紙の本
転生しても、恥の多い生活を送っております。
2018/11/25 15:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
玉川上水で心中したはずの太宰治が、何故か2017年の東京にタイムスリップというか、転生というか、現れます。行倒れそうになった所を、親切な女性に助けられます。
目次をご覧になれば前半の展開、大方予想が付くはずです。2016年に津島佑子が亡くなっているのが残念です。(ほかのきょうだい、つまり太宰の子どもたちは生きている)
太宰治、自身が美男でお道化と自覚しているので始末におえません。
流石の展開と結末。将来楽しみなのか、思い遣られるのか、受け取り方は読者次第。
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70年の時を超え、現代の日本に転生することでまたも心中に失敗した大文豪。
荒唐無稽でありながらまるで新たな史実のようでもある、彼の更新された人生。
ハイテンションなお変人、佐藤友哉の十八番やね。
それが敬愛する太宰ともなればもう。
言葉は残る。物語も残る。
だからそこに様々な想いが込められる!
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太宰ファンならまんべんなく楽しめるウキウキ痛快な小説。文章が太宰調で太宰の作品に対するオマージュもたっぷり組み込まれていてすっごくおもしろかったです!この小説を書いた佐藤さんこそ、M.Cです。素晴らしい。久しぶりに心踊って一気に読みました。太宰初心者から往年のファンまで皆さん読みましょう!
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心中後の太宰は、なぜか2017年の三鷹に居た。現代文化に戸惑う太宰だが、メイドカフェにハマり、芥川賞のパーティに乗り込み、インターネットに没頭する。
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作者の人太宰治はちゃめちゃに好きなんだな……って伝わってきた
ツイッターで見て買ったけどほんとに文体模写、太宰の本で見たことある言い回し、主張、太宰が言いそうな内容、と現代のあれそれとの取り合わせがすごい 笑うわこんなん
太宰治、現代に生きてて、全部わかった上でまた道化ぶって、あることないこと脚色して書いてるんじゃないの、てすら思えてくる
愛だ……
太宰治好きな人と感想言い合いたい
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玉川上水で入水自殺した太宰治が現代にやってきた。その題名だけで読みたくなりました。誰でも一度は読んだことのある太宰。本人がいうとおり(?)誰よりも読み継がれて名を刻んでいます。恥じたり自己嫌悪したり自意識過剰だったり、語り口は太宰そのもの。そんな太宰が現代を探検するように、大型家電店に行ったりメイド喫茶に行ったり。彼なりに現代の物を理解する様子のずれがまた笑えます。彼の目を通してみる現代は、自分たちの見ていないものを見ているような気がします。現代に蘇ったらほんとにこんな感じなのかもと、ひさしぶりに太宰を読み直してみたい気持ちになった作品です。
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あの文豪、太宰治がよりによって現代日本に転生。そして即日心中!? 2017年の東京に転生した太宰治が、現代社会と人間への痛烈な皮肉と賛歌を謳い上げる傑作、ここに開幕!
佐藤友の三島由紀夫賞作を読んだのは、調べてみたら旧ブログ時代の2007年だった。その頃から軽いタッチのわりに鋭い指摘のある作家というイメージだったけれど、本作もなかなかなもの。「、」の多い特徴的な文体はもちろん、太宰ならさもありなんというところが満載で、けっこう笑え、楽しめた。
(B)
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玉川上水で入水自殺をした太宰治が2017年の東京に転生した、という設定。コンビニで倒れていた太宰を助けてくれた女性と再び井の頭公園で自殺を図るも失敗。病院を抜け出し
、その女性の援助でカプセルホテルで暮らすことになり…
ラノベとして読むと面白いのかぁ。
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太宰治の、タイル張り。
このひとことは、あの短篇。これは、あのエッセイ。
実に見事にやりとげました、という小説です。
自分の本の売り上げを知るところ、服を買い、メイドカフェに行き、インターネットに出会い、どれも声が出そうなほど笑いました。(インターネットへの反応は『帰ってきたヒトラー』でもあり、鉄板ですね)それから、坂口安吾の『太宰治情死論』に向い合うところでは、すこしほろりとさせられる。そうして、置かれたヒロインがひとりいることで、読み口が爽快です。太宰治ひとりでは、旅行記『津軽』のように鬱々としていたことでしょう。太宰治の小説に出てくる女性は、主人公をのぞけば、ぞっとさせられるか、うんざりさせられるかの2択ですが、ののたんはしっかりヒロインしていて、良かった。
