電子書籍
シリーズ三作目
2021/12/15 19:18
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投稿者:タマミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
物理波矢多シリーズの第三弾。
時系列は、前作「白魔の塔」より前の話。
闇市に出没する怪人の謎を追う主人公が、再び殺人事件に遭遇する。
怪談パートは安定の怖さ。推理は今回、少しあっさりしすぎかも。
前作でほのめかされていた、ある人物の登場が嬉しい。
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【ホラーミステリーの名手、シリーズ第3弾】『黒面の狐』事件後、上京した物理波矢多は、闇市「赤迷路」に巣食う怪人「赫衣」の正体を調べるなかで、凄惨な殺人事件に遭遇する。
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物理波矢多(もとろいはやた)シリーズの第3作。
上京して、大学の級友熊井新市の元に身を寄せた波矢多は、父の的屋潮五郎から奇妙な依頼を受けます。
宝生寺の闇市、通称”赤迷路”に現れ、女性のあとを付け回す全身赤っぽい男、”赫衣”の正体を暴いてほしいというものです。
赫衣に出くわした女性たちに話を聞いている矢先、パチンコ店で衝撃的な殺人事件が起きます。
戦後に繰り広げられるホラーミステリーです。
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戦後の闇市で起こる怪事件に物理波矢多が挑むホラーミステリ。闇市の成立や食糧事情、習俗、風俗について読むだけでも面白い。人を惑わす『赤迷路』に現れる正体不明の怪人『赫衣』、魅力的な舞台と謎に引き込まれ一気読みで楽しめました。
今回はこの舞台設定の魅力が肝で読ませますね。謎解きはややあっさりな印象です。ホラー面の考察や、土地が秘めた謎や因縁については、もっと深掘りしてくれたらなという思いもあります。舞台が魅力的なだけに、もっと読みたかった知りたかったという欲が出ますね。結局、赫衣とは、という。
前二作に比べても陽というか、戦後の混沌とした状況で辛いこともありながらも生きる人々の活力のようなものを感じました。事件や真相は暗く悲惨ではありますが、闇市で生活する登場人物たちの姿は生き生きと描かれていて、足掻いている、前に向かっているという感覚がある。
あの人との邂逅については、正直テンションあがりましたね。今後に繋がることを期待してしまいますね。赫衣のホラー面の謎には、あの人が挑戦してくれたりしないのかな。
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戦後の闇市
都市伝説?妖怪?
民俗学を波矢多が学び始める!
個人的には赫衣をもっと掘り下げて欲しかった。
犯人は刀城言耶シリーズのように何度もどんでん返しはない。
あっという間だった。。
まさか容疑者がそのまま犯人だったなんて。
私はずっとアケミが犯人だと思っていた。
被害者が妊婦ってのも読んでて腹が痛くなる思い…
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物理波矢多シリーズ第3弾。今回は戦後の闇市が舞台で、どちらかというとホラーよりミステリ寄りな話である。
『黒面の狐』の事件後、物理波矢多は友人の依頼で闇市に出没する「赫衣」と呼ばれる怪人の正体を調べることに。しかしそこで凄惨な殺人事件に遭遇し‥
闇市の歴史や当時の食糧事情、風俗などがよくわかって面白かったし、「赤迷路」と呼ばれる闇市の魅力や不気味さがよかった。密室や犯行後に消える犯人の謎は物理的にはそれほど驚くことはなかったが、この時代ならではの心情を思うと切ない。
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敗戦直後の混乱期の日本社会の描写が興味深い。近年「戦争孤児」の方々の記憶が語られるようになり、NHKの“駅の子”や“戦後ゼロ年”“東京ブラックホール”等戦後史を扱った番組を通じて再度戦後史に関心をもっていたので興味深く楽しめた。
終盤「ジーンズパンツが似合う青年」が....
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時系列的には白魔の塔の前日譚にあたるのかな?
