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紙の本
月蝕 在原業平歌解き譚 (小学館文庫)
著者 篠 綾子 (著)
生意気盛りな惟喬親王のお世話をしていた、在原業平。しかし、権勢を誇る藤原良房の娘に惟喬親王の異母弟が誕生し、皇位継承を巡って暗雲が立ちこめる。やがて、親王に身の危険が迫る...
月蝕 在原業平歌解き譚 (小学館文庫)
月蝕 在原業平歌解き譚
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商品説明
生意気盛りな惟喬親王のお世話をしていた、在原業平。しかし、権勢を誇る藤原良房の娘に惟喬親王の異母弟が誕生し、皇位継承を巡って暗雲が立ちこめる。やがて、親王に身の危険が迫るようになった。そのころ、親王に仕える香澄から、藤原家の陰謀が隠された和歌の秘密を暴いて欲しいと言われる。業平は、陰陽師の行貞とともに和歌の謎を解き明かすとともに、隠されていた文書を発見する。それは、藤原家の闇の歴史が記されたものだった。業平は、親王を守ることができるのか。宮中一の美男子業平と親友の陰陽師が活躍を繰り広げる、書き下ろし王朝ミステリー。【「BOOK」データベースの商品解説】
皇位継承を巡って惟喬親王の身に危険が迫る。親王のお世話をしていた在原業平は、陰陽師の行貞とともに藤原家の陰謀が隠された和歌の謎を解き明かす。そして藤原家の闇の歴史が記された文書を発見し…。【「TRC MARC」の商品解説】
キャラ萌え必至!の平安王朝ミステリー
和歌の達人にして、宮中一の色男である在原業平は、生意気盛りの惟喬親王に懐かれ、親族として面倒を見ていた。しかし、権勢を誇る藤原良房の娘明子に惟喬親王の異母弟である惟仁親王が誕生し、皇位継承を巡って暗雲が立ちこめる。直に、惟喬親王や母の静子に身の危険が迫るようになった。
そのころ、惟喬親王に静子の縁者という香澄が仕えるようになった。ある日、香澄から藤原家の陰謀が隠されているという謎の和歌の秘密をあばいて欲しいと言われる。業平は、陰陽師の行貞とともに和歌の謎を解き明かすとともに、隠されていた書状を発見する。それは、藤原家が権力の中枢に食い込むためにしてきた、闇の歴史が記されたものだった――。
惟喬親王を亡き者にしようとする勢力から、親王を守ることができるのか。
在原業平と親友の陰陽師葛木行貞が活躍する、平安王朝ミステリー。
文庫オリジナル。
【商品解説】
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紙の本
平安朝前期の歌人業平
2024/03/29 19:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の『桜小町 宮中の花』が、平安朝前期を代表する女性歌人小野小町を主人公に据えたのに対し、こちらは小町と双璧を成す男性歌人在原業平を中心としたミステリー仕立ての作品だ。
前作では、数々の伝説に彩られた謎多き小町を、苦しい恋を胸に秘めつつ確かな意思をもって宮中を生き抜く女性として描いたが、今作では東宮道康親王の鍾愛を受けながらも、後見の弱さのため皇位継承に微妙な影を落とす惟喬親王を守る業平の活躍と藤原良房との対立がメインとなっている。
在五中将と称された業平の武芸に長けた活躍が、隠微な宮中の雰囲気とは対照的に清々しい風を吹き込んでくれ、相棒の陰陽師葛城行貞とともに宮中を飛び出して奈良まで活動範囲を広げる展開だったので、こちらも彼らと一緒に各地を訪ねている気分にさせてくれる。
藤原氏の専用学寮である勧学院や、奈良の春日大社と観光的なサービスも盛り込まれ楽しめるストーリーだった。
長男でありながら、藤原氏腹でないため不安定な立場の惟喬親王の、幼いながらも広い目配りのできる聡明さがとても健気だ。のちに失意の後半生をおくる沈滞ぶりはまったく見えないのが、皇位を逃したのは決して悲劇ではない爽やかさを与えてくれた。
さらに業平仕込みのためか、女性の選び方もなかなか趣味が良い。母と同世代の小町に見様見真似の恋歌を贈っているのだから、その早熟ぶりは押して知るべしだ。
最後は出家して、小野の里に隠棲するのが残念なくらい魅力的な惟喬親王に描いてくれた著者にお礼を言いたいくらい良い読後感だった。
小町のカメオ出演も心憎い演出で、前作をつい思い出す。
余談だが惟喬親王の京での邸宅が、のちに藤原氏嫡流に伝領されて「小野宮」の名がついたらしい。さぞや雅を極めた邸だったであろう小野宮だが、実資や公任らがのち九条流と呼ばれた道長の系統に徐々に政権の中枢から追いやられてゆくのを考えれば、その運命はすでに惟喬親王の頃から予感されるものだったようだ。