ある孤児の大団円物語
2019/03/30 21:48
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投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
安野光雅さんの挿絵に惹かれて購入。大学入学以降はジュディの書簡だけがひたすら続くので、正直ダレる。しかし、谷川俊太郎さん訳の文章が弾むようで読みやすい。活発で明るいジュディの人柄がよく表れている。
孤児院出身という出自に強い引け目を感じていた女の子が、学問の喜びに目覚め、友人を得て世の中に目を開き、やがて一人前の女性に成長する過程は眩しいほどだ。ジュディの魅力はある人をも強く捉え、最後は大団円となる。
悲劇的要素が無いので安心して読める名作。
不朽の名作です!
2023/03/08 20:38
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投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
孤児院で暮らすジュディに、大学進学のチャンスをくれたあしながおじさん。
大学進学の条件は、毎月あしながおじさんへの手紙を書くこと。
毎月知らない人へ手紙を書くの?
そんなに書くネタはあるの?
心配はご無用、ジュディは手紙を綴ります。
そしてジュディに訪れる恋。
その結末は・・・・・・
ハッピーエンドなので、安心して読めます。
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とても有名な物語。「少女漫画」の原型。はじめて通読してみました。
ジュディは、まるでキャンディーキャンディーのよう。書かれた順番は逆ですけれど。
谷川訳の乙女な手紙の文体は、大学生にしてはなんだか幼くも感じるけれど、こんな風に上機嫌で朗らかな手紙を毎月受け取れるなんて、なんて素敵なことでしょう。
不機嫌な言葉ばかりを耳にすることの多い時代だからこそ、読まれるべきものだと思うのです。
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学生時代に読んだような気がします。結末を知っていたから。
図書館の新しく入った本コーナーにあったので、懐かしさとうろ覚えの結末を確認したくて借りてきました。
谷川俊太郎さんの新訳です。
ジュディが大学へ進学させてもらえる条件が、日々の暮らしを手紙にして、ミスタースミス(もちろん偽名)へ送ること。
大学4年間の暮らしや成長が、後見人であるあしながおじさんへの書簡によって紡がれていく物語です。
基本的に前向きで、明るく朗らかな文面。ときどき、”あえての”ひらがな表記があって、ひっかかりを覚えるのだけれど、孤児院という狭い世界しか知らなかったジュディは、さながら生まれたばかりのヒナなのかと思えば、その幼い表記もありなのかもしれません。
「おじさま、大好き」と臆面もなく言えるのは、文化の違いなのかしら。
でも、素直なのはかわいらしいよね。
結末を知っているのに、
ラストシーンは涙が止まらなかったです。
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子どもの頃に読んだはずなのに、
まるで覚えていなかった。
ほんっとに面白い傑作。
ジュディの知性と率直さを見出したあしながおじさんの導きで、
カレッジで学ぶようになるジュディの変化が、
一方的な手紙を通じて、
情緒豊かに展開していく。
この一方通行が重要なのだ。
まるで精神分析のように、
おじさまがそこにいるのかいないのか、
何を感じ考えているのかわからないからこそ、
素直になったり、怒ったり、
いろんな感情が広がっていく。
ジュディの劣等感と傷つきと寂しさは、
体験のない人間には容易には理解できないのだが、
それを不幸にしない心のちからこそ、
あしながおじさんが彼女に惹かれたところではないだろうか。
おそらく途中からジュディ以外の読者は、
このからくりが見えてくるはずだが、
それでも最後の最後まで、
息もつかせぬ約5年間の手紙がどのように終わるのか、
ふたりはどうなっていくのか、
わくわくが止まらない。
そして私は、胸を打たれて涙した。
*
安野光雅の絵が、なんとも魅力的であり、
物語に旨味を与えている。
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谷川俊太郎さんの訳した『あしながおじさん』を読む。よく考えると、あしながおじさんを読むのはじめてだ。1967年に出版された少年少女世界の文学の初版本。装丁が美しく、いまさっき、偶然持ち込まれたもの。必然なのかな。
作家としての表現力をやしなうには、手紙を書くのがいちばんだと、孤児院から大学へ通わせてくれたあしながおじさんと一方通行の文通をするミスジルーシャアボット。実はぼくも架空の女性「詠美」へ向けた手紙を毎日書き綴っている。手紙って、ほんとに魅力的で、内面の強度を高められる。
内部の強度を鍛える。。外側だけ取り繕っても、現代の社会では、それなりにきれいなものが出来上がってしまう。学生でも、子供でも。それは、響かない。かといって、愛などと言う誰にも反論が許されない抽象的なものでもない。コピー&ペーストでつくられる安易な表現に飛び付くのは、もう卒業しよう。ぼくたちは、ホンモノを磨くためにひとりになる。ぼくは、ダメダメだ。
