紙の本
納骨、大事
2016/11/12 18:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
初長嶋氏。文体が軽くテーマもちょっと抜けていて、一見とても簡単なお話のようなんだけれど、言葉選びが秀逸且ついくらズレているテーマとはいえ、「家族」と向き合いそして導かれた答えが描かれている点がもうきちんと文学だった。重々しくせず、あくまでもさりげなくさらっと小説を仕立てられるのは、センスであり才能なんだろうな。納骨のために何回も佐渡に渡るある変わった家族。3人だったのは初めだけであとは2人だったり、大人数だったり。過程に難があってもやることはきちんとやってるんだよね。弟は味わいの人だな。長嶋作品、要注目。
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物書きの「私」は、ひきこもりの弟、古道具屋の父とともに佐渡への旅に出る。目的は、祖父母の隣家に住む「おばちゃん」の骨を、郷里の墓に納骨すること。ところが、骨壺をユニクロの袋に入れて運ぶくらい儀礼に構わぬ一族のこと、旅は最初から迷走気味で……。ちょっとズレた家族をしみじみ描いた快作。
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文筆業の姉,プロニートの弟,骨董業の父3人が親戚のおばさんの納骨に出掛ける表題作からなる,故人供養的ロードムービー小説。
…ていうかいつもの長嶋有さんの作品でした。家族親族との距離感や悼む気持ちの機微をサラッと-坊主の袈裟が擦れる音のように-描くところが好きです。
「長嶋有漫画化計画」で初見,原作早く読みたいなーと思ってたので,年末のお年玉的な感じでした。
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ちょっとヘンな家族の納骨の旅をしみじみ描く連作小説。
作家の「私」とひきこもりの弟、そして古道具屋の父が、親戚のおばちゃんの遺骨を郷里の佐渡へ納骨に行く。終始噛み合わない道中だが、そこはいつもの長嶋テイスト。意外とNHKの『ドキュメント72時間』で、この三人の話を聞いたら涙が出てきそう。
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数年間に3度にわたる先祖の土地・佐渡への納骨の旅を描いた作品。
納骨といえば哀しみや厳粛なイメージですが、そんな感じは全く無く。
どこか世間からズレた家族が、何となく世間の風習を無視できずに、適当に、でもそれなりに真面目に納骨します。そこが何ともオカシクて。
どうも半私小説という雰囲気です。身の回りに起こったことを淡々と丁寧に描いて行く。何故「半」かと言えば、この作品では主人公が女性に変わって居たりして、若干脚色が入るので。
読みながら『ジャージの二人』を思い出しました。ダラダラとした気怠い雰囲気が良く似てます。ま、タイトルも続きみたいなものだし。。。
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不謹慎だとピシャリと言われたら言い訳できないけれどそれでもじんわり心が緩んで「なんかいいやん」と思えてしまう。
ヨツオ、ムツオ、ヤツオの名前がなかなか覚えられず苦労した。
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2016/07/01読了
物書きの私と引きこもりの弟と古道具屋の父と行く佐渡への納骨の旅。
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まるでエッセイを読んでいるような感覚。この人の本読むの久しぶりだ。「猛スピードで母は」はもう15年前になるのかな。大きな出来事があるわけでもないし 登場人物も飄々としているし ハラハラドキドキもキュンってすることもない。クスッと笑える不謹慎な一冊(笑)
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不謹慎なのに、クスッと笑える。
読み進めるうちに「本作だと不謹慎だと思わなくていいんだ。悲しみをユーモアに混ぜるではなく同時になものにするというのは、なかなか奥が深い」と思いなるほどっと思った。
ちょっと私には文章が読みずらかったけど、のんだか読んですっとした。
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佐渡の三人
戒名
スリーナインで大往生
旅人
著者:長嶋有(1972-、草加市、小説家)
解説:瀧井朝世(1970-、東京都、書評家)
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表題作と残りの3編はいずれも納骨や戒名をテーマに書かれているんですが、家族特有の軽口やジョークが散りばめられていて、重くはなかったです。
