紙の本
学ぶ場所で出会う人たちの絆って深いな
2021/09/08 07:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
友だちとメールでやりとりしていて、
今読んでいる本を教えてもらいました。
うん、これ読んでみたい。
それが、
『神様には 負けられない』
でした。
技師装具士を目指して医療福祉専門学校に通いはじめ、
たまたま同じ班になったさえ子、真澄、戸樫。
年齢も性格も全く違う三人が一緒に学ぶうちに…。
初めて知る義肢装具士のこと、その取り巻く世界。
学ぶ場所で出会う人たちの絆って、深いなと思いました。
それこそ、年齢、性格、過去&現在の環境、学ぶためのきっかけなど、全く関係なし。
あるのは、共に学ぶことだけ。
そこから生まれる真剣勝負が
彼らに現在を受け入れ、その後に繋がる世界を掴み取らせる。
同じ目標を持つ仲間となった三人が
自分たちのいいところをぐんぐん出してくる様子、
体の底から湧いてくる彼らの底力に感動しました。
数々のクスリと笑えるエピソードもよかった。
特にあの暗闇事件。
いや、あれはバレなくてよかった事件ですね。
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内装会社でバリアフリーの店舗を手がけたのをキッカケに7年勤めた会社を辞めて技師装具士の専門学校へ入学したさえ子。周りの同級生は若いのを少し負い目に感じつつも、義肢装具士の道は中々険しくて…
健常者から見た上から目線の可哀想で怒り出す人の気持ちは、健常者の私には計りきれないですね。悪気がないポロッと出た言葉が一番タチが悪いのかもしれないです。
義足のカメラマンの穂高とさえ子、中々お似合いな感じだったけど、くっつくまではいかなくて残念。
同じ班の戸樫と真純が個性的だけど、とても良い関係で良かったです。
そして、ブラック企業に研修に行った戸樫の復讐の為にさえ子があそこまでするとは!色々凄いです。
凸凹デイズの醍醐が、まさか義足になってたのも驚きでした。随分前に読んだからそんな描写なかった気がしましたけど…
将来あのメンバーで会社を作れると良いですね。
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義肢装具士。名前は聞いたことがあるけれど実際にその仕事に就いている人には会ったことがない。
パラ競技の中継で義足や義手、つまり義肢をつけたアスリートを見ることはあっても、「あぁ、すごいなぁ」と思うだけでその装具について考えることもなかった。
義肢はオーダーメイドである。そりゃそうだ。それぞれの身体に合うものはそれぞれ唯一無二なのだから。それぞれの身体や用途に合わせて一番無理なく無駄なく動かせるものを作る。そしてそれを適合させメンテナンスする、それが義肢装具士の仕事で、合格率約80パーセントの国家資格が必要な医療職だということも今回初めて知った。
その義肢装具士を目指して専門学校に通う、三人の、物語。
この三人がいいんだ、すごくいいんだ。7年間インテリア関係の仕事をしていて、とある出来事がきっかけで仕事を辞めて年若い同級生たちの間で奮闘するさえ子、ド派手な髪の色とヤンキーのような服装の真純、誰よりもうまく装具を作れるのになんとなくうっそりとした戸樫。それぞれに義肢装具士を目指す理由を持っていて、その理由もそのきっかけとなった出来事にもエピソードがある。
お仕事小説、といってもまだお仕事ができる段階ではない三人の、お仕事ができるようになるまでの日々の奮闘や、学校外のあれこれが、とても豊かで面白い。
人のためにがんばる単なるいい話、ではなく、説教じみた小うるさい話でもないところが読んでいてとても心地よかった。
どこにでもいる若者たち(さえ子はアラサーだけど)の、自分のすぐそばにあるような出来事たちと、めったに出会えない仕事の内容との濃度が絶妙で新鮮さと共感が同時にこみあげてくる。
とくに単なる名前順で組まされた三人のグループが少しずつお互いに理解し支え合っていく過程が、すごくすごくいい。さえ子のアレは、もう、なんていうか、思わず声を出して笑ってしまったほど。いや、まさか、それをあの人に習っていたとは!!グッジョブさえ子!
