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借りたもの。
世界中の神話を比較すると見えてくる基本構造――
英雄や主人公たちは総じて、見慣れた日常から「出立」し、「試練」を経て(通過儀礼、イニシエーション)、「帰還」する。
偉業を成し遂げた彼らは、帰還したときには大きく“変化”している。
それは名誉や超越的な力、異国の財宝などを獲得した帰還で周りの人間に良い影響を齎していく――そして究極的なものはイエスやブッダの悟り境地である。
一連の流れの要点で章立てられ、複数の神話から該当する箇所が挙げられている。
読み進めていくと、神話や英雄譚を追体験するような、心地よさがある。
ギリシアやヨーロッパの神話にかぎらず、ブッダ、キリスト、ムハンマドの宗教から、日本やインド、アフリカ、ネイティブ・アメリカンの神話まで、幅広い紹介に感嘆してしまう。
日本の神道(日本神話)や、インドのヨーガのルーツを組んだ禅の思想から形成された芸道(ここでは特に茶道について)への理解にも驚く。
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世界各国の神話を,その内容を引用しつつ,幾つかのパターンに分類した書.「全ての神話は人の無意識から紡ぎ出されている」というユングやフロイトのような前提に立っているが,たしかに,長年神話が語り継がれ,支持されてきた理由としては,説得力がある.原著の初版の出版は1949年という,超古典.
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全世界的に存在する「英雄伝説」には共通する基本構造が
存在する。すなわち、日常からの出立〜異界での試練・通過
儀礼〜現世への帰還という構造である。世界に散らばる神話
や伝説を大量に引用・編集し、その構造を浮き彫りにしよう
という本である。一巻目は著者が単一神話(モノミス)と命名
したその英雄譚のうち、出立から異界での試練までを扱って
いる。
初出が1949年ともはや古典なのではあるが、圧倒的とさえ
言える迫力があり、今でも色褪せていない。比較神話学の
金字塔である。
引き続き下巻に進みます。
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世界各国の神話や伝説に登場する英雄や神々の類似性から、それらのストーリーや登場人物たちの役割あるいは啓示を読み解いていく。神話が単なる過去の人々が創作した昔話ではなく、現代にも通じる人間の生き方を指し示していることを伝えてくれます。導入部分は難しく感じたのですが、読み進めていくにつれ知っている神話なども登場してくるので、なんだか物語を読み聞かせてもらっているような気持ちになります。スターウオーズやダヴィンチ・コードの原点ともなった著作なんだとか。
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物語性の基本形を学んでみたいなと思って手に取った本。西洋では有名な?物語が続くため、こちらは慣れがない。そういった点からも読むのが結構大変。
といった点から途中リタイヤ。
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2017/01/26
この低評価によって僕は自分の無学をさらすことになると思うけれど、それも止むないかなと思う。
僕がこの本に求めた情報は、神話の構造類型とその要素だった。しかし、この本は、様々な例や(僕には理解できないし、時々承服しかねる)精神分析的・神話学的な用語や論理展開でいっぱいだった。求めた情報はもちろんあった。でも意味のわからない部分も多々あった。
だから、僕は上巻で読むのを止める。もし上の目的のために読むのなら、別のものに当たった方が良いのかなと思った。
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民俗学よりは精神分析に寄った内容で、ちょっと期待と違った。アメリカ映画のストーリーが画一化されてしまったのはこの本のせいだという指摘があるようだけれども、これを読んだだけではさすがに判断できない。
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キャロル・ピアソンの「英雄の旅」を読んで、そのまま、その原典ともいえるキャンベルの「千の顔をもつ英雄」。
キャンベルの最初の主著。
ということで、ちょっと難しいのかな、と思った。
というのは、学者が書く最初の本は、博士論文、あるいはそれにもとづくものであることが多くて、結構、学問的な厳密で、門外漢には読みにくいことが多いので。。。この本のもともとの訳書へのアマゾンのコメントでも、難しいみたいなのがあったので、読むのを逡巡していた。
そうしたなか、ピアソンの「英雄の旅」に出会い、さらにはハヤカワから、新訳で、文庫本ででてきたので、これはもう読むしかない。
読んでみたら、あれあれ、これめちゃくちゃ面白い、読みやすい。左脳的にも、右脳的にも、すごくエキサイティングです。
ルーカスがこれを読んで、「スターウォーズ」のシナリオを書いたというのも大変よくわかる。「スターウォーズ」が単純なアンドヴェンチャーものにならなかったのは、底にキャンベルの神話論があったからなんだね。
こんな素晴らしい本が、新訳で文庫で読めるとか、本当にいい時代だ。
多分、「スターウォーズ」の新シリーズ開始に合わせた出版だと思うけど、本当にルーカスさまさまだ。
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神々の名前や神話でのエピソードが唐突に出てくるため、その世界に疎い人は読むのに苦労するかもしれない。おそらく、本書ほど神話も絡めた英雄について解説しているものもないと思うので、貴重な本ではある。上巻では、英雄の出立からイニシエーションまでを解説。知識の密度が高く、一読で理解するのは難しい。何度も読み返したり類書を読めば、例えば、小説を読む人は作品に隠されたメッセージなどを深く理解できるようになるかもと期待を持ち、頑張って読む気力となる。私は海外の神話や英雄はよく知らないので、日本の神々を題材にした類書を読んでみたい。あるかどうかは分からないけれど。
