迷宮と迷路の文化史

投稿元：

レビューを見る

1922年出版の「迷宮と迷路」についての古典的な名著の翻訳本。
全23章。訳注、解題、補遺、索引有り。適宜に図版や画像有り。
多くの史料や文献、実物等と、独自のフィールドワークで
得た様々な迷宮と迷路の記述について検証し、まとめ、
紹介した内容です。しかも彼は一介の民間人であることの凄さ。
章の数は多いけれど各章のページ数は少なく、コンパクトに
まとまっています。が、400ページ超。訳注も膨大です。
エジプトやクレタ等の遥か古代の迷宮の存在について、
迷宮神話と遺跡、その洞窟は迷路？鉱石採掘場？かを検証。
迷宮の図柄、デザインの始まり。ミーノタウロス伝説の影響。
中世の教会で発見された迷宮画。イギリスの芝迷宮(芝迷路)。
花壇迷宮と小低木迷路。
ヨーロッパの王侯貴族の宮殿を彩るトビアリー庭園迷宮や
生垣迷路は時代を経て、上流貴族の館や公園に設置。
北欧の置き石迷宮と世界各地(アメリカにも)に残る、
岩面陰刻された渦巻き文様や迷宮デザインの謎。
「トロイ」の言葉と舞踏及び迷宮図形の結合。
「麗しのロザリンド」の伝説。“迷宮”と“迷路”の語源。
迷宮デザインと迷路の分類、解法の考察。
文学での題名や内容に表れる迷宮。
鏡迷路や砂迷路、迷路玩具、ゲームの登場。
迷宮と迷路についての本は少なく、1980年刊行の
「世界の迷路と迷宮」ジャネット・ボード／著くらいしか
探せなかったので、これほど総合的にまとめた本の翻訳は、
大いに喜ばしく、驚きをもって楽しむことが出来ました。

投稿元：

レビューを見る

迷宮と迷路に関わる要素を網羅した古典的名著の全訳です。1922年の本が100年の時を経て私たちの手に渡るというのも感慨深いですが何より本文の濃密さに心動かされます。貴重な図版も収録。おすすめ本です。

投稿元：

レビューを見る

百年前の本。英国の芝生迷路(Troy Town, Julian's Bauer等)を中心に、関連ありそうな古今の事例を網羅的に扱っているが、考察は少ないので物足りなく感じる。