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初めての文体。
軽快だ!トカ、リズム感がイイ!トカいうのではない。
優しく働きかけてくる感じ。
"働きかけ"だから、頭も使わないと。
そこがお気に入りかも。
家族の在りかたは、その渦中にいる人でないとわからない。
多かれ少なかれ、どの一家にも抱えているものはある。
ただ、そこに共感できたりできなかったりはある。
佐渡の三人を取り巻く一族にも"何か"は確実にある。
でも、この一族の在り方には共感できるところもある。ある意味羨ましい部分も。
人は前を向いて歩いて行かなければならない。
苦境だろうが、逆境だろうが、間違っていようが、不安でたまらなかろうが…
すごくほっこりさせてもらえる作品。
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これは割とつまらんぞな。次元大介の言葉を借りるなら、つまらんものを読んでしまった、ってやつだ。五衛門先生か。
まぁ何がつまらんって、盛り上がりにかけるというか、なんかこう、もっとあるあろう、と。なんもないところにも煙を立たせる、みたいなみのもんた的な煽りが欲しかったわけですよ。
とは言えこの話の中のいろんな人の生き方は共感できるというか、こんな風に生きたい、というか死に様というか、だいたい墓に骨を埋める話ばっかりなんで、ゆるゆると死後の雑事をこなしていくのが、イイネ!つける感じだけど、それを語られてもつまらんのよ。
まぁそれとこれとは別って話なわけね。
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祖父と祖母、その隣に住む大叔父と大叔母が相次いで亡くなり、孫の道子と家族、親族たちが、それぞれの遺骨をお墓のある佐渡まで納骨に行くというだけの話。
たったそれだけ、3度の納骨という出来事だけでこれだけの作品が描けるのが本当にすごい。
「焦らずたゆまずな」が口癖の祖母・みつこも、ヒネている時期が長かったから友達と会話する自分を「よかったよかった」みたいな目で見られるのが鬱陶しくて平坦を装うひきこもりの弟も、通夜の席で道子たちに「ドストエフスキーは・・・」と文学論をさんざん説諭したあと「・・・なんつって」と締めくくり皆を脱力させるブンガク老人の大叔父も、みんな可愛くて、優しくて、愛おしい。
「坊主の前でBOSEはね~」の箇所では声を上げて笑い、「金銀パールプレゼント~♬」は歌を口ずさみ、トキコが朱鷺子だと気づいたところではじんわり。。
家族の死というともすれば重く、深刻になりがちなテーマを、これほどまで「不謹慎に」笑いに変えて描き、それでいて、人がいなくなるということ、残された者が生きていくことをしみじみと考えさせてくれる作品でした。その後の道子と弟と父の話を是非とも読んでみたいものです。
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長嶋有▶佐渡の三人(講談社文庫)2015
自分はエッセイスト、おばあちゃんの指示で隣のおばちゃんのお骨を佐渡の墓に納骨する珍道中。弟とお父さんの三人旅。弟は引きこもりで祖父母の家に住み、祖父母はL 字形に寝たきりになっている。
納骨の話が短編で4話で一冊。テーマというか、納骨があるから読者は登場人物を順次知ることができる。納骨には葬式もつきものだから焼香する日常の人、非日常に突如登場する人。人々の人柄や行動、セリフがおかしい。全くのナンセンスでもない。
そもそも最初から喋り続ける「自分」が男か女かさえわからなかった。僕が知ったのは、…思い出せない。今更、いつ女と知ったか、調べるためにだけ読み返せない。男女をこだわらない風潮が世を支配している(様に見えるのは僕だけ?)が、こんなことにこだわる自分を古いと感じ、公の場で口にするのは無知としなければならないのかと、思った自分がまたあほらしい。
わけのわからない話が続く。いつもなら、すぐにきっぱり読むのをやめるのだけど、やめられない。このままわけもなく浸かっていたい温泉に入ってしまったような。と思う頃、もう薄い文庫本は終わってしまっていた。
長嶋有という作者はけったいな温泉の露天風呂でいつの間にか一緒に浸かっており、視線を合わすこともなく過ごしたような男。聞いてみるとこの温泉は彼の幻想であるらしい。ならば会釈ぐらいしたものを。
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これ初めて読んだ時にはまだ長嶋有さんが女性って思ったんだよな、その後画像と共に解析してめちゃくちゃ衝撃ショックだった記憶があります。しばらくトラウマになってたんです。漫画評論家でもありコメンテーターの長嶋有さんはとても誠実で逆に好感度しかないから、今更ですが読んでいる。佐渡の三人の題名から始まってそれを書いた作家さんが登場人物とか発想力凄すぎ、佐渡の旅が何度も続き、最後は大人数で、でも誰かしら欠けていて、本当面白いから、父親の仕事場も出てこない母親が謎とか、隣のおじさんにリュウ君に、いやあ味のあるって事