- カテゴリ:一般
- 販売開始日: 2015/09/14
- 出版社: ダイヤモンド社
- ISBN:978-4-478-02181-1
経済は「予想外のつながり」で動く
著者 ポール・オームロッド , 望月衛
ソーシャルメディア、グローバル化……変化する21世紀の世界に対して、経済学はまだ有効か? 学問の世界から実業まで飛び回るエコノミストにして「ネットワーク理論」を経済学に持...
経済は「予想外のつながり」で動く
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商品説明
ソーシャルメディア、グローバル化……変化する21世紀の世界に対して、経済学はまだ有効か? 学問の世界から実業まで飛び回るエコノミストにして「ネットワーク理論」を経済学に持ち込んだ第一人者が、「世間知らず」となった経済学を「つながり」と「模倣」で新しい次元に進化させる。経済学100年の常識を覆す1冊。
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書評は「予想外のつぶやき」で動く
2015/12/14 23:08
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済はさっぱりわかんないので、卑近な例で例えます。
インセンティブは「お金」です。
医療系の政策って、何かとインセンティブがどうとか言うんですよ。介護の人が少ないからインセンティブをつけて、どうこう。
介護って、閉じたネットワークでして、この構成員にとって彼は自分たちとは社会的価値感が合う人になります。主婦層が多いので、インセンティブの影響力よりもつき合いの輪から受ける圧力や支持、周りの人たちの真似や模倣の影響力が徐々に大きいので、政府の政策どおりになりません。
彼女(彼)たちは、ネットワークに影響を受けた人たちは合理的経済モデルより、経験則の占めるネットワーク世界に生きています。経済的インセンティブよりも、まわりの人の意見を個人的選好より優先させます。
彼女たちにとって卑近なインセンティブは、年末ジャンボ。で10憶当たったら何に使うか?って話になって、何が欲しいか自分から1から検討するのは、めんどくさいので、とりあえず「ブランド」とか旅行になります。そういうのは、社会に固定化された思考だから、いろいろ考えすぎると、人生が足りなくなっちゃう。
私たちは、昔よりも広い選択肢を与えられたはずだけど、ネットワークの影響から行動していることが多い。合理的な行動の指針として「人まね」をするのは、もともと恥ずかしいことじゃなく、石器時代から持っているOSです。社会的な脳を獲得したから「人まね」をして人類が発展しました。
制約に従う生き方は、脳のリソースを使わない最適な生き方でして、例えば、職場の人間関係にしても、半年前と1年前とでは違っていて、関係構造は常に動いています。ゆらぎと不確実性があり、文脈依存的。ネットワークだって、固定的なもんじゃない。
ただ、ネットワーク効果が強いときインセンティブを少し変えただけで最終的には劇的な変化が起きることがあって、ネットワークのおかげで政策の効果が強まることがあり、これが「ポジティブリンキング」なんだそうです。
そのためには、ネットワークの構造やタイプがわかれば、政策立案者にとってはよいのですが、もともといろんな介護事業者がいて、非正規な分布のスモールワールド。
ネットワーク効果が働くからこそ、システムを左右し管理するべく設計された政策の効果はとても不確実です。私たちの世界を「機械」なんだ!って世界観で考えると、もし、それが不調なら、中央集権化された意思決定に対して不満になる。
介護保険料なんかで介護の給料、果ては「この料金でここまでの仕事をしなさい」っていう仕事の性質だと個人や集団の責任が政府に集約されます。だから第2次世界大戦以降の西側社会全体でほとんど唯一用いられてきた公共政策のやり方とは全く異なったアプローチが採用されています。
本では21世紀のネットワーク化された現実における特効薬は単純で、意思決定を分散化し、実験を繰り返すこととされていますが、まず介護のネットワークとか階層がどんなものなの?っていう分析から始めないといけないわけです。
具体的にはですね、介護の質を上げるんだ!って感じで介護のインセンティブに躍起な環境に入ったら、人はネットワークで「人まね」します。なんだ?この進学校に行ったら勉強します理論。
でも、わかりますよね?まわりが勉強したらつい、自分も勉強しちゃうっていうやつ。システムとして時に経済的に非合理な事もするマインドについてネットワーク理論は新しい学問ですが、身近なことを考えたら、案外納得できるわけです。