紙の本
本線を外れたベテランの味
2020/06/17 10:08
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は今野敏によるリアルな警察小説である。とはいえ、推理小説とはまた別物の警察のルポ小説とでも言える内容になっている。すでにテレビドラマとして単発モノで放映されている。今野が得意とする警察各部門のリアルな警察官の姿を読者に説明しているようなストーリーである。
今回は警視庁捜査一課に属する機動捜査隊に焦点を当てている。機動捜査隊は読めば分かる通り、事件現場に所轄の地域課の次に到着する警察官である。車両でパトロールをするところは所轄警察署と同じであるが、現場を保存したり、一報をまとめるのは地域課に任せ、初動捜査を行うのが機動捜査隊である。
これまでのテレビドラマでも、機動捜査隊を扱ったものはあまり見たことがない。30代の巡査部長と新任の定年間際の巡査部長のコンビでストーリーはスタートする。定年間際の巡査部長が機動捜査隊に配属されることはほとんどなさそうだが、この巡査部長には特技があった。
ストーリーはこの2人の活躍ぶりを披露するエピソードを9本用意している。随所に定年巡査部長の強みが発揮されており、定年間際で元気をなくしつつあるサラリーマンの価値を高め、鼓舞しているようだ。たしかに定年間際では若者には太刀打ちできない。しかし、誰でも経験と思考は年功の蓄積がある。
面白くなってきたところで、本書は終了である。もったいないとは思うのだが、シリーズ化するにはこの定年間際の巡査部長の他にも同じような経験や知識を持つ専門家が必要であろう。年功があり、業績を上げるのは管理職だけではない。よくありがちなストーリーではこの手のタイプは皆本線を外れ、不貞腐れた態度を示す例として使われている。たまには大逆転の本線外れを見てみたい。
電子書籍
警察機構のリアルな描写と理想のコンビ
2021/07/18 14:09
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投稿者:しましま - この投稿者のレビュー一覧を見る
機捜を舞台に、30代の巡査部長と定年間際の巡査部長のコンビの活躍と成長が、1話完結の9つの短編で描かれる。今野小説らしく機捜という警察機構がリアルに描かれ、かつ2人のコンビそれぞれが事件とその解決を重ねて成長していく様が爽やかな読後感を残す。最初の短編から9年ごしでようやく1冊にまとまったようで、続巻はすぐには望めそうにないが、再びこのコンビの活躍やその後を読みたいと願うファンは多いのではないだろうか。
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警視庁第二機動捜査隊の高丸の新しい相棒は、白髪頭のロートル──縞長だった。しかし、縞長は独特の能力と経験を秘めた刑事だった! 二人組(バディ)刑事小説の傑作。
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各章がコンパクトで、読みやすい。
これまで、今野作品の「あのシリーズ」や「このシリーズ」で、事件のとっかかりに出てくる脇役だった機捜が、今回堂々の主役。
さすが、警察官僚を主役の人気者にした手腕、どんな部署でも主役に抜擢できる。
すげぇ。
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初動捜査を専門とする機捜を舞台とするバディもの。
第二機動捜査隊の渋谷分駐所に所属する高丸。怪我をした梅原の代わりに高丸の相棒となったのは、57歳の縞長。
体力が必要であり、捜査一課を目指す若い刑事の登竜門とされている機捜に定年間近の縞長が異動してきたことに、最初は抵抗感を覚える高丸だったが、縞長には他の刑事にはない特技があった。
折も折、テレビドラマで機捜ものを放送中なので、序盤は縞長の地味さに高丸と同様に引き気味だったが、縞長の本領が発揮されるに連れ、面白さを増していく。
今野敏ならではの、ほぼほぼ会話だけで物語が進む描き方で今作も描かれる。事件の概要などの説明も会話と、登場人物の心理描写のみで描かれるので、疾走感などスリリング感には欠けるが、その分さらっと読める。
読み終えた時には、高丸と縞長の信頼関係もしっかり伝わり、久しぶりにシリーズもの以外で今野作品を面白いと感じた。
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内容(「BOOK」データベースより)
渋谷署に分駐所を置く警視庁第二機動捜査隊の高丸の新しい相棒が着任した。それは白髪頭のどう見ても定年間際の男・縞長だった。心の中で溜め息をつく高丸だったが、縞長は苦労を重ね、思いがけない実力を秘めた刑事だった!
