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『青色本』を掘り崩す ウィトゲンシュタインの誤診 (講談社学術文庫)
著者 永井均 (著)
ウィトゲンシュタインの「青色本」の後半部を解読し論評。ウィトゲンシュタインの記述をもとにして、哲学的に考えられるさまざまな可能性を、縦横無尽に考え尽くす。〔「ウィトゲンシ...
『青色本』を掘り崩す ウィトゲンシュタインの誤診 (講談社学術文庫)
『青色本』を掘り崩す――ウィトゲンシュタインの誤診
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商品説明
ウィトゲンシュタインの「青色本」の後半部を解読し論評。ウィトゲンシュタインの記述をもとにして、哲学的に考えられるさまざまな可能性を、縦横無尽に考え尽くす。〔「ウィトゲンシュタインの誤診」(ナカニシヤ出版 2012年刊)の改題〕【「TRC MARC」の商品解説】
「私は他者の痛みを感じることはできない」――このことを出発点として展開されるウィトゲンシュタイン『青色本』の思索を、著者が細部にわたって、詳細に検討。「独我論」とは、いったい何なのか? 哲学的に思考する醍醐味満載の一冊!
『青色本』と名づけられたのは、1933年から1934年にかけての、ケンブリッジでのウィトゲンシュタインの講義録である。
ウィトゲンシュタインの哲学を、『論理哲学論考』を前期、『哲学探究』を後期と分ければ、その中間に位置し、いわば『哲学探究』に向かう時期の講義にあたる。
ここでは、「他者の痛みは、私には感じられない」という、有名な「痛み」についての議論などが展開され、いわゆる「独我論」が主要テーマになっている。
著者・永井均は、この『青色本』の議論に、一文一文、詳細な検討を加え、解読しながら、さらに、著者の哲学を展開していく。
独我論、私的言語、自他の非対称性といった、哲学の永遠の課題に対して、ウィトゲンシュタインと永井均という、ふたりの哲学者の思考がクロスしながら展開する、きわめてスリリングな一冊といえよう。
さながら、ウィトゲンシュタインvs.永井均という様相を呈しているのである。【商品解説】
目次
- 1.哲学における達成とは
- 2.私的体験が素材となって実在が構成されていると言いたい誘惑
- 3.語は対立項なしに使われえないか
- 4.ただ私自身の体験だけが実在すると言いたい誘惑
- 5.だが他人も「まったく同じこと」が言える
- 6.世界の素材としてのエーテル状の私的体験
- 7.ウィトゲンシュタイン的独我論
- 8.ウィトゲンシュタイン的独我論の永井的拡張(付・コウモリだったらどんなかな)
- 9.私と世界をつなぐすべての出発点
- 10.「自分の感覚を記述するのに回り道をせざるをえない」……
著者紹介
永井均
- 略歴
- 1951年生まれ。慶應大学大学院文学研究科博士課程単位取得。現在、日本大学教授。専攻は、哲学、倫理学。著書に、『〈私〉の存在の比類なさ』(講談社学術文庫)、『転校生とブラックジャック』『改訂版 なぜ意識は実在しないのか(以上、岩波現代文庫)、『翔太と猫のインサイトの夏休み』(ちくま学芸文庫)、『〈子ども〉のための哲学』『これがニーチェだ』『私・今・そして神』(以上、講談社現代新書)、『存在と時間――哲学探究1』(文藝春秋)など多数。訳書に、マクタガート『時間の非実在性』(講談社学術文庫)などがある。
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ウィトゲンシュタインの「独我論」などの思想を、著者が丁寧に検討して、独自の解説を付けた貴重な一冊です!
2020/03/18 10:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、1933年から翌1934年にかけてケンブリッジ大学でウィトゲンシュタインが行った講義、いわゆる『青色本』と呼ばれるものの内容を、著者である永井均氏が一つひとつ丁寧に検討し、著者の考えを述べた一冊です。ウィトゲンシュタインには、『論理哲学論考』や『哲学探究』といった有名な著作がありますが、『青色本』はまさにこれら二大著作の中間にあたるもので、ウィトゲンシュタイン自身が独自の哲学思想を展開しようとしはじめた時期にあたると考えられています。その証拠に、『青色本』では、「他者の痛みは、私には感じられない」という」といったあまりにも有名な議論が展開され、後に言われる「独我論」の基本が展開されています。同書は、こうしたウィトゲンシュタインの哲学を、著者の永井氏が独特の解説を付した非常に興味深い書です!