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商品説明
ナチス・ドイツの強制断種政策と「安楽死」の歴史を、最新の研究成果に基づいて明らかにする試み。この事象の計画や実行のプロセス、思想的背景、加害者および犠牲者の姿を描くとともに、現代に投げかけている問題を考える。【「TRC MARC」の商品解説】
加害・犠牲者の両面からこの事象の思想的背景、計画・実行プロセスを明らかにし、
過去と地続きの、私たちの「今」を逆照射。
ナチス・ドイツの強制断種政策と「安楽死」は、「もうひとつのホロコースト」とも言われる。当時のドイツでは、ユダヤ人のみならず、病気や障害のある人々、社会規範に逸脱するとみなされた人々が、優生学を背景とする政策によって「価値のない」「社会の負担となる」存在として強制的に断種(不妊化)され、さらに戦時下においては秘密裡に殺害されていた。そうした措置には、政権指導部はむろんのこと、医師や官僚、司法や福祉・教育関係者など様々な人々が関わっていた。わずか10年余りのナチ時代において強制断種の犠牲になった人々の数は40万人、「安楽死」の犠牲者は30万人に上る。
近年、この問題は日本でも関心が高まっており、一般のメディアで言及されることも増えてきた。そこでは、ともすると「悪魔のようなヒトラー」と「恐るべき優生思想」といった「異常性」ですべてが説明されてしまうことも多い。しかし、この事象にもう少し踏み込んでその細部に目を凝らしてみると、これは決して「過去」の出来事ではなく、現在と地続きの問題であることがわかる。本書は、当時の政治体制や社会・経済的状況を踏まえつつ、この事象の思想的背景や計画策定・実行のプロセスを明らかにし、加害者となった医療や福祉関係者、犠牲者とその家族の姿などを描いた上で、この問題が長きにわたる忘却と隠蔽の時代を経て、近年ようやく「ナチの不正」として謝罪と追悼の対象となるまでの道のりを明らかにする。「価値を否定された人々」の社会的排除が極限まで推し進められるプロセスとその行きついた先を見ることで、あらためて「人間の価値」とは何か、人間を価値づけるとはどういうことなのかを考える手がかりとしたい。(執筆者一同)【商品解説】
著者紹介
中野智世
- 略歴
- 〈中野智世〉成城大学文芸学部教授。専門はドイツ近現代史・社会史。
〈木畑和子〉成城大学名誉教授。専門はドイツ現代史。著書に「ユダヤ人児童の亡命と東ドイツへの帰還」など。
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