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紙の本
アルファベットではなく自分でいること
2023/08/23 08:31
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投稿者:天使のくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
美大を卒業したA子さん、職業は漫画家。同級生のA太郎君と7年付き合った後、渡米し、3年間ニューヨークで暮らす。その時の恋人がA君。日本語の翻訳家。でも、A君がA子さんに結婚を申し込んだときに、決心がつかずに帰国。A君はニューヨークに取り残されてしまう。そこに現れたA太郎。それに、U子さんやI子さんやK子さんら女友達。とりあえず、三角関係がどうなるのか。
横糸となるのは、A子さんのデビュー作を描きなおすことができないでいること、A君は大江健三郎の『空の怪物アグイー』を翻訳中。A太郎は美大を卒業するも、そこにこだわることなく、店頭販売員で生計を立てる。
A君にプロポーズされたA子さんは答えを引き延ばし、日本でA太郎に復縁を迫られる。
焦点は、答えを先延ばしし続けるA子さんの結論なのだけれども、まあ、読んでいてイライラする人はいるだろうな。うちの娘とか。でも、A太郎と復縁することはないっていうことは、わかっている。一方、A君も日本にやってくるけれど、結論を得られない。
一方でどうどうめぐりの三角関係を読み進めていく、ということでもあるのだけれど、もう一つの落ち着く先っていうのは、クリエイターはクリエイターに引き寄せられるっていうことなんじゃないか。A子さんがクリエイターでいるためには、A太郎ではだめだったという。だからこそ、A子さんは自分が結婚しても自分でいられるのかどうか、自信が持てなかったし、だからずっと逡巡する。自分でいること、それはアルファベットではない自分の名前が示すものでもある。
シンプルな絵で描かれたこの作品は、ずっとシンプルな答えを目指してぐるぐるとまわってきた。それに、クリエイターが特別なものなのではなく、自分自身でいることが特別なことでもある。A太郎もU子もK子もI子もまた、それは同じだ。