紙の本
『売上を、減らそう。』
2019/08/24 22:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
国産牛ステーキ丼専門店の京都「佰食屋」
・どんなに売れても一日100食限定でランチのみ
・営業はわずか3時間半で残業ゼロ
・有給完全消化で給料は百貨店並み
飲食業界のみならず企業の常識を覆した小さな定食屋
その「奇跡のビジネスモデル」を経営者が熱く語る
《会社が儲かっても社員が報われないのはおかしい。》
《もう「頑張れ」なんて言いたくない。わたしは「仕組み」で人を幸せにしたい。》
《そもそも就業時間内に利益を出せない商品とか企画ってダメじゃないですか?》
副題は「たどりついたのは業績至上主義からの解放」
関西に設立された「書く力で、まっすぐに、照らす。」ライツ社から
紙の本
ラスボスとの対峙
2021/11/23 12:38
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:奥津 明 - この投稿者のレビュー一覧を見る
筆者が言っていることや実践していることが、あらゆる業種業界で働いている人たち全てに当てはまるとは思いませんが、これまでの自分の考え方ややり方、働き方を見直すきっかけに、この本はきっとなると思います。
特に私は、一番最後の最後に書かれてある「自分のやり方でやってきた結末が今の自分」という箇所が心に突き刺さりました。今苦しいと思っている原因は、上司でも会社でもなく部下でもなく家族でもなく・・・自分自身の中にあると筆者は言います。
即ち、これまでの自分自身のやり方を疑ってかからなければ、変化は訪れないという訳です。自分の中のラスボスと対峙して見つめ直す必要があると思いました。
紙の本
わかりやすい
2019/08/30 08:49
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
経営者として、必要なことがよくわかりよかったです。目先の利益を追いかけるだけでは、長くは続かないということが、わかりました。
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商売柄、いろいろな経営関係の本を読むが、本書は今年一番の衝撃。
少子高齢化、ゼロ成長が続く日本で今までのように「売上を伸ばす」「利益を上げる」経営で良いのか、ともやもや感じていた。その一つの答え。
これの考え方を他の業態にも当てはめられるか。
大事なのは会社ではなく従業員、という経営をしている会社は今までにもあったがここまで説得力があり、モデルそのものに無理がないものは初めてではないか。
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2020年2冊目。(去年のレビュー書き忘れ分...)
イノベーションは実は、自由よりも制約から生まれると言われる。「1日100食しか売らない、それ以上は売上を上げない」という制約から、従業員への様々な恩恵を生み出し、日本が注目する企業となった「佰食屋」は、まさにそんな事例だと思う。
「1日100食しか売らない」。そのコンセプトはそもそも、本書の著者であり佰食屋の創業者である、中村朱美さん自身の体験から生まれている。脳性まひの子どもが生まれたが、それでも働き続けられ、そして夕食は毎晩家族みんなで食べられる会社...そんな理想像を叶えるための仕組みを一つずつ体現し、今の佰食屋に至っている。
その主たる取り組みが、1日の販売食数を絞ること。100食売り切った時点で終わり、誰もが早く帰宅でき(営業時間はわずか3時間半で、14:30には店じまいとなる)、思い思いの人生を過ごせるお店を実現してきた。
このお店が従業員として迎え入れるのは、コミュニケーションが少し苦手だったりする、いわゆる就活弱者として見なされてしまう人たちがほとんどなのだそう。常にメニューを変えず、売上を上げるために店頭で道行く人に声掛けをする必要もない佰食屋では、彼らが即戦力なのだという。
むしろ、「やる気に溢れている人はいらない」とまで中村さんは明言する。それは、やる気やクリエイティビティに溢れる人は大抵、「もっと売上を上げるアイデアがあります!」という方向に向きやすいからだそう。それでは、お店のコンセプトと本人の相性も悪いし、既にいる従業員の考え方とすれ違い、負担が生まれてしまう。一貫して「一緒に働く人の幸せ」を重視して決断されている姿が強く印象に残った。
