紙の本
子供問題
2017/07/01 16:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
保護者や支援機関はもちろんのこと子供の視線からも公平に報告されている姿勢が好感が持てる。様々な問題を抱えつつもこれからにつなげていかなければならないと考えさせられる。
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児童相談所、一時保護所の実情を伝えています。子どもにとってはかわいそうですね。著者の言うように、児相と地域が一緒になって寄り添っていくのが理想だと思いますが、その根本にある、子どもの貧困連鎖を絶ちきりたいですね。教育が大事だってことですよ。
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児童相談所がそんなひどい所だったとは……。もちろん、そんな場所ばかりではないことは、この本にも書いてあるし、日々頑張って働いている職員がたくさんいることも書いてある。けれども、ひどい場所ひどい職員がいることも事実だ。
家庭にも恵まれず、保護された場所にも恵まれず、そんな状況で育った子どもはどうなるのだろうか。
そこで働く人も言いたいことはいっぱいあると思う。本にも書かれていたが、児童相談所にはいろいろな子どもが来るので、優しくするだけでは管理できない面もあるだろう。だからといって、監獄のような生活でいいというわけではないだろう。
まずは、職員の増員が急務だ。
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児童養護施設ではない、一時保護所という存在すらよくわかっていなかったけれど、親と暮らせないこどもが直面する現状と著者の課題認識がよくわかりました。
突如家族から学校から地域から切り離され一時保護所に連れられる上に、保護されるべきなのに監視下に置かれるこどものことを考えるとほんとうにつらいし、こどもに比重をおかない日本の未来に不安を覚える。
こどもの貧困は最近よく聞くキーワードですが、一時保護所という切り口で現場のリアルな声をもとにしたこのレポートを読んで、問題認識がもっと世間に広がってほしいと思います。
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児童相談所の現状をルポルタージュした本。
単なる児相の批判本ではなく、良い面、悪い面をともに取り上げるとともに施設毎でも違いが大きいことにも言及。
子供、現場それぞれをしっかり取材していることが読み取れる良書。
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「児童相談所」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?
普通の生活をしていれば、この施設のお世話になることはほとんどないだろう。虐待を受けた子どもたちの相談や、養育困難な家庭の対応、そして非行や虐待によって家庭にいられなくなってしまった子どもたちを一時的に保護するといった仕事を行っている児童相談所の仕事は、社会からはなかなか見えにくくなっている。だが、その世界に一歩足を踏み入れると、そこには驚くべき現実が広がっていた。モルガン・スタンレー・キャピタル出身で、NPO法人Living in Peaceを設立し、子どもたちの支援を行っている慎泰俊による著書『ルポ 児童相談所 一時保護所から考える子ども支援』(ちくま新書)から、その実態を見てみよう。
本書を一読して驚かされるのは、児童相談所における子どもたちの扱いだ。虐待、貧困、非行などによって、家庭での養育が困難となった子どもたちが一時的に預けられる「一時保護所」では、一昔前まで体罰が当たり前の世界だった。体罰こそ減ったものの、現在でも「外出禁止が徹底され、学校にも行くことができない」「脱走防止のために窓を開くこともできない」「私物はおろか、服も持ち込めない」「男女のトラブルを避けるために兄妹であっても会話ができない」「連作先交換を防ぐために紙の使用も管理されている」など、すべてが「トラブル防止」の名のもとに、徹底的に管理されている。在所経験のある人々は、この施設について口々に「あそこは地獄だ。思い出したくもない」「刑務所のような場所」と表現。さらに、一部の保護所では、トラブルを起こした子どもに対しては「個別対応」という名前で、4畳の個室での隔離生活を強いる。これは、独居房と何が違うのだろうか?
