紙の本
ゆっくり解けていく
2021/12/19 01:14
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
いくつもの出来事が何十年にも渡って
重なり合って、絡まり合って、
ゆっくり解けていく様がすごかったです。
きっかけは風神の手の些細な動きであることが
やるせない。
電子書籍
久しぶり
2019/02/09 11:12
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投稿者:サン - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編仕立ての、実は長編という形が好きなので
なかなか楽しめました。
人の悪意はなく、止むに止まれない事情から
登場人物が動いていく。
人に優しい物語りでした。
火振り漁の描写なんかも情緒があって素敵。
ここまで構成を作り込んであるなら、
最後の、「もしあの人がこうならなかったら、
こうはならなかったんだろう」的な
くどくどした説明はいらない。
本を読み慣れている人からすると、
あまり多くの説明をせずに余韻が欲しい所。
久しぶりに道尾秀介を読んだけど、
上手くなったなーと、思った。
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4編からなる連作短編集。
風が吹けば桶屋が儲かるではないが、ちょっとした出来事が話が展開していくにつれ、思いがけない連鎖となっていく。
読み終わって、タイトルの上手さに納得。
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登場人物たちの人生が知らず知らずのうちに交差し、やがて大きな長編を構成する連作短編集。
趣を異にするひとつひとつの短編は、それぞれが心に沁みいる素敵な物語だが、読み進めるに連れて読者の予想や思い込みは小気味よく裏切られ、ひとつの事実に収斂していく。非常に面白く、読み応えのある作品だった。
#風神の手 #NetGalleyJP
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遺影専門の写真館という設定からして、そうくるかーという感じ。伏線が張り巡らされた、考えつくされた物語だと思う。火振り漁やウミホタルを見てみたいなーと思ったり。
最終的にきれいにまとまっているけれど、個人的には「それは犯罪だろ!」と思う部分がチラホラあり、それによってみんなの人生が少しずつ変わってしまっている点はちょっと気持ち悪いかな。
全体としては展開が面白くてエンタメとしてもミステリとしてもいい感じです。
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2018年9冊目。やっぱり道尾さんの紡ぐ世界はとても綺麗で美しい。些細な運命の悪戯に翻弄される人々がいる一方で、それによって新たに生まれるものもある。何かが少し違っても存在しなかったかもしれない⌈今⌋を生きる人々が濃密に描かれている。
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遺影専門の写真館を舞台とした連作短編集。
人物と事件が気持ちよく連なっていく様は職人技。気持ちよく読書が進んでいく。
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いやあ、良かった。さすが道尾秀介。最近はコメディータッチでドタバタ系の作品が多かっただけに、この作品を描いてくれたことは嬉しい。
全ての章にタイトルが付いているが、1つ1つは独立した作品で、それが実は全てが繋がっているという道尾秀介ならではの技。
1つ1つの作品が素晴らしく、もちろんその繋がりでアッと驚きたい気持ちもあるのだが、その章が終わってしまうのが本当に残念なくらい素晴らしい作品群。
私の1番のお気に入りは『心中花』。女子高生と漁師の不器用な恋愛がなんとも微笑ましい。そしてその心中が痛いほど伝わってくる。少しの嘘がきっかけで運命が翻弄されてしまう。
『口笛鳥』では少年2人が事件に遭遇。子どもの心理描写を描かせたら道尾秀介の右に出るものはいないんじゃないかな?と思わせるほど。そういう感覚わかるなあと、自分も子どもに戻り、その世界に入り込んでしまう。
『無常風』。いよいよ事件のきっかけが明らかに。
さあ、ラスト!『待宵月』。登場人物が全員集合。
人間は常に選択を迫られていて、どっちを選ぶかによってその未来は大きく変わってしまう。いつも自分が信じた道を選択していきたいなと思う。
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風が吹けば桶屋が儲かる・・・的なwww
彼/彼女らの人生は重なり、つながる。
隠された因果律の鍵を握るのは、一体誰なのか?
