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紙の本
忘れられた黒船 アメリカ北太平洋戦略と日本開国 (講談社選書メチエ)
著者 後藤 敦史 (著)
日米和親条約調印後、すぐに鹿児島・下田・箱館にあらわれ、幕閣を恐慌に陥れた「もうひとつの黒船」。日本近海測量艦隊の司令長官ジョン・ロジャーズの目的はなんだったのか。日本開...
忘れられた黒船 アメリカ北太平洋戦略と日本開国 (講談社選書メチエ)
忘れられた黒船 アメリカ北太平洋戦略と日本開国
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商品説明
日米和親条約調印後、すぐに鹿児島・下田・箱館にあらわれ、幕閣を恐慌に陥れた「もうひとつの黒船」。日本近海測量艦隊の司令長官ジョン・ロジャーズの目的はなんだったのか。日本開国の経緯をアメリカの視点から検討する。【「TRC MARC」の商品解説】
アメリカ海軍はペリーの他にもうひとつの艦隊を派遣していた。司令長官は海軍大尉ジョン・ロジャーズ。「ペリーとハリスのあいだ」の「ロジャーズ来航」は黙殺され、まさに「忘れられた黒船」といっていい。それはいったいなぜなのか? 本書は、これまでほとんど本格的に検証されることのなかった測量艦隊の、具体的な来日の経緯と国際環境について明らかにし、日本開国の事情をこれまでとは異なる観点で描きなおすことをめざす。
現在の日本史学は、ペリー来航を実際以上に過大評価しているといわざるをえない。これが、本書の立場です。ペリー来航が日本史にとって重大な歴史的事件であったとしても、それがそのままアメリカ外交の歴史にとっても重大な事件であったことを意味するわけではありません。にもかかわらず、日本人あるいは日本史の研究者は、ペリー艦隊の派遣がアメリカ外交史上でも重大事件であると思いこんでいたのではないでしょうか。
アメリカにとって最大の目的は、東アジア貿易でイギリスに対抗すること、その手段として太平洋蒸気船航路を開設することにありました。だからこそ、その航路上に位置する日本列島が、石炭補給地、遭難時の避難港、そして新市場として着目されたわけですが、それはいわば「点」にすぎません。ペリーがやったことは「点」の確保であり、続く「航路=線」の開拓の模索がなければなりません。そして合衆国はたしかに、ペリー艦隊の派遣以外にも手を打っていたのです。
アメリカ海軍は日本近海も含めた北太平洋海域一帯の測量を目的に「北太平洋測量艦隊」を派遣していました。司令長官は海軍大尉ジョン・ロジャーズ。この艦隊は1853年6月にアメリカ東海岸のヴァージニア州ノーフォークを出航しました(その7ヵ月前に、ペリー艦隊が日本へ向けてまさに同じ場所から出航)。さらに1854年12月には鹿児島湾、翌1855年5月には下田、そして6月に箱館を訪れています。しかも下田では、幕府に向けて日本近海測量の認可を求めるということもおこなっているのです。老中阿部正弘以下の幕閣は驚愕し、じつは開戦も辞せずという瀬戸際にまで追いこまれました。
日本開国にかかわる幕末外交史研究において、この艦隊について検討されたことはほとんどありません。ペリーおよび1856年に来日した初代総領事ハリスについては必ず言及されますが、まさに「ペリーとハリスのあいだ」のの「ロジャーズ来航」はごく一部の研究者に知られるのみで黙殺されたかっこうであり、まさに「忘れられた黒船」といっていいのです。それはいったいなぜなのか……?
本書は、これまでほとんど本格的に検証されることのなかった測量艦隊の、具体的な来日の経緯と国際環境について明らかにし、日本近代外交の起点ともいうべき開国の歴史を、これまでとは異なる観点で描きなおすことをめざします。【商品解説】
目次
- 序 章 ペリー来航史観の陥穽
- 第一章 十八~十九世紀の太平洋世界
- 第二章 海原への「明白な天命」
- 第三章 わきあがる対日遠征論
- 第四章 もうひとつのアメリカ艦隊
- 第五章 ペリーの影
- 第六章 いよいよ日本へ
- 第七章 ロジャーズ来航
- 第八章 歴史の波間に
- 終 章 日米邂逅の世界史的意味
著者紹介
後藤 敦史
- 略歴
- 〈後藤敦史〉1982年福岡県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学。京都橘大学文学部准教授。博士(文学)。専攻は幕末政治・外交史。著書に「開国期徳川幕府の政治と外交」など。
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忘れられたもう一つの艦隊
2022/03/20 19:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ペリー艦隊が日本を開国させる「点」とすれば本書で紹介されるロジャース測量艦隊は太平洋の航路を測量した「線」であるということが述べられる。この測量艦隊が来航した時の日本とアメリカの日米和親条約の解釈の違いがハリスの修好通商条約につながったりと日米関係史の新たな一面を学ぶことができた。
紙の本
忘れ去られた艦隊
2017/07/05 15:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読書人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、1853、54年のマシュー・ペリーの来航と、1856年のタウンゼント・ハリスの来航のまさに中間期にあたる、1855年のジョン・ロジャーズの来航について論じたものである。
ジョン・ロジャーズが率いる北太平洋測量艦隊は、これまでにほとんど研究されたことがなく、忘れ去られていたようである。
そこで、著者はこの艦隊がどのような目的をもって来航したのかを、当時のアメリカ合衆国の太平洋進出構想をふまえながら検討している。