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- カテゴリ:一般
- 発売日:2017/03/24
- 出版社: 日本経済新聞出版社
- サイズ:20cm/251p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-532-17142-1
紙の本
小説日本博物館事始め
著者 西山 ガラシャ (著)
自分一人でもミュージアムを創る。留学中に観た大英博物館のような…。旧物破壊・廃仏毀釈の嵐に抗い、新政府内の政争に巻き込まれながらも粘り強く夢を実現させた官僚・町田久成を主...
小説日本博物館事始め
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商品説明
自分一人でもミュージアムを創る。留学中に観た大英博物館のような…。旧物破壊・廃仏毀釈の嵐に抗い、新政府内の政争に巻き込まれながらも粘り強く夢を実現させた官僚・町田久成を主人公に描く、日本文化の維新の物語。【「TRC MARC」の商品解説】
明治15年、現在の東京国立博物館が竣工した。外交官の道を断たれた男の、もうひとつの夢の実現でもあった。
――御一新とともに、寺や城は壊され、仏像や書画骨董が海外に流出していく。「日本が生き残る道は西洋の物真似しかない」と多くの人は信じているが、文明開化の時勢に流されて、日本の美と技をうち捨ててはおけぬ。自分ひとりでもミュージアムを創る。留学中に観た大英博物館のようなミュージアムを――
旧物破壊・廃仏毀釈の嵐に抗い、大久保利通、島津久光、岩倉具視など新政府の錚々たる面々が相見え火花を散らす政争に巻き込まれながらも、粘り強く夢を形にした官僚、町田久成。幕末には薩摩国主の命で英国に留学した経験も持つ男を主人公として、維新の知られざる側面に光を当てたユニークな歴史小説です。
この本を読みながらの東京・下町散策もオススメ。特に、お花見や博物館・美術館での展覧会などで、上野公園を訪れる方には必携の一冊です。【商品解説】
目次
- 第一章 出処進退
- 第二章 人力車に乗る仏像
- 第三章 鶴丸城の怒号花火
- 第四章 金印と金鯱
- 第五章 暗転
著者紹介
西山 ガラシャ
- 略歴
- 〈西山ガラシャ〉1965年名古屋市生まれ。南山短期大学卒業。2015年「公方様のお通り抜け」で日経小説大賞を受賞し作家デビュー。
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紙の本
知らないことばかり
2017/12/10 20:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:想井兼人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京国立博物館は、上野公園にあった当たり前の存在。
しかし、それがなぜそこに在るのか、どういう経緯をたどったのか、知る人はほとんどいないのではないか。
本書は小説という方法により東京国立博物館の成り立ちを教えてくれる。
主人公は薩摩藩出身の町田久成、後の東京国立博物館の初代館長となる人物だ。
もともと外務省の職員だった町田は、国賓として迎えた英国皇子のアルフレッドへの対応により職場を追われる。
外務省を追われた町田のもとに大久保利通が近づいた。
もと薩摩藩主島津久光を説得するという命を与えるというのが、その理由だ。
この仕事、町田はいやいや応じたわけだが、その変わりに獲得した維納(ウィーン)万国博覧会という業務だ。
この餌をかざしながら、町田を説得する大久保。
それに応じた町田。
これが、東京国立博物館への第一歩だったようだ。
日本は近代化へと邁進していた。
新しきものを良しとし、古いものを軽んじる風潮は、人々を行動へと駆り立てた。
古いものを手放し、破壊する人々へ強い憂いを抱いた町田。
町田の憂いに応じて大久保は古器旧物保存方という法をなす。
今の文化財保護法のスタートだ。
島津久成を東京へ。
この至上命題のため、大久保は町田を駆り立て、町田は自らの理想を追求するきっかけを掴んだ。
その延長に上野への博物館建設という事業が存在した。
当初、文科省事業で始まった博物館建設は、大久保がトップに立つ内務省所管にする。
そして、急ピッチで仕事は推し進められるはずだったが、大久保利通の暗殺で頓挫しかけた。
町田は、もと公家の岩倉具視に縋りつき、岩倉は博物館を宮内省の管轄下に置くことを条件に援護射撃を引き受けた。
そして、ついに帝室博物館が誕生した。
東京国立博物館は当たり前のように存在する。
多くの人たちが世界中の文物を愛でに詣でている。
その歴史的背景を知らずとも十分楽しめるし、そもそも知る必要はないのかもしれない。
博物館設立の目的が文物の永久保存にあるのだから。
紙の本
日本博物館の父
2017/05/20 17:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カンゾーセンセイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史小説のコーナーで「博物館」のタイトルに魅かれ中身にも目も通さず購入しました。町田久成の事と読み始めて気づき、久成の生き様に感銘を覚え一気に読んでしまいました。町田久成は薩摩藩英国留学生のリーダー格でしたが、五代友厚、森有礼、村橋久成、長澤鼎などは知られていますが、もう少し注目されても良い人物と思います。明治維新は薩摩藩の西郷、大久保などの活躍で成し遂げられました。武家社会が終わり廃藩置県の実行というダイナミックな国の体制の変革は藩主の父である島津久光や上級武士には納得できないものがあったと思います。島津久光が昼間の花火に興じたこともその鬱憤を晴らす気持もあったことがよく表現されています。久成にしても体制が変わらなければ、薩摩藩の家老職などを務める人材であったと思いますが、西郷、大久保のような国の中枢を担うような立場にはなかったため、廃仏棄釈や西洋への売買により日本の重要な仏像など貴重な物が失われることを久成は憂慮し、留学で経験したことから、日本にも大英博物館のような博物館を上野の地に造ることに奔走しました。大久保の暗殺などにより計画が頓挫しそうになりながらも、久成の熱意が通じて開館となったことは、今の我々が先人の残した貴重な文物を目にすることができるのも、久成等の力の賜物と思います。初代館長を7カ月務めた後、出家しますが、目的を達成した安堵感と大久保、西郷等亡き仲間達を弔う気持ちがあったものと思います。調べてみると、昨年、国立博物館に久成の銅像が出来たことを知りました。上野には西郷隆盛像がありますが、上野に出向いた時には是非、日本の博物館の父町田久成の業績を知って欲しいと思います。西山ガラシャさんの小説は初めて読みましたが、このような歴史に埋もれた人材を、今後も書いて頂きたいとおもいます。