紙の本
本のお話しの本
2021/06/18 17:09
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投稿者:ツクヨミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
異形コレクションも五十冊目になるのか(てことはウチにこの厚めの文庫が五十冊あるってことか)。
本をテーマにした今回も、粒ぞろいでみんな面白かった。本を読むのが好きな人には面白いに決まってますわ。意外性のある話も多くて、刺激に満ちています。
ラストの北原尚彦の『魁星』を読み終わった後、「中学生の頃にヨコジュン読んだよね」とウチの相方としみじみ語り合いました。
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先月出たダーク・ロマンスのほうが全体的に好みの話は多かったけど、こちらも面白かった。
特に好きだったのは以下の四作。
『砂漠の龍』
異国のファンタジーものかと思いきや、舞台は現代に代わり…と思いがけない展開で面白かった。
『本の背骨が最後に残る』
本となった人間が、己が語るストーリーが間違えて記憶されていると判断された場合焚書させられる世界の話。
版重ねが面白かった。詭弁も極めれば…。
『河原にて』
冒頭の子育てすることの辛さは現実味が強くて読んでてげんなりしたけど、切ないながらも良い話だった。
『魁星』
これを最後にもってきたのはさすがだなぁと。
締めにふさわしい話だったとおもう。
今は亡き横田順彌さんらが登場する、現実を織り混ぜたファンタスティックな話。
これも読んでて切なくもあったが、なんだか心が温かくなる話だった。
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異形コレクション復活第二弾、しかもテーマは本!ということで迷わず日本からお取り寄せです。
今回は興味深い布陣。
この人が異形?てな顔もちらほら、テンションあがりつつの読書でした。
ほとんどの作品がふんわりした着地の幻想譚ではなく、しっかりとしたオチがついているのも嬉しい。
「蔵書の中の」「オモイツヅラ」はシリーズ化したら追いかけたくなる。
一番のお気に入りは「書骸」。あの作業シーンは読んでいて心躍った。
それにしても蔵書家、愛読家には孤独なおっさんが多いな。
我が身を振り返れば言わずもがな、なんだけれど。
今回は好きなテーマだったので本当にどの短編も楽しく読めました。
残念な点が一つ。菊地秀行氏が今回は参加してなかったこと。参加していればどんなのを読ませてくれたのか?
これは「魁星神社」に詣でないと。
大満足でした。
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異形コレクションついに50巻目。そしてテーマが「本」って。あまりに魅力的すぎる一冊です。まさしく本好きのための一冊。いろいろと恐ろしい本も登場したりしますが、それはそれでやはり魅力的。読んでみたく……なる?
お気に入りは澤村伊智「恐 またはこわい話の巻末解説」。これ自体の物語としての魅力ももちろんなのですが、ここで解説されている架空の物語たちのなんて魅力的なことか。読みたい。これ全部読みたい。
倉阪鬼一郎「蝋燭と砂丘」も、じっくり浸りたい一編。たぶん、怖いといえばこの作品が一番怖かったと思います。俳句もじわじわときました。
斜線堂有紀「本の背骨が最後に残る」も惨いながらも素敵な物語で印象的です。「版重ね」のシーンの息詰まるような緊迫感、そして物語の矛盾点を指摘していくプロセスはミステリ的な読み心地も楽しめました。
そしてラスト、北原尚彦「魁星」がもうなんとも言えません。これはもう本好きによる本好きのための物語といえるのではないでしょうか。さて、私だったらどんな本を求めるでしょうか。
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収録作品に当たり外れがある。
「魁星」が1番好き。思わずGoogleマップで神保町界隈を調べてしまった。