かつて、一時保護所は、非行少年の入所比率が高く、暴力や規律で徹底的に押さえつける必要があった。また、近年は被虐待や精神障害で入所するケースが多く、心の傷がちょっとしたことで爆発してしまうこともある。そんな、さまざまな問題を抱えた子どもたちを一箇所で集団生活させるため、このような抑圧的な方法を用いて管理しているのだ。
もちろん、神奈川県の中央児童相談所のように「子どもを守るための場所なのだから、子どもが逃げ出したがるような場所であるほうがおかしい」と、子どもに寄り添った一時保護所を開設している自治体もあるが、上記のように抑圧的な一時保護所は少なくない。その原因を、慎は、職員数の不足とともに、職員の子どもたちに対する想像力の欠如に見ている。慎自ら、携帯電話を切って一時保護所で2泊3日を過ごしたところ、彼は、宿泊が終わって外に出た瞬間に言い表せないほどの開放感を感じたという。シフト制で働き、仕事が終われば帰宅する職員たちには、その閉塞感が理解できないようだ。
また、児童相談所そのものに目を移してみると、別の深刻さが浮かび上がってくる。
虐待を受けた子どもの支援や養育困難な子どもやその家庭の対応にあたっている児童相談所では、つねに職員ひとりあたり100件あまりの対応を行っている。9年に1101件だった相談件数は、15年には10万3260件と、およそ100倍にまで増加。虐待数そのものが増加しているのか、通報しやすい環境が整えられているのかは定かではないが、職員の負担は増加の一途を辿っている。この15年間で、児童福祉司の数は1230人から2829人に大幅に増員されたが、相談件数の伸びには追いついておらず、「あと2〜3倍の人員が必要」というのが現場の声。多忙のあまり、深刻な虐待を見のがし、虐待死事件に至ってしまったという、取り返しのつかないケースも報告されている。
このような状況を打破すべく、慎が提言するのは、行政による子供向け対策の抜本的な改革とともに、3〜4年のローテーションで部署を異動する役所内の人事制度の見直しだ。また、民間でも、児童相談所に頼るばかりでなく地域の努力によって状況を好転させることはできると説く。
虐待を受ける子どもたちに罪はない。しかし、増え続ける虐待によって職員が忙しく目配りできない環境や、一時保護所の抑圧的な対応は、子どもたちを救うばかりかますます不幸にさせていく。行政と民間がこの問題に向き合って根本を改善しない限り、すべての子どもたちが安心して生きられる社会はやってこないのだ。
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貧困や虐待など子ども支援の中核である児童相談所。そこに併設されている一時保護所に取材を重ねて書かれたのが本書。
一時保護所での日常生活に驚かされる。通学はおろか外出はほとんどできない。食事や入浴、トイレも管理されている。今後の見通しや行き先がわからない状態で全国平均1ヶ月、中には1年以上生活している子どもたちもいるという。
最終章ではよりよい子ども支援について著者の見解が示されています。
ソーシャルワーカーはもちろん、教員やカウンセラーなど子どもに関わる仕事に就いている人、目指す人におすすめしたい1冊です。
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Iさんの仕事を理解するために、というかIさんにいいとこ見せようとして借りたもの。こうやって仕事しながらNPO法人も立ち上げて、児童養護施設とか一時保護所とかにも泊まってみたりして、と行動力のある人は違う。前Mに言われた「行動できる人はもうやっている」的なことは今も耳が痛かった言葉として残っている。あれから私が始めたのはあしなが育英会の寄付だけだ。地域でみるなんてきれいごとな気がする。他人を信じることができるか、にかかっている。若い親世代も。そして、ここでも貧困問題は大きい。
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■一時保護を行う必要がある場合。
①緊急保護
・養護の必要があるケース。棄児,迷子,家でした子供など,保護者又は寝泊まりする場所がないために緊急にその子供を保護する必要がある場合。
・虐待等(ネグレクトを含む)のケース。そのような状況にある子供を家庭から一時的に引き離す必要がある場合。
・非行のケース。具体的には,子供の行動が事故又は他人の生命,身体,財産に危害を及ぼし若しくはその虞がある場合。
②行動観察
・児童相談所が子供の援助指針を定めるために,一時保護を通じて十分な行動観察,生活指導等を行う必要がある場合。
(例えば,里親での生活がうまくいかないと判断(不調という)さえた場合)
③短期入所指導
・子供にとって短期間の心理療法,カウンセリング,生活指導等が有効であると判断される場合であって,子供の性格,環境等の条件により,他の方法による援助が困難又は不適当であると判断される場合。
■一時保護される子供の親の状況を見ると貧困が連鎖する現状を痛感せずにはいられない。
・一時保護所にやってくる子供の親の年齢層は20~50代がほとんどで中卒の割合が3割,高卒は4割。大卒に至っては7.2%。
・現代日本においては学歴と就労状況には相関がある場合がほとんどであるが,一時保護された子供がいる家庭において親が失業中である場合は約4割と,全国平均の倍となっている。
・犯罪歴の持ち主は1割,精神疾患保有者は3割弱,何らかの依存症を有していると思われる人が1割以上と日本全体からすると特異な状況にある。
・7割の親のどちらかに離婚歴があり,生活保護受給率は2割以上。
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子供の虐待のニュースが出るたびに一緒に名前の出る児童相談所。どういう組織なんだか、どういう仕事をしているのか、実態がよくわからない。虐待を阻止できなかったと非難されることがよくあるが、阻止した事例も相当数あるんじゃないだろうか?
