチュウ、ポッキー、キットカット、Dorayaki,すべてに戦略と戦術が含まれていて興味深い。サプライチェーン、グローバル、ビッグデータ、Base of Pyramid、MOP、オンリーワン、独自性、海外現地の人に支持される設計、グローバルニッチ、ガラパゴス化等海外ビジネスの参考になるのでぜひいかしていきたい。
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非常に多くの食品会社、スナック菓子(流通菓子)の海外進出の苦労、経緯、ノウハウを取材した本。なるほど、という内容が多かった。著者が言うように、日本の食品会社が作る菓子は、気配りというか、完成度というか品質というか、細かい努力とか工夫という意味では、世界の菓子に比べて圧倒的に優れているのだろう。国民性と言っていいのかどうかわからないが、他の分野でも日本人にはそういうところがあるのかも知れない。ま、では、とりあえず売れる、たくさん売るという目標だとして、それに向かっては努力を惜しまない、企画力、発想力、開発力などいろんな面で、柔軟性があるというか。一方で、一つのもの、やり方にこだわり続けるという頑固さ、すなわち柔軟性の反対にあるもの、っていうのも大事なんだろうとも、ちょっと考えさせられる。そういうものの強さ、というか。いずれにしても、品質、特に安全性については気を付けてもらいたい。ふだん口にすることが多いわけだから。長い目で見た安全性、ほんとに大丈夫なんだろうかと、気になる。
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日本の製菓業界の海外での活動や普及に向けた努力をフリージャーナリストの著者が多くの取材をもとに書いた一冊。
ポッキーやハイチュウなど自分たちの生活に馴染みのあるお菓子が海外でどのように受け入れられているのかということを本書で知ることができ、普段何気なく食べているお菓子の凄さや日本企業のレベルの高さに読んでいて舌を巻きました。
味覚が大きく違うのでその国の仕様に作り変えているという話がよく出ており、現地の人に味の確認を行うなど緻密な戦略で国内での消費減少を補おうとしている各社の奮闘ぶりも読んでいて感じました。
特に天然と人工の考え方の違いやフレーバーの好みなどは読んでいて特に印象に残りました。
製菓メーカー各社のプライドを感じる場面が多くあり、今までの付随した事業として業者に依存していた体質から脱却し、自分たちのプライドをかけて戦略を練っていく姿に胸を打たれるものもありました。
普段食べているお菓子に畏敬の念を抱かさせてくれた一冊でした。
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フランス文化を語った本かと思ってましたが、そうではなく、世界を席巻する「日本のお菓子」ビジネスを取材した読み物。海外展開で成功する日本のお菓子とメーカーの試みが多数紹介されています。
株をやってる個人投資家にとっては良い投資指南書にもなると思います。
・フランスでは大人の味として売られている江崎グリコのポッキー(現地名はミカド)
・メジャーリーガーに受け入れられ、大ブレイク中の森永製菓ハイチュウ
・アメリカのヘルシー志向が追い風となって売れているカルビーの「ハーベストスナップス」
・ニューヨークには安いものから高級品まで、チョコレートの選択肢が豊富にあるが、「生チョコ」はいまのところロイズだけ
・白人には餡は受け入れられないが、オリエンタル系にターゲットを絞ってどら焼きのアメリカ進出に成功した丸京製菓
・インドネシアでは、焼きたてシュークリームの店、「ビアードパパ」が脚光を浴びている
・岩塚製菓のように、海外企業への技術供与という形でグローバル市場に進出している企業はほかにもある。
・日本の商品は個性がなくて退屈と言われていますが、お菓子市場に関しては、世界でもかなりのキワモノ。唯一無二のガラパゴス菓子だからこそ海外進出できる。