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- カテゴリ:一般
- 発売日:2022/05/18
- 出版社: ハーパーコリンズ・ジャパン
- レーベル: ハーパーBOOKS
- サイズ:15cm/588p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-596-42927-8
読割 50
紙の本
業火の市 (ハーパーBOOKS)
1986年アメリカ東海岸。アイルランド系マフィア・ファミリーの片隅に身を置くダニーは仲間と平穏に暮らしていた。だがある日、共存共栄してきたイタリア系マフィア・ファミリーと...
業火の市 (ハーパーBOOKS)
業火の市
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商品説明
1986年アメリカ東海岸。アイルランド系マフィア・ファミリーの片隅に身を置くダニーは仲間と平穏に暮らしていた。だがある日、共存共栄してきたイタリア系マフィア・ファミリーとの間に諍いが起き、歯車が狂い始め…。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
暴力の連鎖の先にあるもの。
2022/08/30 22:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ゴッドファーザー」や「グッドフェローズ」に心掴まれた私にとって、マフィアを描いた作品を避けて通ることは考えられない。
ましてや著者があのドン・ウィンズロウとなれば尚更のこと。
ドン・ウィンズロウ×マフィアとなれば否応なしに期待値は高まってしまうものだが、そんなハードルなど軽々と超えるほど本作は素晴らしい作品となっている。
マフィア作品お馴染みの、ファミリー同士の絆、陰謀と裏切り、血で血を洗う凄惨な暴力の連鎖はもちろんのこと、
個人的にマフィア作品で最も重視している要素である、暴力への虚無感が本作ではしっかりと描かれている。
暴力を生業としている彼らが暴力の虚しさに気付いていく様は、人間の愚かさを映し出すと同時に己の運命を受け入れた者だけが持つ強さをもまた映し出す。
日常や平和が如何に脆弱で儚いものか痛感させられるだろう。
また各人の思惑・私利私欲が絡まり、ほんの些細なことが火種と化し、引き返せない状況になっていく物語の展開は全く予想がつかない。
儲けることしか頭にない者、血を家族を何よりも大切にする者、血や家族に懐疑的になる者などそれぞれの価値観が異なるが故に、いつそれが衝突するか読者は気が気でないはずだ。
いつ誰に何が起こるか分からない緊張感と、誰が何を目的として裏で動いているのかという疑心がページを繰る手を止めさせない。
予想がつかない展開でありながらも、いざそれが起きてしまうとそうなることが必然だったかのような見事な物語の構成。
マフィアという遠い世界で生きる人々でありながらも彼らの心情をリアルに描く巧みな人物描写。
巨匠ドン・ウィンズロウの筆力にただただ身を委ね、彼の紡いだ物語を読めるその幸福を是非とも噛み締めてほしい。