人生でりっぱな人格が必要になってくるのは大事件がおこったときじゃありません。いざというときにはだれだってしゃんとするものだし、大悲劇になら勇敢に面と向かうことができます。だけど、日常のみみっちいいざこざをわらいとばすってことは、これこそ根性がいるわ。
あしながおじさんとジュデイは、会ったことがないのに、生きている時間を過ごせてる。ただ居合わせた二人とは違う。死んだ時間を何千時間過ごしても意味がない。お互いに尊敬し、信頼し、協力する。それが愛する秘訣なのだと思う。
長新太さんの挿し絵も素敵だった。
世界はこんなにもおおくのものでいっぱいだ
わたしたちがみな王のようにしあわせであるべきなのはたしかなことだ
愛されるよりも愛することって、素晴らしい。過去や未来の不安に創造力を発揮させるなら、いまここに生きることを大切にしたい。いま思いを寄せることに集中したい。
あしながおじさんとのラストは、とても温かい気持ちになった。
未来の大作家ムック
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映画で見て,「本当に,そんな結末なの?」と思って読んでみました。そんで,せっかくなので,訳:谷川俊太郎,絵:安野光雅のものを選んで…。もう一冊,違う翻訳本も横に並べながら,訳がどんなふうに違うのか比べたりもして…。
私的にビックリしたのは,ジュディのあしながおじさん宛の手紙(大学4年生時代の2月)に,サミュエル・ピープスの日記の引用が出てきたところです。サミュエル・ピープスは,17世紀の英国海軍大臣で,日記が有名な人です。人名辞典では,DIARISTと出てくるのが普通らしいです。
私はピープスのことを知ったのは,20年ほど前に自分が興味を持って調べていた「ロンドン王認学会=ロイアル・ソアイエティ」に関わってです。彼は,海軍のお偉いさんだけではなく,この王認学会の会長にまでなった人です。彼の日記には,彼の科学好きが分かる文章がたくさんあります。それらは,板倉聖宣編訳『ロンドン科学日記~S.ピープスの日記とロンドン王認学会の記録』(板倉研究室,1995年)で読むことができます。
話はそれましたが,『あしながおじさん』は,そのほとんどを「知らない人への手紙」という形をとって物語が進んで行くという,斬新な小説です。それなのに,単調さを感じることなく,主人公が大学生として成長していく様がしっかり伝わってきて,読んだあとにはなんだか透明感というか清涼感に包まれる感じです。
子どもの時に,読んでおけば,もっと違った人生だったかなあ…変わらないか。
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ジルーシャが純粋でとても可愛かった。
彼女のいう、幸せについての部分がとても好きになりました。
以下
大きなすばらしい喜びなんかじゃない、いちばん大切なのは。ささやかな喜びからうんとたくさん喜びをつくってしまうことこそ大切。
幸福とは現在に生きること。
過去をくよくよ悔やんだり。未来のことをとりこし苦労しないこと。
ささやかな喜びを感じて生きていきたいと思いました。素敵な物語でした。
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現在、SNSの発達によって手紙を送り合うことは少ない。しかし、この時代においても手紙は温かく幸せを与えるものである。
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世界名作劇場のアニメ版がとても面白かったので読みました。
児童文学なだけあってとても読みやすかったけれど、全編手紙の内容だったので、主人公以外の心情が理解しづらいと思いました。
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児童書の名作は、世界名作劇場のアニメをたくさんみたが、本は全く読んだこともないかもしれない。この本は少し前に雑誌で紹介されていて、読んでみようと思った本。
訳がいいからか、原作もそうなのか分からないけど、100年も前に書かれたのに全く古い感じもせず、すごく面白く読めた。結末はアニメでなんとなく覚えていたけれど、それでも飽きることなく読めました。
時代は全然違うけれど、いま読んでも前向きになれるシンデレラストーリー。娘がもう少し大きくなったら読んでみて欲しい。
Amazonで名作劇場が見られるので、1話だけとりあえずみてみました。懐かしかった。
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谷川俊太郎さんの翻訳と安野光雅さんの絵が素晴らしいです。
ジュディーの率直で前向きで、ユーモア溢れる言葉の数々はキラキラしていて、読んでいて心が磨かれて洗われるようでした。
本人が書く手紙なのに彼女がどんどん新しいことに出会い、学び、お洒落に、素敵になっていく様子が読んでいて楽しく、ワクワクしました。
読み始めたら止まらないこのお話は、ジュディの成長譚でありながら、同時にハッピーエンドに違いないと思いながらも様々な角度から想像して時々切ない、素敵なラブストーリーでもありました。
谷川俊太郎さんのまえがきと安野光雅さんのあとがきにも心を打たれました。
これまで読んだ本の中で一番好きな本になったかも知れません。
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何度読んでも色褪せない名作。
主人公があしながおじさんに送る手紙からなる本作は、とっつきやすく、主人公に共感しやすい。
劇的な場面は少ないが、少女にとっての悲しみや喜びを丁寧に描いた作品。