そして、ラスト。いやぁ、もう心からこの三人にスタンディングオベーションを贈りたい。
10年後の、その日を楽しみにしていますわよ。私も物語の外から。
あ、そうそう。タイトルもいいよね。なぜ「神様」が出てくるのか、読んでのお楽しみ。
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25歳で会社を辞め義肢装具士の専門学校に入学したさえ子。周りと比べてなかなか上手くできないことで焦り、悩む。でもそこには仲間がいてその存在に助けられている。仲間と話し行動することで見えてくる自分のこと。そういうひとつひとつが印象的で読み終わった後も残り続ける。さえ子と仲間たちのその後もぜひ読んでみたい。
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主人公のさえ子、もと内装会社勤務。バリアフリーの店を手掛けた際に浴びせられた罵声を契機に会社を辞め、義肢装具士の専門学校に通う25歳。学校で同じチームになったのは、事ある毎に髪の色が変わり鼻ピアス、必ず髑髏模様の入った服を着る真純(女性)と声が小さく人付き合いが苦手で正義感ばかりが強い戸樫(男性)。この三人、それぞれどこかズレていて空周りばかりだが、彼らの義肢装具士への真っ直ぐな情熱はメンバー同士や周りの人々を巻き込んで行く。これぞ山本幸久!という感じのお仕事小説です。
ただ、次々に登場する脇役が多彩過ぎ。義足の写真家、義手の芸者さん(戸樫の母親)、元プロボクサーで今は義足の人力車夫etc、ちょっとガチャガチャし過ぎの気がします。もっともそのせいで醐宮さんに再会できるわけですが。
醐宮さん、山本さんの『凸凹デイズ』 に登場する小さなデザイン会社凹組の女社長ですが、よほど気に入ったキャラなのでしょうね、しばしば他の山本作品に顔を出します。今回は主要な脇役の一人として登場。それも、交通事故で死線を彷徨った挙句、義足になったという設定ですが、大型バイクに乗って登場し、相変わらずパワフルです。凪海さん、黒川、大滝など凹組メンバーもチョイ役で総出演。懐かしいですね。そもそも主人公が勤めていた内装会社が『会社デイズ』の舞台、ココスペースだし、途中で出て来る芸者の弐々さんは『芸者でGO!』の主人公だし、山本さんらしい仕掛け一杯のお話でした。
しかし・・・山本幸久ファン以外には理解できぬ感想でした(笑)
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とあるきっかけで内装会社を辞め、義肢装具士の専門学校に通う27歳のさえ子の奮闘物。
様々な過去作とリンクしていてどれも読み返したくなる。
[図書館·初読·1月21日読了]
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義肢装具士の専門用語が多くて自分には話に入りにくかったですね。
それがなければ十分面白かったです。
3人の次が読みたいですね。
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内装工事のバリアフリーを手がけたことがきっかけで義肢装具士を目指すことになった主人公「さえこ」の話。
義肢に関して無知だったので教本のような感じで読むことができた。
義肢を製作するにあたっての自治体への補助申請にはとても時間がかかることや義肢製作所の領収書偽造など、
表にはあまり出てこない問題も取り上げている。
小説というよりリアルドキュメンタリーのようだった。
ただ、タイトルは少し大袈裟かも。
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NHKの番組で紹介されていた本。身近にリハビリに関わる人が何人かいるので、どんなものかなと思って読んだ。
シンプルなお仕事小説。恋愛要素はあんまりなくて、専門的な内容が専門的な用語のまま繰り出されるので、ちょっと読みにくい。けれど、その辺はなんとなくで読み進んだ。いろいろモヤモヤを抱えながら、最後はスッキリとした読後感が残る、いいストーリーだった。
義肢装具士に限らず、パラリンピックに関わりそうな仕事はこれからもっと注目されるだろうし、そういう仕事が普通にみられる世の中になってほしいと思う。
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懐かしの山本ワールドの住人、総出演という趣き。軽妙、洒脱な文体も健在だけど義足の説明細か過ぎて、優れた入門書読んでる気になった。
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久しぶりの山本作品。
訳あって七年間勤めた会社を辞め、義肢装具師になるため専門学校に通っている二階堂さえ子。同じ班で学んでいる永井真紀、戸樫博文と共に奮闘中。七年間稼いだお金を授業料に注ぎ込み、恋人とも別れ、帰る場所もない崖っぷちのさえ子は気が焦るばかりで義肢作りの実習が上手く行かず…。