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太宰治は教科書に載っていたものくらいしか読んだことがないが、ここに登場する太宰治というキャラクターには大変好感が持てた。とてもやさしい人なのだなと思う。これは是非とも太宰治の著作を読んでみたいと、強く感じさせられた。
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歴史上の人物であるxxxが現代に蘇ったら?という物語はいろいろあるだろうけど、これもその一つ。
太宰治で読んだのは人間失格くらいかも。詳しいことは知らない。だけど太宰のなんとなくの、弱った感じの人というイメージはある。なので、実際の太宰ってこんなに暴走する人物だろうか?と思った。でも、おもしろかった。太宰 meets メイドカフェ&地下アイドルはナイスアイデア。いい意味でふざけ切ってるし、著者も楽しんで書いてるに違いない。太宰に詳しい人ならもっと楽しく読めたかも。特に、乃々夏を作家に仕立てようとし始めた辺りがよかった。乃々夏イメチェン後のブログで笑った。初期の松尾スズキのエッセーがこんな感じだった。こういう軽い感じのふざけた小説をもっと読んでみたい。
読む前、この表紙は何なんだ?ふざけてんのか?と思った。しかし実際ふざけてるから問題ないというか、むしろこの絵で正解かもしれない。本文中にもこのテイストの挿絵が一つだけあったけど、もっとあっても良かったくらいだ。
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私の大好物のタイムスリップもの。
今回は転生になってるけどする事は一緒。
現代に戸惑い、現代に迎合しながら生きていく姿を描く。いかに面白おかしく、いかに世間に折り合いをつけて妥協していくかを読むのが醍醐味なのに今回は違う。
太宰治は転生しても太宰治なのであった。
全く世の中に適応しようとせず、転生した途端に心中しようとする。辛くも生き延びると芥川賞受賞式に殴り込み。摘み出されても全く懲りない。
挙句、心中騒ぎで知り合った美人女子高校生のゴーストライターになり芥川賞を獲ろうと目論む。
全く太宰治らしい。
いや太宰治の人間性は全く知らないんだけど太宰治ならさもありなんと思わせる筆力が凄い。
続編もあるのね。早く読まなきゃ!
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高校生の頃、宿題で太宰治を読まされたのだが、苦手だった。
やたらと女性と心中しようとするは、薬を飲んでうだうだするは、なんだこれ!?と思った。だいたい私小説が嫌いだったし(今でも好きじゃない)。
まぁ、もう少し年齢が行って、自分と違う人の感じ方・考え方を味わうスキルが磨かれて、その時代に思いをはせれるようになってから出会ったら、ちょっと違ったかも知れない。
この本の中で、現代に転生(むしろタイムスリップ)した太宰は、今も自分の本が読み継がれてることを知り、ただただ喜び、でも冷静になってから「人間失格」が600万部とは常軌を逸していると言う。太宰治の作品がメディアにも深く浸透し、キャラクターとして成功してると発見し、私にとっては悲劇だが、いっぽうで、太宰治にしてみれば、勝利宣言だと言う。
太宰治は、ほんとにこの本に出てくるような人だったのかも知れないと思う。読んでるうちに、にやにやしてくる。現代の空気が、妙に太宰に似合う。太宰の揺れ方やら自己プロジュース(妙なかっこつけを含む)やら、よく似た人が身近にいるような気分になってくる。もちろん、又吉さんの影響等で、今、ブームなせいもあるのだろうけど。
こんな本が書かれたと知ったら、草葉の陰で太宰治はにやっとするのではないかと思ったら、レベル1。
面白いカルチャーものに出会った時、ひょっとしたら、太宰治がプロジュースしてたりしてと思ったら、レベル2。
もしかして、清少納言とかも、アドバーザーになってたらどうしようと思ったら、レベル3。
ともあれ、よくできた本だと思います。
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こんなものは太宰ファンなら誰でも書ける。でも書いたもん勝ちだ。そして面白かった。立ち読みしたとき、生まれてすみませんのエピだったので買ってしまた。佐藤友哉だし。
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初っ端のご都合主義すぎる展開はさておき、現代に太宰が転生したらこんな感じかなぁと思うくらいに太宰っぽく違和感のない作品でした(『人間失格』『走れメロス』くらいしか読んだことはないけど)。「生まれてすみません」が実は盗用だったり、太宰が芥川賞と並々ならぬ確執があったり、太宰の小ネタが満載で、お勉強にもgoodです。惜しむべきは装丁がダサい。内容も良く、挿絵カラーもとてもうまいのに、顔たる装丁が。せめてフォントだけでもどうにかならなかったのでしょうか。作者と太宰買いでしたが、おもしろかったです。
[追記]
コンビニで着物姿の入水後ぐちゃぐちゃの男が突然倒れたら、とりあえずコンビニの店員に任せるか、警察を呼びません?連れ帰ります?家族もそれを「優しい娘なんですよー」と介抱する??初動に違和感しかないんですが、ラノベであってももうちょっと考えてほしかった。