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商品説明
芸術文化振興への支援を意味する「メセナ」。長年、企業によるメセナ活動の現場に従事してきた著者が、芸術文化がいかに創造経済の発展のために重要な役割を果たしてきたかを数々の事例を通してまとめる。【「TRC MARC」の商品解説】
実践企業の事例多数収載!
企業メセナ活動の第一人者が報告する創造経済への企業寄与がもたらす社会像。
経済と文化は対立関係にあるとみなされてきた。あるいは、経済と文化の関係は常に緊張をはらんできた。経済から見ると、一方的に支援を要請してくる文化は金食い虫で、経済的負担をもたらすことはあっても、まさか経済発展に寄与するなどとは考えもしなかった。
にもかかわらず不思議なことに、企業や経済人が惜しみなく芸術文化に投資を続けてきた事例を多数見出すことができる。投資者にとって決して有利とは見えない投資をなぜ多くの人がしてきたのか。それを本書では検討する。
創造経済学から言うならば、芸術文化に対する投資は、社会的観点からも見ても、企業経営の観点から見ても研究開発に投資することと全く同じである。創造経済の現場には実に豊かな世界が広がっている。その豊かな世界の現場からの報告が本書である。
芸術文化振興への支援をメセナと呼んできた。特に企業の活動を企業メセナという。本書では、企業メセナを芸術文化への投資としてとらえ、芸術文化の振興はもちろん、広く社会創造に寄与する活動を意味する言葉として使う。
全体の構成は以下の通りである。
第一章から第五章までで企業メセナの現状、すなわち創造経済のこの二、三十年の姿を概観する。福武總一郎とベネッセの仕事に始まって、竹中工務店と棟梁文化、福原義春と資生堂の仕事を中心に、東日本大震災の復興と企業メセナなど多彩な側面を含む。
そして、第六章でこの概観のもとになった画期について触れる。すなわち、企業経営者のパトロン型メセナから組織としての企業メセナへの転換である。
第七章と第八章では、企業メセナに至る前史を検証する。明治期から昭和期にかけての三人の企業人の活躍を中心に取り上げる。今日の横浜の基礎を築いた原三溪、田園都市構想によって宝塚歌劇を創設した小林一三、民芸のパトロンに始まり芸術文化の大衆化を推進した山本爲三郎の三人である。
そして、最後に芸術文化と経済の関係の創造的再構築のために、グローバルとローカルについて小論を立てて、本書を締めくくる。
*2022年7月。カバーデザインが新しくなりました。【商品解説】
目次
- 第一部 創造経済の現場 その多様な広がり
- 第一章 企業が担う地域創造、創造都市の展開
- 一、福武總一郎とベネッセの壮大な実験
- 二、近江八幡の場合
- 三、地域創造、都市創造の展開
- 第二章 文化の多様性、メセナの多様性
- 一、企業メセナを牽引した百貨店と新聞社
- 二、気鋭の芸術家の発掘支援
著者紹介
加藤 種男
- 略歴
- 〈加藤種男〉クリエィティブ・ディレクター。アサヒビール株式会社企業文化部を経てアサヒビール芸術文化財団事務局長を務めた。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
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文化と経済の関係を考察した書です!
2018/11/01 12:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、文化と経済の関係を考察した極めて価値のある書です。これまで文化と経済は対立関係にあるか、もしくは対立とまではいかないまでも、緊張関係を孕んだものとして考えられてきました。なぜななら、経済的な観点から見れば、文化は「金食い虫」としか見えないからです。しかし、よくよく考えてみると、企業のトップに座るような経済人は大金を文化や芸術に投資しています。一体、どういうことなのでしょうか。本書は、その辺の疑問を解き明かし、文化と経済の関係について考察します。