「変化がない環境は退屈なのではないか?」、僕自身も読んでいる途中で、一度そのような考えになりかけた。が、そもそも「仕事とは刺激的でクリエイティブであるべき」という考え自体が固定観念であり、どんな環境に幸せや心地よさを感じるかは、その人によって違うのだということを思い出させられた。と同時に、佰食屋の仕事が決して「非クリエイティブ」ではないのだということも、読み進めているうちに気付く。
たしかに売上を上げるアイデアは求められない。だけどその分、「お客さんを増やすための発想」に頭を持っていかれることもなくなる。ある従業員の方は「お客様をお金として見ずにすむ」と言っていた。「人」を金ではなく「人」として見れるようになったとき、そこには「お客様の‟居心地向上”のためのアイデア」が生まれていく。これは売上アップで頭がいっぱいのときには生まれづらいクリエイティビティなのではないかと感じる。
この話は、1日100食限定にすることから生まれるメリットの、たった一つに過ぎない。この本には他にも、100食の制限から生まれるメリットが多数描かれている。
・「早く帰れる」退勤時間は夕方17時台
・「フードロスほぼゼロ化」で経費削減
・「経営が究極に簡単になる」
・「売上至上主義からの解放」よりやさしい働き方へ
...など。
読み終えたとき、佰食屋が究極的に解放しているのは「一人ひとりの思い思い」なのだと感じた。残業からの解放、売上至上主義からの解放、生産性の脅迫観念からの解放、それらが織りなされて生み出されるものは、そこで働く人たち一人ひとりが、自身が送りたい理想の暮らし(=思い思い)の実現なのだと。「負からの解放」だけではなく、一人ひとりの思い思いにとっての「正の支援」も積極的に実現していることからも、強くそう思った。
業績の成長が前提とされる今の時代にあって、佰食屋のモデルは最初、専門家たちに「アホらしい」「うまくいくわけがない」と見向きもされなかったと言う。そのモデルはいま、従業員数は30名を数え、集客にも人手不足にも赤字にも苦労しない状態になっているという。
ただの専門家は、過去のセオリーから今を見る。でも本当の知恵者は、未来の可能性から今をつくり、積み上げていく。そんな知恵者の経験と想いが詰め込まれた1冊を、これからも大切に読み返したいと思う。
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・「がんばれ」という言葉を使うのではなく、「仕組み」で人を幸せにする
・夜営業をやめたことで「ランチをめがけてこられるお客様」が増えた。お客様が「夜はもう品切れしているに違いない」と先入観を持って来店機会を逃してしまっていることもあったでしょう。思い切ってランチ営業のみにしたことで、昼食を考える際、ランチでしか食べられないなら真っ先に「佰食屋に行ってみよう」と、頭に思い浮かべてもらえるようになったのです
・就業時間も、働き方も、自分で決める。やる仕事も、役職も、そして、仕事の後の時間を何に使うかも自分が決められる。それこそが納得のいく幸せな人生だと思うのです。
・商品開発の4つの条件
1. 月に1回、自分がその金額を出してでも行きたいお店かどうか
2. 家庭で再現できないもの
3. 大手チェーンに参入されにくいもの
4. みんなのごちそうであること
・余裕を持って働ける環境は、お客様への心配りにもつながる
・会社は明日の責任を。みんなは今日の責任を。
会社はこれからの集客や広報に責任を持ち、お客様にたくさん来ていただく努力をし、みんなを大切にします。みんなはお客様が限られた時間の中で最大限満足していただけるよう、接客・調理・おもてなしの努力をし、お客様を大切にします
・その人が勇気を出して誰かの力になってくれたことを、周りも評価して「自分もやってみよう」と思ってくれることで、思いやりの空気が循環していく
・あなたを苦しめているのは、「こうしなければ」と思い込むあなた自身なのです。
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「会社は売上を伸ばすためにあるのではない」という信念で経営する考えは斬新、そこから新たな思考やチャレンジが生まれ、結果的に新しい働き方を生み出すきっかけになっているんだなー。
@世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 でも載っていた、「大事にしていること」を会社として体現した事例だった。
