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紙の本
生と死のことば 中国の名言を読む (岩波新書 新赤版)
著者 川合康三 (著)
自分の老い、その先の死、さらに身近な人たちの死、それにどのように向き合ったらよいのか。荘子、曹操、陶淵明などの先哲、文人は何を思ったのか。彼らが残した言葉から、いまを生き...
生と死のことば 中国の名言を読む (岩波新書 新赤版)
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商品説明
自分の老い、その先の死、さらに身近な人たちの死、それにどのように向き合ったらよいのか。荘子、曹操、陶淵明などの先哲、文人は何を思ったのか。彼らが残した言葉から、いまを生きるための〈知恵〉を探る。【「TRC MARC」の商品解説】
老い、その先の死にどう向き合ったらよいのか。孔子、荘子、曹操、陶淵明など先哲、文人がのこしたことばから探っていく。【本の内容】
目次
- 一 生とは何か,死とは何か
- 1 生も死もわからない(『論語』)
- 2 生とは死へ向かう歩み(『抱朴子』)
- 3 死ぬ日がわからないから生きられる(『抱朴子』)
- 二 生は仮の宿り,死は永遠の帰着
- 1 仮の宿り(「古詩十九首」・『尸子』・『列子』・曹丕・白居易)
- 2 死は休息(『荘子』)
- 三 生ははかない
著者紹介
川合康三
- 略歴
- 〈川合康三〉1948年浜松市生まれ。京都大学大学院博士課程中退。博士(文学)。専攻は中国古典文学。國學院大学文学部教授、京都大学名誉教授。著書に「中国の自伝文学」など。
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紙の本
真摯に「生」きる力を先人の「生死」観から得られる名言集
2021/01/13 12:11
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投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一章に『論語』の「未知生、焉知死。」(未だ生を知らず、焉(いず)くんぞ死を知らんや。)が引用される。筆頭弟子子路からの難問に、大賢人の孔子と言えども、まともに答えられなかったようだ。あるいは現実世界での聖人の道を説いた孔子にすれば、人間の死後の想像世界には興味が無かったのかも。
著者は中国歴代の文人や思想家の言葉から、孔子が避けた生と死の問題を先人がどのように考え、如何に克服したかを詳(つまび)らかにしてゆく。
先人たちは生と死を様々に見詰めてきた。人生を「仮の宿り」と看たり、死を「休息」の場と捉えたり。「人生如朝露、何久自苦如此。」(人生は朝露の如し、何ぞ久しく自ら苦しむこと此くの如き。)と嘆いてみたり。
引用された唐詩の一節「年年歳歳花相似、歳歳年年人不同。」に続く「寄言全盛紅顔子、應憐半死白頭翁。此翁白頭眞可憐、伊昔紅顔美少年」の節が私は好きだ。古(いにしえ)の詩人の悲嘆が骨身に染みる白髪(しらが)雑じりの年齢になったせいか…。
「人」が「夢」見るものは「儚(はかな)い」。死を目前にすれば、誰もが走馬灯のように束の間の人生を回想するものらしい。政争に巻き込まれて死罪となった三国時代の琴(きん)の名手は、最期に琴の名曲を弾きながら、後継者なく楽曲が絶えることに涙したと著者は記す。
「治世の能臣、乱世の姦雄」と評される曹操の「遺令」が二次史料に基づき第五章で披露されているが、愛児の世話を他人に託す臨終間際の老英雄の姿が太閤秀吉の末路と重なり、なんとも哀れに思われた。必然不可避な「宿命」としての「死」は、自然な成り行きで万民に平等に訪れる。
富貴貴賤や賢愚、幸不幸、美醜などの差異があっても、人生は最後には「死」をもって締め括られる。死を厭う者、迎え入れる者。死を恐れる者、憤る者。貧窮や寿命を相対的だと覚り、限りある生を愉快に楽しむ者と、人それぞれだと知る。
あの孔子も、愛弟子顔回(顔淵)の早逝に「噫、天喪予、天喪予。」(ああ、天は私を滅ぼした、天が私を滅ぼした。)と絶望の叫びを挙げる。まさに悼む孔子の心が痛んだのだ。
「死」が永遠の謎ならば、せめて真摯に「生」と向かい合うように努めたい。生きようと努める者だけにその甘露、妙味が味わえる、この世の「生」を活かしたいものだと願う。