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紙の本
時代まつり (光文社文庫)
著者 花房 観音 (著)
雅やかで妖しい古の都、京都。彷徨う魂を鎮めるかのように繰り広げられる数多の「まつり」。再び出会うことを運命づけられた人々は囃子に誘われる。男を裏切った祇園の元・舞妓、理不...
時代まつり (光文社文庫)
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商品説明
雅やかで妖しい古の都、京都。彷徨う魂を鎮めるかのように繰り広げられる数多の「まつり」。再び出会うことを運命づけられた人々は囃子に誘われる。男を裏切った祇園の元・舞妓、理不尽な理由で結ばれなかった男女、ふたりの女とひとりの男の奇妙な三角関係…。褥で交わされた睦言が情念と打算を駆り立てる。「京おんな」の怖さ、切なさ、狂おしさに満ちた極上の官能短編集。【「BOOK」データベースの商品解説】
男を裏切った祇園の元・舞妓、理不尽な理由で結ばれなかった男女、ふたりの女とひとりの男の奇妙な三角関係…。褥で交わされた睦言が情念と打算を駆り立てる。「京おんな」の怖さ、切なさ、狂おしさに満ちた極上の官能短編集。【「TRC MARC」の商品解説】
京都在住の気鋭の著者による、『やすらいまつり』に続く官能連作小説集第2弾。【本の内容】
収録作品一覧
かにかくにまつり | 5−47 | |
---|---|---|
七夕まつり | 49−84 | |
義士まつり | 85−118 |
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紙の本
花房観音宣言
2016/01/19 08:33
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
光文社文庫オリジナルの官能短編集ではあるが、収録されている6つの作品は2014年から2015年にかけて「小説宝石」と「特選小説」に掲載されていたものだ。
京都を舞台にして「まつり」を題材にした物語は、表題作である「時代まつり」のほか「かにかくにまつり」「七夕まつり」「義士まつり」「節分まつり」「あじさいまつり」と、さすがに「まつり」の多い京都だけのことはある。
その「まつり」と男と女の官能を花房観音は巧みに作品に仕上げている。
この文庫には作品よりもこれだけは読んでもらいたい、著者による「あとがき」がついている。
花房観音の生の声がここにはあって、観音ファンとしてはうれしいかぎりだ。
自身は京都生まれではないという書き出しから、京都のこと、「まつり」のこと、官能のことなどが実に素直に書かれている。
その中で、「まつり」は男女の営みに似ていると綴った箇所がある。
非日常である「まつり」の高揚感、そして終わったあとの寂寥感が、セックスと同じだと、観音はいう。
セックスをすることで知らなくてもいいものを知ったりすることもよくあるという観音の言葉の通り、この6篇の官能小説もそういう骨組みになっている。
しかし、そういう寂寥感は官能小説に必要ないと、観音は言い切る。
「実用的な」官能小説には余計だと。
だから、自身は官能作家に向いていないのだと。
これは官能小説を否定しているのではない。観音は単なる「実用的な」官能小説を書いているのではないということだ。
セックスがおわったあとの、それは汗であったりぬめりであったり匂いかもしれない。いや、男と女の決して交わることのない鼓動といってもいい。それこそが、花房観音の世界だ。
そのあとで「京おんな」について、それこそ女そのものと書いている。
「どんなに強く抱きしめても」「気がつけばするりと男の腕をすり抜け」る、女たち。
「そんな女になれないから、京都の人間ではないからこそ、私はこれからも京都という街と「京おんな」を書き続けていくだろう」。
これは、花房観音自身による花房観音宣言だ。
この「あとがき」を読むだけでも、この文庫本は価値ある一冊だ。