読んでみて、大変な仕事なのだと改めて認識した。人手は足りない。相手となる虐待する親は普通ではないが、強引に保護することは簡単ではない。法律のバックアップも十分ではない。わけのわからない法律を作っている暇があったら、こっちなんとかしろよと思う。
欧米の事例が知りたいと思った。子供をホテルに放置すると逮捕されると聞いたが、そのあたりの法律的なバックアップはどうなっているのか。児童相談所に相当する組織はどのように動いているのだろう。
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児童相談所についての雑多な役割について、一時保護所に焦点を当てて現状と課題解決の方向性を示している。職員だけでなく保護所にいた子どもたちからも丁寧に取材されている。以前実習したときの違和感に合点がいった。守られるべき子どもたちが厳しい規則で縛られている不合理さ。
良い一時保護所と悪い一時保護所、都道府県ごとの平均在所日数、子どもの貧困率と一人親家庭の子どもの貧困率など各国比較など図示。
フィンランドの教育改革の紹介、教育は投資という。
児童養護施設歴史上初となる海外大学留学輩出した鳥取こども学園。児童園こどもの里を題材とした映画は観てみたい。
なんでも児相に一極集中から流れを地域へ社会的養護の受け皿つくりの必要性についての仕組みつくりの提案がなされている。著者のNPO活動にも注目していきたい。
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著者は社会的養護下にある子どもの支援に取り組む非営利活動法人Living in Peace代表理事。児童相談所以上にその実態が知られていない一時保護所に焦点を当て、一時保護所経験者の声を集め、自ら施設に泊まり込みもしてまとめられている。貧困や虐待のデータを示した偏らない主張と行政等への具体的な提案に説得力。以下、備忘。
・一時保護所の処遇内容は地域差が大きく、元教護院など保護所の歴史が影響している。
・目を合わせてはいけない、私語禁止、私物不可、ルール違反に懲罰部屋等々極めて抑圧的な保護所も。一時保護所が耐えられず、虐待されても家庭復帰を選択する子どももいるなど、子どもの保護を第一にした場になっていない。
・鳥取県の取り組み。
・非行、被虐待、精神障害の3種類の子どもが処遇される管理上の難しさ。職員不足。
・処遇決定のフロー(大変参考になった)
・児相職員の訪問が家庭を追い詰めている?
・家庭支援と家庭介入を同時に児童相談所が担う矛盾。敵対しつつ支援は困難。アメリカでは第三者機関が保護決定をし、相談所は家庭支援に専念。
・児相の人事改革、児童福祉士の増員、児相に比べ一時保護所の職場内地位が低い現状の改善、児童相談所への外部監査。
・市区町村や地域との連携。大阪「こどもの里」、平塚の取り組み。
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多くの取材、それも内部からの視線であるのは納得しました。
学校の協力は重要とする。子どもが家庭の次に多くの時間を過ごしているのは学校であるから。これは説得力のある意見だ。
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メモです
◯問題点
・児相の一極集中化
・多くの地域、特にコミュニティが弱って子どもを支える力が失われていることで、児相が子供とその親の問題を全て一手に抱えていること
→細かいケアができない、児相自体に外部の目が行き届かない
心理士は、子供の心理状態+安らかに過ごせる環境づくり
・学校との連携の重要さ、他機関との情報共有
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親の虐待や貧困、犯罪などで面倒を見てもらえなくなった子どもたちは児童相談所が管理する「一時保護所」で保護されることになる。その名の通り一時保護であるが、身寄りのない子どもにとって、すがるべき施設であり、重要な教育の場でもある。その保護期間中に子どもの自宅や親戚宅、里親など受入先が決められる。
著者はいくつかの一時保護所を訪問し、時に宿泊もして、日本の一時保護所の実態と親と離れた子どもたちの生活について記す。
本書を読んで一時保護所の一番の問題点は子どもの人権を無視した運用だろう。1人の人間を隔離し、衣食住を制限し、その終了日も明確にされない。しかも、その強制力の法律的根拠も薄い。逆らわない子どもといえど、こんな扱いでは将来に影響するだろう。とはいえ、子どもを野放しにするわけにもいかないし、一時保護所の人員や予算は限られている。
著者はその解決案として一時保護委託を提案する。子どもを住む場所から遠く離れた一時保護所に送るのではなく、近隣の施設やボランティアなどに預けることだ。
そんなの性善説に頼りすぎている、シロウトに子どもを受け入れさせるのは危険、と批判するのは簡単だ。しかし、高齢化社会での貴重な子どもを守り、教育することは社会全体の義務だろう。何かあれば、児童相談所に責任をかぶせておく時代じゃない。