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商品説明
父親が事故に遭い、植物状態になってしまった。延命治療を続けるべきか否か。父親の遺産は二億円だという。息子ふたりは葛藤するが…。家族のカタチと金の価値を描いた、家族サスペンス長編。【「TRC MARC」の商品解説】
不慮の交通事故で父親が植物状態になってしまった。次男の田村次也は、小さい頃から可愛がってくれた父を守るため延命治療を望むが、長男の一也がそれに異を唱えた。父が死ねば二億円の遺産がふたりに相続されるという。事業のための資金を急ぎ必要とする兄の説得に、次也の決断は揺らぐ。ふたりの妻までも巻き込み、次第に田村家は崩壊しようとしていた。そんななか、次也は思いがけない行動に出るが・・・・・・。【商品解説】
父親が事故に遭い、植物状態になってしまった。延命治療を続けるべきか否か。父親の遺産は二億円だという。息子ふたりは葛藤するが……。気鋭の新人が家族のカタチと金の価値を描いた、家族サスペンス長編。【本の内容】
著者紹介
周防柳
- 略歴
- 〈周防柳〉1964年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者、ライターを経て、「八月の青い蝶」で第26回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著書に「逢坂の六人」など。
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紙の本
家族・親族間の人間模様を描く
2020/09/01 23:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろいろなジャンルの小説を発表している周防であるが、今回は複雑な家庭環境にある家族同士の葛藤を描いている。タイトルからは、如何にも犯罪の匂いがするが、ストーリー自体は犯罪の陰はない。しかし、ミステリーと見れば見られないことはない。
中心となるのは兄弟である。ぐーたらで性悪な兄と真面目な弟の間での葛藤である。兄は自分で事業を行っているが、どれもこれも失敗が続き、生活する金さえ覚束ない。それにも関わらず、新たな事業を探し出してきては損をしている。弟は生まれながら腎臓に疾患があり、うまく機能していない、腎臓障害の行き着くところは透析か移植である。
病気を抱えながらの生活であるが、父親が交通事故にあい入院する。当初は怪我だけだと思われたが、脳に障害が残り、意識を失ってしまった。兄弟の間では植物人間になった父親の延命措置をめぐってもめてしまう。その際に工務店を経営していた父親の財産が2億円だという。
この財産をめぐって事業継続を目論む兄と、父親の生存を重視する弟の争いとなる。加えて、それぞれの配偶者、子供を加えて家族、親族間の付き合いが不安定になる。そこに意外な事実が弁護士からもたらされる。
これまで周防の歴史ものが気に入っていた。『逢坂の六人』、『蘇我の娘の古事記』、『高天原―厩戸皇子の神話』がそれである。とくに『逢坂の六人』はもっと人気が出てしかるべきであろう。それ以外もその切り口に特徴があって面白い。残念なのは寡作家なのか、作品数が少なく、新作を待たされることである。