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- カテゴリ:一般
- 発売日:2016/03/10
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/485p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-219989-6
紙の本
我々の恋愛
著者 いとうせいこう (著)
2001年、世界の恋愛学者によって開催された「二十世紀の恋愛を振り返る十五カ国会議」で「二十世紀最高の恋愛」に選ばれたのは、日本の片隅に住む若い男女の、世にも奇妙で不器用...
我々の恋愛
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商品説明
2001年、世界の恋愛学者によって開催された「二十世紀の恋愛を振り返る十五カ国会議」で「二十世紀最高の恋愛」に選ばれたのは、日本の片隅に住む若い男女の、世にも奇妙で不器用な恋だった…。『群像』連載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
20世紀最高の恋愛は、間違い電話から始まった!2001年、日本の山梨で『二十世紀の恋愛を振り返る十五カ国会議』が開催され、世界中の恋愛学者が集まった。そこで「20世紀最高の恋愛」としてグランプリに選ばれたのは、日本のありふれた若い二人の、世にも不器用で奇妙な恋だった――。1995年の日本から2001年のアメリカへ、電話線とネット回線がつなぐ、時代の転換点に生まれた恋の物語。
作家・クリエイターとして幅広く活躍し、『想像ラジオ』(野間文芸新人賞受賞)で大きな注目を集めた、いとうせいこうの本領発揮、多面的な魅力に満ちた最新長編小説。
2001年、日本の山梨で『二十世紀の恋愛を振り返る十五カ国会議』が開催され、世界中の恋愛学者が集まった。そこで「20世紀最高の恋愛」としてグランプリに選ばれたのは、日本のありふれた若い二人の、世にも不器用で奇妙な恋だった――。
舞台は1995年の日本と2001年のアメリカ。東京郊外の遊園地とカイコの街・桐生、イスタンブールと神戸の間で、電話線とネット回線が結び付ける、20代男女と60代男女の運命の行方は――?切なくもノスタルジックな恋愛ドラマに荒唐無稽なユーモアをちりばめて描く、「時代の転換点」を生きた恋人たちの物語。【商品解説】
著者紹介
いとうせいこう
- 略歴
- 〈いとうせいこう〉1961年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。作家、クリエイター。「ボタニカルライフ」で講談社エッセイ賞、「想像ラジオ」で野間文芸新人賞と静岡書店大賞(小説部門)を受賞。
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紙の本
恋愛が個人のものではなかった時代の回顧録でありつつ
2017/06/25 05:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
いとうせいこうのファン歴、結構長いです。『ノーライフキング』から読んでます。同時に、ラッパーでもありコントもする彼が好きでした。
なので彼の少々難解な文にも慣れが。読み始めて・・・あ、これはシュールコントの流れか、とニヤニヤ。学会で真面目に報告が行われているんだもの。
恋愛とは個人的なものだと思っていた。なのに、『我々の恋愛』。その<我々>とは個人のエピソードの集合体ではなく、ひとつの恋愛をみなで見つめるもの。 それがそもそもツッコミどころ。
なのに、私はうっかり70ページ目で泣いてしまったのでした。
傍から見ている人にとってはどれほど奇妙なことであっても、当事者にとってはごく自然なこと・当たり前のことと感じる“ずれ”は恋愛における純粋さなのでしょうか、それとも“恋は盲目”だからなのでしょうか。
2001年5月、『二十世紀の恋愛を振り返る十五カ国会議』が山梨で開催され、世界中の恋愛学者が集う。 そこで「二十世紀最高の恋愛」と学者たちに選出されたのは、日本の若い二人の、ありふれていながらも世にも不器用で奇妙な恋だった。 <BLIND>と題された研究報告と、その会議に出席した学者による手記<ヤマナシ・レポート>、恋愛の当事者によるコメントと、<ヤマシナ・レポート>著者であるトルコの詩人の私的な書簡などが入り混じり、「二人の恋愛」について語り合うはずの記録がいつしか様々な時代と恋愛の記録となる、という話。
すごく面白かった! ハードカバーなのに通勤カバンに入れて持ち運んでしまった。
虚構と縫い合わされた事実の羅列の前に、戸惑う人もいるかもしれない。意外に大作ですし。でも、そこを乗り越えたらぐんぐん面白くなるので最初は読み流しつつでいいので、とりあえず進んでください。そうすれば、多分戻りたくなる。
これはその時点における現在から過去と未来を想う(そして読者にとってはその未来すら過去なのだが)、ノスタルジックな『20世紀物語』。
報告<BLIND>が“恋は盲目”の意味ではないとわかってからは、SFの様相を呈するのだけれどそれがまったく違和感がない。むしろ、「もともとSFだったのかな?」ぐらいの気持ち。
ここで語られる恋人たちの時代には携帯電話はない。出会いのきっかけはそもそも間違い電話からで、片方が電話番号を知らない事態がしばらく続く。今から思えばこんなもどかしいことはないが、確かにそういう時代はあったのである。だからこそ、仕事仲間や友人の恋愛の悩みに、わがことのように親身になって相談に乗ったりしていた(ときにそれがどれほど見当違いなことであっても、当人たちはいたって真剣である)。 そんな当事者意識のある“我々”、そんな不便な時代があったとは知る由もない“我々”と、読者もまた二分されている。
そんなメタフィクションを織り込んだ、いとうせいこうお得意の手ですか、と、ところどころ笑って(ツッコミを入れつつも)読みながら思っていたのだが・・・会議が行われたのが2001年であることの意味に気づいたときには戦慄した。
・・・そうか、これはもうひとつの『想像ラジオ』だったのか。
過去から未来への、未来から過去への、全世界規模の鎮魂。
それは現在進行形でもある。
ただ、それは作者はあまり大きく取り上げてほしくないことかもしれない。
多分、彼が目指したものは壮大なシュールコントだから。