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- カテゴリ:一般
- 発売日:2017/03/06
- 出版社: 太田出版
- サイズ:20cm/341p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-7783-1559-7
読割 50
紙の本
さなとりょう
著者 谷 治宇 (著)
明治6年秋。道場主の娘さなは、坂本龍馬の妻りょうと出会う。龍馬の許嫁だった、さな。出会ってはならない2人の女が出会い、やがて、維新の闇に隠された事件の謎と陰謀が浮かび上が...
さなとりょう
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商品説明
明治6年秋。道場主の娘さなは、坂本龍馬の妻りょうと出会う。龍馬の許嫁だった、さな。出会ってはならない2人の女が出会い、やがて、維新の闇に隠された事件の謎と陰謀が浮かび上がる。2人の前に現われた意外な黒幕とは…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
谷 治宇
- 略歴
- 〈谷治宇〉1956年滋賀県生まれ。日本大学法学部卒業。編集者生活を経て漫画原作者へ転身。「さなとりょう」がはじめての時代小説。
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紙の本
坂本龍馬を巡って。
2021/07/05 14:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
坂本龍馬に関わった女性はおりょうが有名だが、もう一人、江戸の道場主の娘との話が一部知られている。片袖を与えられ、龍馬の妻と独り身を通す佐奈の所に、兄に会わせろと龍馬の妻を名乗る女が現れる。
坂本龍馬の死の真相を巡り、佐奈とおりょうがいがみ合いつつ、東京を駆け回る。
紙の本
絶品!
2018/03/12 18:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやいやいや、まっことこれは素晴らしい。
評判は聞いていたわけだし、だから読み始めたわけだし、
Kindleのサンプルで最初を読んで、文章もいいし、
これは面白そうだと確信したのだったが、予想をはるかに超える見事さだった。
まず興味を惹かれるのは着想だろう。
こともあろうに、坂本龍馬の許嫁だった千葉佐那と(ここでは佐奈)、
龍馬の妻だったお龍(ここではおりょう)が組んで、
歴史的なミステリーである龍馬暗殺の犯人を探そうというのだ。
あり得ない設定だけにセンセーショナルな活劇のワクワク感がある。
実際、終わり以外はそんな興味で進んで行くと言っても良い。
アクションシーンの描き方も秀逸だ。
読む前は何となく二人が仲良く力を合わせて、というイメージだったが、
そもそもライバル関係にある両者が単純にそうなるはずもなく、
性格も少なくとも外見上はまるで違う二人のぶつかり合いがまた面白い。
また物語はほとんどすべて佐奈の視点から描かれているが、
佐奈の目から見た形での一見無茶苦茶なおりょうの個性が
さりげなくその深いところまで描かれるのも、
また佐奈の視点で当然のようにその内面に入り込んでいく描写も、
それぞれ違った味わいがあるのもいい。
そもそもあの坂本龍馬に深く関わったというきわめて稀有な立場にある二人の、
その言動による心理描写が素晴らしいのだ。
そしていよいよ謎が明らかにされていく段では、
アクションが激しさを増すのと同時に事の真相もぐっと深みを増す。
何しろ日本の近代にこれ以上ないほどに深く関わった男の暗殺を扱うのである。
それが軽いとか単純なはずがない。
そしてこの作者は、その難題に正面からがっぷり四つで組み合ってそれを描ききってみせる。
繰り返せば、物語は、誰が龍馬を殺したかという歴史上の謎を軸にしている。
それについては諸説あるのが知られているだろうし、
この小説ではそれらの一部を利用しているのはそのとおりなのだが、
その使い方が巧みで、捻りもあれば、新味もある。
同時にこの小説では、その設定上、
誰が龍馬を殺したかの謎解きに向けて、それとは別にこの小説固有のミステリーとして、
誰が何のためにおりょうを、ひいては佐奈を動かしたか、というのがもう一つの軸になるわけだ。
この両者の絡み合いが見事で、魅力的なサスペンスを生み出している。
終わりがまた絶品。
幕末の裏面のようなこともよく言われるが、さすがに複雑な時代だけに、
そこで掘り下げられる歴史的可能性も一筋縄ではいかない。
ここではそうした諸々の可能性をベースに、何重にも味わい深い謎解き、展開を用意してくれるのだ。
歴史小説の醍醐味でもあろう。
それに加えて、心にくいとしか言いようのない、
苦さやら哀しさを織り交ぜた人の心の琴線に触れる演出、美学。
私にはこれらは離れ業としか見えず、もうすっかりしびれてしまった。
とんでもない力量を感じさせながら名前すら聞いたことのなかったこの作家、
どんな人かと思えば、漫画原作者の経歴が長いそうで、
小説は初めてだったらしいからまたまたびっくりだった。