義肢装具作成の過程や授業の様子が結構詳しく書かれていて戸惑った。理解しずらいところもあり細部まで読み込むことは出来なかったが、オーダーメイドで手作業が殆どの大変な仕事であることは分かった。出来たらおしまいではなく、その後も細かな調整や修理もある。
利用者側にとっては費用も高く、自治体などに補助してもらうための手続きも煩雑で修理一つお願いするのにも時間も手間も掛かる。義肢装具師側からすれば大変な作業の割には決して給料は高くないし会社としての利益も良くはない。結局は当事者たちの妥協や善意や情熱や努力に大いに頼っている難しい業界なのだと分かる。
義肢装具の分野に限らず、福祉の分野が補助金や寄付金頼みではないビジネスとして成り立つ世界になれば良いのにと思う。
二階堂さえ子の前職が内装会社と書いてあり、もしかして?と思ったらやはり『カイシャデイズ』の〈ココスペース〉だった。その後も出るわ出るわ、『凸凹デイズ』『店長がいっぱい』『芸者でGO』『ジンリキシャングリラ』とのリンク。懐かしい面々に再会出来て、山本さん好きには堪らない。
しかし〈凹組〉の醐宮が何と義足になっていた。作品のテーマ上そのような設定にしたのだろうが、かなり驚いた。しかし性格は全く変わっていなかったけど。
さえ子が〈ココスペース〉を辞めた経緯については性急ではないかと思った。篠崎らが必死に止めたのも理解出来る。だがさえ子のキャラクターからして致し方なかったのかな。
同じ班の真紀や戸樫もなかなか個性的なキャラクターでハラハラするところもあるが、全体的には青春物の雰囲気。
写真家で義足の穂高と良い雰囲気になるのかとも思ったが、それでは短絡的過ぎるか。むしろさえ子と真紀、戸樫の関係が微笑ましかった。
そのうちに彼らも山本作品に登場してくれるかも知れない。その時は一人前の義肢装具師になっているだろうか。
※「カイシャデイズ」レビュー
https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4163268502#comment
※「凸凹デイズ」レビュー
https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4163244301#comment
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高校卒業後7年勤めた会社を辞め、義肢装具士の専門学校に入学したさえ子を主人公にしたお仕事小説。義肢装具士という職業はまったく知らず、その仕事の内容を授業を通して一緒に教わった。時期が時期だけにパラリンピック絡みの話になるのかと思いきやそんなこともなく、真面目一本なのかと思いきや随所に笑いも盛り込まれ、読んでいてとても楽しかった。
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+++
内装会社でバリアフリー店舗を手がけたのをきっかけに、25歳で義肢装具士の専門学校に飛び込んだ二階堂さえ子。苦手の製作実習を助けてくれたクラスのはぐれ者2人の熱にあてられ、芸者やカメラマン、人力車夫など多彩な義肢ユーザーと出会い、少しずつ見え始める「ほんとのバリアフリー」。そして、未来の自分。
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義肢装具士のお仕事小説で、知らなかったことをさまざま知ることができて、とても興味深かったが、決してそれだけではない。主人公のさえ子と仲間たちの奮闘と成長の物語でもあって、三人の関係性の変化や、それぞれが補い合って高め合っていく過程を応援したくもなる。さえ子のキャラは、初めはもっと消極的でいじいじしているように見えたが、次第に芯が固まっていくような印象だった。ただ、前職ではかなり手腕を発揮していたようなので、単に、装具士としての自信が持てなかったからだったのだろう。読み進めるほどに先を知りたい欲求が増していく一冊だった。
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二階堂さえ子は7年勤めた内装会社を退職後、義肢装具士を目指し医療福祉専門学校へ通う。クラスメイトは19、20歳と若い。26歳のさえ子は同じ班の戸樫、真純と一緒に義肢装具士になるため学んでいく。技術だけでなく、どうすれば義肢ユーザーのため〈ほんとのバリアフリーの世界〉に変えられるのか。いろいろな人と出会い、そこからしっかりと自分を見つめ直していく過程が良かった。
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お仕事小説と簡単には片づけられない。新しい世界の存在を教えてくれた。
ただ、山本幸久にしては笑いが無いな。(笑)