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紙の本
庶務行員多加賀主水が悪を断つ (祥伝社文庫)
著者 江上剛 (著)
第七明和銀行高田通り支店の庶務行員・多加賀主水のもとには、相談事が絶えない。世間では「ヤベノミクス」が推し進められる中、国債の危機を訴える一派が何事かを企んでいた…。『小...
庶務行員多加賀主水が悪を断つ (祥伝社文庫)
庶務行員 多加賀主水が悪を断つ
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商品説明
第七明和銀行高田通り支店の庶務行員・多加賀主水のもとには、相談事が絶えない。世間では「ヤベノミクス」が推し進められる中、国債の危機を訴える一派が何事かを企んでいた…。『小説NON』連載に加筆・修正し書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
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薄かった主水の影
2017/10/15 21:38
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
元銀行員の江上剛が描く庶務行員多加賀主水の第2弾である。前回は池井戸潤との庶務行員小説の競い合いであったが、今回は止めておけばよかったのにという出来である。
本書ではそのテーマとしてアベノミクスを取り上げている。分けても財政再建の本質である国債の発行にポイントが絞られている。どうも元銀行員としての江上が自己の主張を展開するために、主水の口を借りているように思えてならない。日本の銀行が国債を引き受けて購入することは問題で、日本のためにならないというのが趣旨である。これらを画策するファンドを装う一団が第七明和銀行に仕掛けをしてくる。
前回は主水が庶務行員という気楽な立場で大活躍するというストーリーであったが、今回は国債問題が大き過ぎて、主水の活躍がややかすんでしまった感がある。それが残念である。せっかく庶務行員という面白い役柄を持ち出しているのだから、こういう固い問題は別の土俵でやってもらいたかった。
この国債の問題を主張するために、様々な見方を作っている。どこかで聞いたような評論家らしき人物を登場させたり、中央官庁の役人を登場させたりモデル探しも楽しめるが、どうにも安っぽいのである。もっとよろしくないのは、神社の狐の威を借りて主水が登場するシーンである。
水戸黄門ではないのだから、もう少し何とかならなかったのだろうか。それに支店の庶務行員が会長や頭取を向こうに回して大活躍というのも現実離れが激しい。テレビドラマ化もされており、それも見たのだが、小説よりもテレビ向きなのかも知れない。もう打ち止めの頃合いであろう。