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世界各地の神話・民話や宗教書は象徴言語で書かれている。精神分析的アプローチで人間が心の拠り所としてきた基本的な真実を読み解く。類似に焦点を当てて、人間を理解する。
博識。各地の神話が同列に並べられると、確かに、よく似たストーリーが浮かび上がってくる。
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本書は、依然比較神話学の古典であり、「スターウォーズ」その他に多大な影響を与えた英雄伝の指標である。この度、新訳として手頃な価格で文庫本が出ていたので、とりあえず上巻を購入した。しかし、実際買ったのは今年の2月8日。なんとか読み終えたのは8月20日という、私としてはたいへんな遅読となった。内容が少し専門性がある、濃い、というのもあるが、いつか日本の弥生時代を舞台にした英雄譚をモノにしたいと目論んでいる身にとって、刺激があり過ぎたからである。
「指輪物語」を引き合いに出すまでもなく、英雄は日常から召喚され、旅立ちをし、死地に向かい、様々な試練に逢い、そして勝利或いは大きな恵みを与えられ、英雄は帰還してその物語を終えるのが一般だ。
キャンベルは、第一部において、それを更に細かく分類する。「出立」は、「冒険への召命」(英雄に下される合図)、「召命拒否」(神から逃避する愚挙)、「自然を超越した力の助け」(下された使命にとりかかった者に訪れる思いもよらない援助の手)、「最初の境界を越える」、「クジラの腹の中」(闇の王国への道)という具合である。次の舞台「イニシエーションの試練と勝利」では、「試練の道」(神々の危険な側面)、「女神との遭遇」(取り戻された幼児期の至福)、「誘惑する女」(オイディプスの自覚と苦悩)、「父親との一体化」、「神格化」、「究極の恵み」と移ると云う。「英雄の帰還」は更にこのように分類される。「帰還の拒絶」(拒絶された現世)、「魔術による逃走」(プロメテウスの逃走)、「外からの救出」、「帰還の境界越え」(日常の世界への帰還)、「二つの世界の導師」、「生きる自由」(究極の恵みの本質と役割)となっている。上巻では上記のうち「イニシエーション」までが書かれている。
すべての神話がすべての要素を持っているわけではない。しかし、確かに、ヤマトタケルから桃太郎まで、驚くほどにその構造をなぞっているのに、気がつくのである。
以下、上巻で面白かった部分の一部を記す。
○クジラの腹の中というのは、子宮のイメージを持つ。英雄は、未知のものに「呑み込まれ」、1度死ぬ。そして再生する。
○障害物や人食い鬼などすべてを乗り越えたあとの最後の冒険は、一般的には勝利を手にした英雄の魂と世界の女王女神との神秘的な結婚で表現される。
○男でもあり女でもある神は、神話の世界では珍しくはない。
2017年8月読了
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物語論について学んでいくと、必ず出会う古典中の古典。 もとは、1948年に書かれた。
世界中の神話についてを学んだ著者が、その共通点について調べ上げ、物語の基本構造を分類していく。
上巻は、
出立
イニシエーション
下巻は、
帰還
鍵
流出
処女出産
英雄の変貌
消滅
となる。
それぞれの章は、さらに細かく分類される。
少し前の知識人として挙げられるのがフロイトで、その影響が多くみられる。
つまり、精神分析的手法で物語を読み解き、意味づけをしていく。
その中で、様々な地域の習慣なども参照し、その儀式やまつわる話までを網羅している。ギリシャ神話が多いように感じるとはいえ、洋の東西を問わずである。
その、神話に関する精通ぶりには舌を巻くばかりだが、その一方で、象徴に関する解釈は、フロイトの夢分析同様、言い切られると、眉に唾して考えてからでないと、なかなか素直に首肯できないところもある。
とはいえ、基本構造として見ていく限り、並べていくことで発見されるモチーフは面白い。
早川の、70周年記念の新訳版として出版されているが、うむむ、ちと、翻訳が読みづらい。下巻は代わるようなので、なじむといいんだけど。
某サイトより転載
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いろいろな神話を読むのはまあ面白い。夢分析とかユングを援用しつつ、そこから共通の要素を抽出して云々というところは、言われればそんな気はするが、そこまで腹落ちしない。
なんとなくキリスト教一本槍で来た文明が、他の世界の多様性を目の当たりにしてそれを受容しながら世界観を再構築するプロセスとも読めた。
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上巻読了
段々わけわからんくなってくる
神話構造は上巻の途中までで充分発見できる
そしてそれは素晴らしい
イニシエーションは、それを授けられる子にとって大きなイニシエーションだけど、それを授ける父にとっても重大なんじゃないかと思う
イニシエーションを受ける前後、だけでなく、イニシエーションを授ける前後、というのがあるんじゃないか
そんなことを思う
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[関連リンク]
真実はひとつ。人はそれにたくさんの名前をつけて語る──『千の顔をもつ英雄』 - 基本読書: http://huyukiitoichi.hatenadiary.jp/entry/2015/12/31/105146