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美味しいランチを100食だけ提供するレストラン。とても素敵なコンセプトでうまく回っているようで、とても合理的で素晴らしいです。だからといってすごく楽に生きられるかというと、すごく悪い環境から比べるととてもいいのだけど、じゃ必ずそうなるかというとそうでもなさそうで、飲食業界の辛さというか日本の物価の低さ(もっとランチは高くてもいいのではないか)が気になる次第
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奪い合えば足らず、分け合えば余るの精神で経営をすることで、従業員を満たしながら経営を行う事が出来る一つのパターンだと思う。
その前提には、顧客の要望に十二分に応える原材料を使用し、十二分にサービス出来る空間、時間を確保し商品とサービスを提供する。実にシンプルだけれど、顧客に寄り添い適切な価格で商品を提供する、絶妙なバランスをとり続けることで、分け合えば余るを実現している。
全ての事業にこのパターンと同じモデルを導入ることはできないが、何が必要で、何が不要であるかを明確にする。その時に基本とするのは、従業員の幸せ、それと大きく関係する事業の継続性である。
いくつもの判断、決断がされるが、この根源がこの会社と同じ様な決断基準であれば良いなあと思う。
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売上の上限を制限するという、通常では考えられないことを前提にすると、商品、サービスの設計や働き方についての考えが、ガラッと変わってしまう。
売上を拡大しないと経営が成り立たないのは、商品、サービス設計がそもそも間違っているとのこと。確かにその通りだと思いました。
ビジネスとして何を目指すかを明確にする事が、大事ですね
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働きかたは理想。しかしそれは、超強力なプロダクトがあるから。旦那さんのレシピがよほどのものなのだろう。食べてみたい。
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地震、豪雨で売り上げ激減も乗り気ったが、今回のコロナはさすがにそうはいかなかったようだ。
テレビで泣く泣く従業員を解雇するシーンが放送されていた。
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このビジネスモデルの本質は"明確な出口戦略"にあるのではないか、と思った。
毎日100食を売り切るという"明確な出口戦略"が働く人のメンタルの安定とやる気に繋がっているのでは。
働いていて思うのは、終わりが曖昧で、ただただ言われたことをやって、それが終わらないのが一番ツライ。
いったい、いつまでこんな仕事をやり続ければいいのか!
人間、ここまでやればゴール、という明確な目標があれば頑張れるのだ。
働き方改革に必要なのは、明確な目標、出口戦略ではないか。
コロナ騒ぎだってそう。
明確に、どうなれば終わりです、という基準・目標がない。
ただ「皆様ステイホーム」って言われても、いつまで家にいればいいのか不安で仕方がない。
この本での主張は、売上至上主義ではなく、余裕ある仕事で余裕のある暮らしを働く人に。
なのだが、その裏には”明確な出口戦略を設定せよ”というビジネスモデルがあると読みとれた。
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1日中働くことで金を稼いでいる人が、もし半日で同じ額のお金を稼げるようになったらどうなるか?
おそらく多くの人が今まで通り1日中働いてお金を2倍稼ごうとするでしょう。
でもこの本の著者ならこう考えるでしょう。
半日で1日中働いていたのと同じ位お金を稼げるようになったなら働くのは半日だけでいい、と。
著者の経営理念は読んでいて何度もはっとさせられました。
佰食屋1/2の考え方に至っては頭をガーンと殴られたような衝撃がありました。
読み終わった後も色々と頭の中を思考が巡っていきます。
とても面白かったです。おすすめ。
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日本の最先端の働き方。日本の社会はこんなにも「ゆるやかな死」を魅力的に見せるものにしてしまったのだとショックだった。積極的に停止することが人間らしく見えるというのはものすごい皮肉だなあ。この本を読んで佰食屋のご飯を食べてみたくなったし、こんな形の働き方を支持したいとも思った。