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【収録作品】「蔵書の中の」 大崎梢/「砂漠の龍」 宇佐美まこと/「オモイツヅラ」 井上雅彦/「静寂の書籍」 木犀あこ/「蝋燭と砂丘」 倉阪鬼一郎/「雷のごとく恐ろしきツァーリの製本工房」 間瀬純子/「書骸」 柴田勝家/「本の背骨が最後に残る」 斜線堂有紀/「河原にて」 坂木司/「ブックマン-ありえざる奇書の年代記-」 真藤順丈/「2020」 三上延/「ふじみのちょんぼ」 平山夢明/「外法経」 朝松健/「恐またはこわい話の巻末解説」 澤村伊智/「魁星」 北原尚彦
「本」をテーマにしたオリジナル・アンソロジー。
正確に理解できない(したくない)作品もあるし、ほぼ怖い。ここにでてきた人たちのように本に執着しているわけではないが、だからといって「本」から離れようとは思わないくらいには囚われている。
それぞれの前書きによると、「オモイツヅラ」は、『異人館の妖魔(ファンタズマ)〈ヴァン・ヘルシング〉』で著者が創造した幻の書籍『日本妖物語(ファンタズマ・ヤポニカ)』を中心とした新しい物語とのこと。「外法経」は、〈室町ゴシック〉の一作で、『血の炎の京 私本・応仁の乱』と一休シリーズをつなげる、いわば前日譚とか。
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今回は本をテーマにホラーやSF。古本屋を散策してそんな不思議な本に出会ってみたいです。トータルで切りよく50巻めということですが、これで終わりにならずに続くのを期待してます。
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さてこうして本棚にひとつ闇色の背表紙が加わったわけですが、その一点はじわじわと拡がりやがて本棚全体を覆い隠す――って、そもそも「本棚」とか「書庫」ってのもホラーちっくな響きがありますな。なんか生まれないかなうちの本棚からも。
引っ越して納戸が出来たので本棚作ったんだけど、思ったより持ってる本少なかった。もっと沢山読みたいですなぁ。今年はがんばろ。
SF、ホラー、ミステリというなんとかトライアングルから抜け出せずに死んでいくんだと思う。はふう。
1997年から刊行されているダーク・ホラー・アンソロジー。そのシリーズ50巻のという記念すべき一冊を、本をテーマにして編むあたり、本の怖さというものをひしひしと感じるのでした。
本は本の創り手を増殖させてゆく、と序文にもあるけれど、作者の意図からも外れて自己増殖していくとも云える本はある種もう、生きてると云えるんじゃなかろうか。
全体的に百物語ちっくというか、語られる物語の端を捉えて次の物語が語られる…って雰囲気があるのも、そういうホラーの自己増殖感が出てて良かったです。にしても新旧問わずの名だたる作家が語り継ぐ百物語、なんて贅沢なんでしょう。
特に印象に残ったものをいくつか。
柴田勝家『書骸』
戦国武将みたいな名前の作家ランキング1位。御本人もネタにしてるというか由来がそうなんだからいいよね…? Wikipediaに大真面目に「この項目では、織田信長の部下について説明しています。現代のSF作家については「柴田勝家 (作家)」をご覧ください。」って書いてあるのまじで笑える。
圧巻の不気味さと着想。中盤からなんとなくラストの展開は読めてくるものの、解っていても怖い道をじわじわと進んでいって最後の角を曲がる感じはホラーの真骨頂でもある。その道程を語り口と豊かな筆でこうも読ませてくれるとなるともうお手上げである。ああ怖い! ってー開放感はなんなんでしょうね。
真藤順丈『ブックマン――ありえざる奇書の年代記』
岸辺露伴によるバトロワ系ホラー(笑 そもそも岸辺露伴が設定的にズルすぎるんだよね…みんななんとなく心の隅で思い描いているものをあんなに魅力的に形にされては。
緻密な文章と設定力と、広い世界観が読ませる。日常的な描写から物語内の物語にひと息にスライドする技量も見事。その上でミステリ的な展開もあって、とても楽しめました。
朝松健『外法経』
朝松健の〈室町ゴシック〉と銘打たれていますが、こういうの読みたかった! これは良い。
やはり怪異と云えば中世日本の不穏さが光る。大人の一休さん譚。たまらん。
