- カテゴリ:一般
- 発売日:2019/08/20
- 出版社: 早川書房
- サイズ:20cm/325p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-209877-1
読割 50
紙の本
レス
著者 アンドリュー・ショーン・グリア (著),上岡 伸雄 (訳)
【ピュリッツァー賞(文学部門)(2018年度)】小説家レスのもとに、9年間付き合った元恋人の結婚式への招待状が届く。どうやったら式から逃れられるか−。出席を断る口実に、レ...
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商品説明
【ピュリッツァー賞(文学部門)(2018年度)】小説家レスのもとに、9年間付き合った元恋人の結婚式への招待状が届く。どうやったら式から逃れられるか−。出席を断る口実に、レスは世界中の文学イベントをめぐる旅に出る…。旅路の果てに、愛は見つかるのか?【「TRC MARC」の商品解説】
50間近のゲイの小説家、アーサー・レスのもとに元恋人から結婚式の招待状が届いた。レスは結婚式を断る口実に、世界中の文学イベントの招待を受けることに。だが、イベントはどれも何だか変なものばかり、彼はいつも空回り……。作者自身が投影されたメタ小説【商品解説】
著者紹介
アンドリュー・ショーン・グリア
- 略歴
- 〈アンドリュー・ショーン・グリア〉1970年生まれ。アメリカの小説家。「レス」で2018年度ピュリッツァー賞を受賞。
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紙の本
「皮膚のない人」の珍道中
2020/03/01 23:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ピュリッツァー賞受賞作品である本作。
なので堅い作品かと思っていたが、全くそんなことは無くとてもウィットに富んだ作品だった。
訪れる先々の国で主人公のレスが起こす行動や言語的齟齬が面白かった。
主人公の言動のみならず、巧みな比喩やハッとさせられる文なども素晴らしかった。
主人公のレスは愛せずにはいられないキャラクターである。
「皮膚のない人みたい」、「棘を身に着けたほうがいいぞ」と言われる程の純粋無垢さを持ったレス。
個人的に、レス自身がその性質に対して全く自覚がないという点もお気に入りだ。
レス自らは駄目な作家であり、駄目の友人で、駄目な息子尚且つ自分自身であることに関しても駄目であると思っている。
しかし他者から見た彼は、いつでもへまをしていて歩けばすべてに躓くが、それでも勝利していると評される。
そのような自らと他者からの評価の違いに困惑する気持ちはとても理解できる。
上記した通りレスのキャラクターや言動以外にも本作の比喩や他の登場人物のセリフもとても素晴らしかった。
特にモロッコ滞在時にレスとルイスが交わした会話とレスとゾーラの会話が心に残った。
愛する人との関係性が変化していく事に対して、どう解釈しそれをどう受け止めるか。
過去のゲイに対する世間の反応と現在の反応。
50歳という年齢を迎えた人物が年を重ねることにどのような意味を見出すか。
これらをユーモアで上手に包みつつ、さりげなく核心を突くような言葉で提示するバランスが何よりも素晴らしかった。
また、本作の語り手は誰かというサプライズ的要素も見どころの一つである。
語り手の正体が明かされたときに待ち受ける感動を是非味わって欲しい。