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さらさらっと読めた。でもしっかりした読み応えがあって、やっぱり警察物ならば今野さんが今は一番好きかもしれない。高丸とシマさんの距離が割りとすぐ縮まったのがちょっと意外だったけど、2人の息のあった捜査は爽快でした。高丸の成長具合が読み手にもありありと伝わってくるのが良い。見当たり捜査官、というのはテレビで見た事があるけれど、こういう職人の域の話は面白い。シリーズ化されるのかな。されたら絶対読む。
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機動捜査隊でバディを組む若手と元ベテラン刑事の短編9作。
・機捜235
・暁光
・眼力
・不眠
・指揮
・潜伏
・本領
・初動
・密行
機捜捜査隊の高丸は、バディのケガにより、新しい相手を組むことになったが、新しく配属されてきた縞長は定年間近の冴えない元刑事。
最初は気乗りしなかった高丸だが、縞長が元見当たり捜査班の刑事で、密行中に犯人を見つける成果を上げるにしたがって、縞長を見て大きく成長していく。
縞長の着眼点や発想、ベテランながらの渋い捜査が、警察小説好きには堪らない。
続編期待です。
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第二機動捜査隊の高丸。怪我をした相棒の代わりに着任したのは、年配の縞長。若い隊員が中心なので機動力を心配するが、縞長は見当たり捜査班で鍛えた、犯人を見つけ出すスペシャリストであった。9編。
縞長さんの人柄、能力がうまく出てて面白く、また、機動捜査隊の物語についても初めてで、興味深く読めました。安定的な面白さ。長編、シリーズ化願う。
ちなみに235は二人が乗る車の番号でした。
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短編集のなかでも1話が短いと思うが、それぞれ良くできていた。高丸の成長記でもあるがそれを控えめにしているとこが逆に成長を感じられて良かった。それぞれの話はどれも地味だがストンと入ってくるとこが素晴らしい。
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警察もので殺人とかもあるけれど
ドロドロしてなくっていいな
気楽に読めるもん
こういう部署があるんだね
普通の車が突然サイレンなってびっくりしたことあるけど
≪ 相棒と 愛車で回る すみずみへ ≫
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警察小説では取り上げることのない、機動捜査隊を取り扱ったバディもの
連載をまとめたものなので、短編集
単行本化するときに整理、加筆されていればと思うところもありますが、なかなか面白いです
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所謂刑事もの小説だが、主役は警察官ではあるが刑事ではない。
本店刑事、支店刑事、本店非刑事の関係を初めて知った。少し意外な感じ。
私自身と同世代のシマさんに、エールを送る自分がいる。シマさん見たいな生き方もイイとは思うが、生憎そこまで人間が出来ていないのが残念(笑)
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今野作品で機捜は登場したことがあっただろうか?
読みやすくあっという間に読んでしまったが違和感を少し感じてしまった。縞さん、こんな人は居るのだろうか?
ここに登場する縞さんはかなり優秀
何故機捜に配属
こんなにしょっちゅう被疑者に巡り合う
小説だからだと思うが、今野作品で警察関係は現実感があるように思っていたので。
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今野敏はもういいや、と思ったが図書館予約していたのが届いた。大して期待しなかったがこれは良かった。
主人公は警視庁機動捜査隊の高丸、34歳で機動捜査隊で成績を上げて捜査一課に上がりたいと思っている。
相棒も同じ年齢でツーカーだったが怪我で戦線離脱。
代わりに来た相棒のシマさんは57歳のロートル。
警察歴はシマさんが長いが機動捜査隊では自分が先輩という座りの悪い関係。ギクシャクした関係だったが段々打ち解けたり力量や人となりを通じて成長していく高丸。
シマさんとのやり取りが読んでいて良い感じ。
こういうのを書かせると今野敏は上手いと思う。
実際はそんな風には話さないよなあとも思う所も有るが、心地よく読み進らせる。
買いもしないのに、こんなところで酷評したりするのも悪かったなあと思った。