蒋介石を救った帝国軍人 ――台湾軍事顧問団・白団の真相
著者 野嶋剛
日中戦争後、蒋介石は帝国軍人による軍事顧問団・白団を組織させた。直前まで宿敵だった者同士が手を結ぶことができたのは、なぜか。米国のフーバー研究所で公開された、蒋介石の50...
蒋介石を救った帝国軍人 ――台湾軍事顧問団・白団の真相
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商品説明
日中戦争後、蒋介石は帝国軍人による軍事顧問団・白団を組織させた。直前まで宿敵だった者同士が手を結ぶことができたのは、なぜか。米国のフーバー研究所で公開された、蒋介石の50年を超える日記、白団の生存者たちの肉声、さらに台湾軍上層部の証言を集めた。敗戦国軍人の思い、蒋介石の真意とは。
目次
- プロローグ 病床の元陸軍参謀/第一章 蒋介石とは何者か/1 空前絶後の日記/2 ゆかりの土地で/3 二度の日本体験/第二章 岡村寧次はなぜ無罪だったのか/1 支那通軍人として/2 「以徳報怨」演説と国民党への協力/3 もし彼に死刑を与えたら……/第三章 白団の黒子たち/1 曹士澂ファイル/2 『蟻の兵隊』をめぐって/3 キーマン・小笠原清/第四章 富田直亮と根本博/1 一九四九年九月十日/2 古寧頭の戦いの謎/3 さながら「軍師」/第五章 彼らの成しとげたこと/1 敗北を奇貨として/2 圓山の日々/3 模範師団と総動員体制/第六章 戸梶金次郎が見た白団/1 軍人の肉声/2 理想や理念だけでなく/3 解散の予感/第七章 秘密の軍事資料/1 東洋一の軍事図書館/2 「調研第○○号」/3 服部機関の影/第八章 白団とはなんだったのか/1 存在を明かすべきか/2 楊鴻儒の悲劇/3 日中台と蒋介石、そして白団/エピローグ 温泉路一四四号/あとがき/主要参考書籍/巻末資料/関連年表/人名索引/文庫版追記/解説 保阪正康
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旧題は「ラスト・バタリオン」でした
2021/06/27 15:27
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
講談社から出た親本の旧題は「ラスト・バタリオン」と落合信彦の「20世紀最後の真実」を連想させる題名だったのは、著者が昭和43年生まれでおそらく読んだ事があって、いかにもキワモノ臭いから改題したのだろう。
「蒋介石日記」を主な資料としていると思うが、白団の関係者は取材出来るギリギリだったと思うが取材して、先行している本も利用している。ただし「台湾における一党独裁体制の成立」の記述と表現が酷似している個所がある。
加登川幸太郎という名前が白団の資料の中で出て来て驚いたとあるが、中国大陸で終戦を迎えたから、別に不自然とは思わないが。
佐々木春隆の「朝鮮戦争・韓国篇」は日満軍出身の韓国軍人に対して「同じ釜の飯を食った戦友」史観に貫かれた本だが、「支那通」の日本軍人と日本に留学経験がある国府軍の将軍達との間の関係から生まれたのが白団だったように見える。白団の身の回りの世話をした日本語が話せる事務官や軍官がいたとあるが、どういう出自なのだろうか?満洲国で日本語教育を受けた人とか満軍や汪兆銘の南京政府軍出身者とか?今井武夫の「日中和平工作」(「支那事変の回想」)に終戦後、国府軍から連絡将校として派遣されたのが台湾出身で国府軍に参加した軍官とあるのを連想した。一方、白団出身者で陸幼、陸士、陸大などで中国語を取得した人がどのぐらいいたのだろう?
蒋介石の日本語力について、特に会話力は否定的だが、「台湾総統列伝」では晩年の彼と直接会った事がある在日台湾人が自分と同じぐらいの日本語力だったと評しているとあり、日本留学経験者の中では「張群、何応欽、蒋介石の順」だと評した日本人記者の発言を引用しているので、本当のところはどうなのだろうか。もう分からないかもしれないが。
文庫本のあとがきで李登輝の退場について書かれている。著者自身が「香港とは何か」で、お互いの語学力の関係で日本語を使って取材しているという日本オタクの周庭から愛唱歌の欅坂46の「不協和音」を教わったとあるので、時代の変化を感じてしまう。蒋介石のような日本留学経験者でもなく、李登輝のような旧制台北高校から京都帝大に進学したエリートでもなく、日本のサブカル好きが高じて日本語を取得した女性が表舞台に登場する時代になったのだから。インリンのようなフジサンケイグループ嫌いを公言する人を重宝する人もいるだろうが、まさか周庭が特異な例というわけでもないだろう。