舞台は、遺影専門の写真館「鏡影館」がある街。
些細な嘘が、女子高校生と若き鮎漁師の運命を変える「心中花」
まめ&でっかち、小学5年生の2人が遭遇した“事件"「口笛鳥」
死を前にして、老女は自らの“罪"を打ち明ける 「無常風」
そして、各章の登場人物たちが、意外なかたちで集う「待宵月」
章を追うごとに出来事の“意味”が反転しながら結ばれていく・・・。
数十年にわたる歳月をミステリーに結晶化した長編小説。
道尾ワールドを、ご堪能あれ!!!♡
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あの人のあの時のあの行動が、何十年も経てこういう結果につながる。どこかのだれかのなにか、が少しずつつながって一つの大きな物語となる。
遺影専門写真館、その地域独自の漁、物語の中では特別な設定の中で動いていく時間は、けれどももしかするとあり得たかもしれないもう一つに私の物語へとつながっていく。それが今より幸せな物語なのか、悲しい物語なのか。一つだけ確かなのは、今、はここにしかないということ。
道尾秀介のとてもとても道尾秀介らしい一冊。
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時代や視点を変えた3つの話が関連しあい、著者の近作ではまれにきれいに着地し悪くない感じ。著者特有のイヤなテイストはあるのですが、わりに薄味で、わたしにはちょうどよかったです。
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遺影専門の写真館を訪れる人たちを巡って繰り広げられる連作ミステリ。少し痛々しく哀しくって、だけど穏やかで温かな物語という印象でした。タイトル「風神の手」の意味はそういうことだったのかあ。たしかにちょっとしたかかわりのせいで人生ががらりと変えられてしまうことは多いだろうけれど。それが必ずしも悪いことばかりではない、と思える方が幸せなのかな。
どの物語も素敵だけれど。「口笛鳥」がお気に入り。二人の少年たちの冒険が微笑ましくって、しかもユーモラスでした。いいなあ、こういう子供時代。救出作戦のあれは、大真面目なんだろうけど大笑いしちゃいました。
個々の物語の繋がりも見事。ある程度は予想がつくものの、あれもこれも全部繋がっていたのか! と驚きでした。ゆるゆるとした気分で読めるように思えて、実はとっても緻密な物語です。
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清流の流れる地方都市を舞台にした三十余年にわたる物語。一話進むごとに、出来事の新たな一面が明らかになる。そして、この作品をミステリーと呼ばしめる真相が明らかになるとき、物語は違った顔を見せる・・・
作品全体を通じてのテーマは「因果律」。あのときあの事件がなかったら・・・誰もが考える人生の岐路。それが他人のなせる業だったときはなおのこと。すべては風の吹くまま。砂の一粒のなせるわざ。
全体を通じて漂う物悲しい雰囲気は、「月と蟹」「水の柩」などの叙情的な道尾作品に連なる。
隠された事実が分かった時、源哉が感じた「自分たちは生まれてきてよかったのだろうか。自分や歩実が生まれてこなかった世界のほうが、幸せな人が多かったのではないか」という疑問が哀し過ぎる。
人の世の哀しい因果というものに思いを馳せるきっかけとなる作品。道尾さんにはこの路線でこれからも書いてほしい。
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2018年最初の5スター!写真館を起点とした短編集。独立するのではなく時代と世代を超えて連鎖させるのは筆力のなせる技か。タイトルの意味も納得できて最後にスッキリ。短編集ですが1週間以内での読み切り推奨。
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ここ最近低調の感があった道尾さんだが、この新作は面白かった。
遺影専門の写真館に訪れる人々。飾られていた写真が過去の出来事を思い出させ、それぞれの数奇な人生がクロスする連作短編集。謎解きの楽しみは無いが、途中途中に共通のキーワードを挟みながら最終章に連動していく構成はミステリそのもの。感動もあり、久々に没頭して読む事が出来た。
近年の道尾さんの作品は必ずといって良いほど子供が出てくるが、今作は長い年月の話なので、子供の登場に必然性があったのも良かった。