犯人やトリックは予想したものでは全くなかった。
そういうところよりも戦後すぐの日本の状況が事細かに描かれていてそちらの方が興味深かった。
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物理波矢多(もとろいはやた)シリーズ第三作だが、時系列としては第一作「黒面の狐」と第二作「白魔の塔」の間の事件ということらしい。
これまでの二作品の舞台は炭鉱と灯台という、いわば僻地だったのだが今回は東京の闇市。<宝生寺>という地区にある、通称『赤迷路』という飲食店街。
そこには以前から『赫衣(あかごろも)』と呼ばれる不気味な赤い男が女性を追いかけるという噂があった。
波矢多は大学の同期生・熊井新市(くまがいしんいち)からの依頼で、『赫衣』の謎を解き『赤迷路』の不吉な噂を一掃すべく『赤迷路』の世話役・私市(さきいち)吉之助が営む私市遊技場(パチンコ店)を訪れたのだが、謎の解明を始めた直後、その遊技場内で残酷な事件が起こる。
今回は密室祭り。遊技場内で起きた殺人事件では室内の施錠に加え、建物の外では何人もの人々がいて衆人環視もあり、二重三重の密室状態になっていた。
そして続く第二、第三の『赫衣』が女性を襲った事件(幸い軽いけがで済んだ)では、現場周辺の全ての路地には誰かがいて怪しい人物はいなかった。つまりこれも一種の密室状態。
波矢多は期せずして『赫衣』事件だけでなく密室の謎も解くことになった。
ということで密室好きの私としてはワクワクしてきたのだが、肝心の密室の謎については思っていたのとは違っていた。残念。
しかしこの作品では密室トリックよりもなぜ妊婦が狙われたのか、ということだろうか。そして第一の殺人ではなぜここまで残酷なことをしたのか、その理由が肝だったのだろう。
事件そのものやミステリー部分よりも、闇市の成り立ちや終戦直後の状況についての記述が興味深かった。
闇市が駅周辺に多いのは単に交通利便性ということだと思っていたが、建物疎開が大いに関係していたのはなるほどと思った。
そして今の時代では考えられないような人権無視が当たり前のようにあったことも改めて考えさせられる。
差別や人権蹂躙という問題は、社会が平和で生活がおちついているから皆が考えられることであって、終戦直後のような皆が食べることに必死で自分が生きていくことが精いっぱいだった状況においては、そのようなことは二の次になってしまうのだと感じた。
図らずも現在世界は大変なことになっている。こんな時だからこそ助け合い思い合うことが出来れば良いのだが。
三津田さんファンとしては刀城言耶がチラッと登場してくれたのが嬉しい。『赫衣』という、まさに言耶好みの謎めいた噂なのだから彼が調べに来ない筈はない。
この後、波矢多は『白魔の塔』事件の舞台へと向かう。
※シリーズ作品一覧
①「黒面の狐」
②「白魔の塔」
③ 本作
(いずれもレビュー登録あり)
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「黒面の狐」「白魔の塔」の間になる物語。敗戦直後の闇市を舞台にしたミステリ。
足を踏み入れた者が迷ってしまう「赤迷路」に出現する怪人「赫衣」。かつて起こったという米兵ジャックによる猟奇殺人。不穏な噂をなぞるかのように起こった凄惨な殺人と、その後も赤迷路の中を跳梁する怪人の影。この時代独特の重苦しさを背負っているせいもあって、実に陰鬱で禍々しい雰囲気がたっぷりです。このような時代があったのだということが、現代の人にはなかなか信じられないかもしれません。
密室殺人の謎、路地で消えた怪人の謎等いろいろと謎解きのポイントはありそうに思えますが。しかし一番の謎は動機だったのか……これもまた、現代ではなかなか考えにくいことだけれど、当時でなら理解されるものだったのかもしれません。あまりにやりきれなくって、恐ろしくもありました。
ああしかしそれにしても、赤迷路の中を迷ってしまうシーンの描写がやはり怖いったら。あの足音がね……イメージするだけで鳥肌ものです。
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物理波矢多シリーズの第三弾。ただ時系列的には黒面と白魔の間のお話。白魔の冒頭で東京の闇市でのお話が示唆されてましたねそういえば。
面白かった・・んですが、相変わらず解答編が極端に短い。謎解きっぽいことをはじめた段階で、え?もう残りページほとんでないよ?と余計な心配。電子書籍だとこういう心配はなくなるんでしょうかね?で、駆け足で解答終わっちゃうので、なんというか、こう余韻みたいなものが・・・
微妙に伏線めいたものが残ったようななんともいえない感じ。清一くんのなんとも思わせぶりなラストとか。今後のシリーズへの布石だったり・・・はしないか。
そしてジーンズを履いた民俗学好きの青年まで登場しましたからね。なんかちょっと無理やりっぽかった気もしましたけど。
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物理波矢多シリーズ3。時系列的には、前作『百魔の塔』の前にあたる。
終戦直後の闇市や戦災孤児・女性たちの生きざまが描かれている。ここだけでも十分読む価値があると思う。
ミステリというよりは、戦後史を読んだ気分。
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物理波矢多シリーズ第三弾。時系列的には二作目の白の前の話。白がかなりホラー色が強かったのに比べると、一作目の黒に近いかな…。でも、最終的にはいつもの如くある程度の解決はつくけど、解決がつかないホラー的な部分もありって感じでした。時代背景のせいもあるのでしょうが、とりあえず全体的に薄暗い。あと、特筆すべきは違うシリーズのあの作家兼素人探偵がちらっと登場することですかね。
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物理波矢多シリーズ3作目。
時系列でいうと1作目と3作目の間。
ミステリーというより戦後の闇市を中心とした説明、描写が多く、ミステリー性、怪奇性とも今一つ。
最後の推理もあっさり。
最後に刀城言耶が出てきて赫衣の由来を示唆する場面もちょっと強引な感じ。
次作に期待。
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読了、30点
端的に述べれば、ミステリかホラーが読みたいのであって、当時の風俗や生活様式を読みたい訳ではない
それがこの評価の要因
本作は戦争直後闇市が興った場所(ただし事件当時は治安回復と統制によりその特色が薄れつつある)を舞台に話が進むので、
ある程度説明にページが割かれるのは仕方ないと理屈では理解できる
しかし冒頭50ページその説明が続き、続く100ページ近くは都市伝説のような怪談が続く
この怪談、とにかく読書欲が削られていた自分には楽しめず。
その後半分を越えたあたりで家屋を舞台にした密室事件、さらに立て続けに衆人環視の路地を舞台にした密室事件と続くが結末も最後まで読んだ甲斐があったとまで持ち直せず
本筋やオチ、キャラクターはそのままでも話の構成や分量を少し変えるだけでもっと魅力的な作品になったのではと思わざるを得ませんでした。