ほんとに読み応えばっちりですが、ちょっと疲れます。良いホラー見たあとって疲れるのと一緒ね。
以下、澤村伊智『恐』からの引用になるけれど、ホラーというものを端的に表わしていて凄くしっくりきたので、まぁこういう気持ちで読んでください。
“こうしたアンソロジーの解説にありがちな「人間にとって最も恐ろしいものは不可避で未知なる『死』であり、怖い話はその恐怖を予習することで緩和させるための手段」といった趣旨の文章も、したがって三つの点で誤りだと私は考える。死を絶対的恐怖だと定義している点。絶対的恐怖というものがどこかに必ずあると見做している点。そして怖い話に、ビジネス書やノウハウ本のような社会的意義、有用性を見出そうとしている点。”
と、これが巻末の解説からの引用ではない、というのも面白いところ。左様にそれぞれ趣向を凝らされた短編のあつまりなので、きっと気に入る1編があるはず。
こりゃ新しい沼だな…
☆4つけときます。怖いんで。
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本。リアルの本の魅惑。本が溢れる部屋の、うっとりするような魅力。
ほぼ完全に電子書籍に移行してしまった私には、無縁になってしまった。部屋に、この蠱惑の本が並ぶことは、もう無い。
なんだか、とても寂しい。そんな読後でした。
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「蠱惑」がテーマの本かと思ってたら「本」がテーマだった
大崎梢「蔵書の中の」
亡き祖父の蔵書を古本屋が引き取りに来るから迎え入れるように頼まれた主人公。古本屋が到着する前に、祖父の旧知という老婆が訪ねてくる。老婆は祖父に貸した本を返してほしいと言い、主人公は老婆を蔵書のある離れへ案内するが…
普通の老婆が徐々におかしくなっていくホラーパートも面白いけど、星の王子さまにまつわる主人公家族の思い出話が微笑ましくて良かった
宇佐美まこと「砂漠の龍」
大伯父から家を譲られた主人公。仕事がリモートワークに切り替わったこともあり、その家に引っ越すことにするが…
「砂漠の龍」の話好き。劇中劇になるのかな?はじめの方は好青年風な主人公の本性が顕になっていき、最後はやったぜとなる、なかなか爽快
井上雅彦「オモイツヅラ」
ヴァン・ヘルシングの娘“博士(レディ)”に雇われ精神病院の書庫の管理をすることになった主人公。
その診療所に外科医がカウンセリングにくるが…
最後の切り裂きジャックの話が読みたい
木犀あこ「静寂の書籍」
古本屋の主人公に、常連の男が蔵書を譲りたいと言う。どうやら常連の男はとてもめずらしい本を持っているらしく…
猫語の教科書、読んでみたいな
倉阪鬼一郎「蠟燭と砂丘」
「蠟燭と砂丘」という句集にまつわる話。
装画や抜粋されている句がとても良い、雰囲気すごく好きだ
間瀬純子「雷のごとく 恐ろしきツァーリの製本工房」
雷帝に依頼され聖書を印刷することになった主人公の話。
ウラー!
柴田勝家「書骸」
本の剥製を作るのが趣味の男の話。
夫婦の話かと思いきや。独白するユニバーサル横メルカトルを思い出した。なかなか好き
斜線堂有紀「本の背骨が最後に残る」
本が紙ではなく人間である国の話。
一つの物語について本同士に齟齬がある場合、誤植として「版重ね」というレスバトルをする。負けた方は焚書とし、焼かれることになる。主人公の見た版重ねは「白往き姫」
赤毛の本は「女王が毒りんごで白往き姫を殺す話」と言い、本に刻まれる物語は原則一つまでとされているところ十の物語を刻んでいることから十と呼ばれている本は「白往き姫が毒りんごで女王を殺す話」と言うが…
これすごく面白かったな~!なんというか、本を焼いたことはないんだけど本を焼くという行為に対する背徳感からくる悦びってなんとなくわかる感覚だ。レイ・ブラッドベリ「華氏451度」読んでみよ
坂木司「河原にて」
これなんか泣いちゃった…これも本を焼く話。河原で本を焼いている男の元に、色んな人がやってきてそれぞれ本を焼くって話。
本を焼くことで心が解放されるってなぜかわかる。本を焼きたいと思ったことないけど、自分の中で本という存在が重いからか?
最後は蛇足的だなとも思ったけど、まあ異コレのテーマ的には納得感ある。胸にじんとくるいい話だった。
真藤順丈「ブックマン―ありえざる奇書の年代記」
主人公の出生にまつわる話。アラブ・異文字・異端の教��、雰囲気が独特でとても良かった。祖母めっちゃ強くて好き。祖母と叔父の関係、うーん、なかなか良い
三上延「2020」
とあるベストセラー作家の弟子である主人公が、作家の出身地である文之島、通称本の島へやってくるところから始まる話。
面白かった、「書華」読んでみたいな~
このバイブルボックスほしい
平山夢明「ふじみのちょんぼ」
地下格闘家の話。
「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」のMCにとっての夢みたいなアイテムとして本が出てくる。こういう最悪の環境下にいる人間にとっての優しい優しい救いのアイテム、とても良いな~最後はそれもなくなってしまうっていうのがさ
朝松健「外法経」
いつもの室町時代のやつ。
森さん良い、好き
澤村伊智「恐 またはこわい話の巻末解説」
これ面白いな~!ダークロマンス・蠱惑の本で澤村伊智好きになった、話の構成が面白い。
この話は架空のホラーアンソロジーの巻末解説という形式を取っている。収録予定の話読みたい、すごく面白そうだ
北原尚彦「魁星」
主に北原尚彦と横田順彌の交流を描きながら、幻の本にまつわるストーリーが展開される。
いいな~!この神社
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ホラー。短編集。アンソロジー。
テーマは"本"。
個人的な印象としては、テーマのせいか、地味。
ミステリ作家がそこそこ多かった気もする。
決してつまらない訳ではなく、無難に楽しめた。
特に面白かったのは以下の4作品。
宇佐美まこと「砂漠の龍」
前半と後半で全く異なる物語。そう繋げるのか、と驚く結末が良い。
井上雅彦「オモイツヅラ」
軽めのダークファンタジー。いつもは独特の雰囲気が合わなかったが、この雰囲気は好み。
斜線堂有紀「本の背骨が最後に残る」
初めて読んだ作家だが、世界観が凄い。
真藤順丈「ブックマン ありえざる奇書の年代記」
ちょっぴりダークな現代ファンタジー。これも世界観が独特。インパクト強め。
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異形コレクションシリーズ50冊目。
今回のテーマは「本」。
どれがヒットするかは好みによって変わるでしょうが、本好きにはたまらない世界観。
各短編の構成もすごく良かった。(特に「魁星」を最後に持ってきたのが)
下記2作が好き。
大崎梢「蔵書の中の」
少し不気味要素のあるストーリーの中に本への愛情も感じられてすごく面白かった。
北原尚彦「魁星」
本読みには垂涎もの。自分だったらどの本を頼むかな、っていろいろ空想してしまう。作者が亡くなって未完になってしまった本とか、読みたい本は尽きませんね。
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異形コレクション。今まで図書館で見かけたことはあるけど読んだのは初めて。「蠱惑の本」をテーマにした15人の作家によるアンソロジーです。
大体アンソロって何作かは合わないなって思う作品があったりするんだけど、これはどれも面白かったなぁ。SF・ファンタジー・ミステリー・ホラー・時代物…様々な蠱惑の本に魅了されました。
中でも斜線堂有紀「本の背骨が最後に残る」がお気に入りです。ファンタジーものってどうも肌に合わないことが多くてあまり読まないのですが、これは世界観がすごくて引き込まれた。
三上延「2020」も面白かった。本の中にいつの間にか取り込まれてしまったような恐怖感。文之島のような本の島が本当にあったら行ってみたいな。
このシリーズ、50冊も出ているとは知らなかった。
また他のテーマのものも読んでみようと思う。