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- カテゴリ:一般
- 発売日:2022/07/12
- 出版社: みすず書房
- サイズ:20cm/350,24p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-622-08535-5
- 国内送料無料
紙の本
慰安婦問題論
朝鮮人慰安婦問題は、ジェンダー化された構造的暴力。日本のつくりだした植民地経済と、日本と朝鮮の家父長制下で何世紀ものあいだ維持されてきた性文化に検討を加えつつ、慰安婦問題...
慰安婦問題論
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商品説明
朝鮮人慰安婦問題は、ジェンダー化された構造的暴力。日本のつくりだした植民地経済と、日本と朝鮮の家父長制下で何世紀ものあいだ維持されてきた性文化に検討を加えつつ、慰安婦問題に人類学の角度から解釈を加える。【「TRC MARC」の商品解説】
この問題が注目された端緒は1991年、金学順らが日本政府を相手に起こした集団訴訟だった。それから30年。元慰安婦らが国家賠償を求め続ける一方で、日本では教科書の記述が変更され、あいちトリエンナーレ2019で平和の少女像展示が一時中止になり、2022年日独首脳会談ではベルリンの少女像の撤去が求められた。1993年の河野談話を継承するとしつつ責任を限定したい日本側と、慰安婦制度は国家犯罪という認識は平行線をたどってきた。
本書は2008年に、韓国人研究者がシカゴ大学出版から英語で刊行した研究書の待望の日本語版である。刊行当時から現在まで慰安婦問題をめぐる基本構図は変わらない。なぜこれほどまでに、問題はこじれたのか。
日本軍の慰安所について、本書はそれを認可業者型、軍専属型、犯罪型に分類し、商業性と犯罪性の濃淡を認めている。公娼か性奴隷かの二元論はこの現実を見てこなかった。そうした論争は問題の核心も看過してきた。それは、慰安婦にされた女性を飲み込んだ女性蔑視・搾取の巨大な濁流、それに日韓双方が国家レベルでも国民レベルでも加担していた事実である。これが本書の問題意識である。
「自らの政治的立場を強める目的で文脈を無視して本書の一部を悪用することのないよう、日本内外の右翼および急進的ナショナリストに注意を促しておく」(「はじめに」より)。曲解を招く危険を自覚しつつ、争いの不毛さを指摘した勇気ある書。【商品解説】
目次
- はじめに
- 序――ジェンダー、階級、セクシュアリティ、そして植民地下における労働と帝国主義戦争
- 第一部 ジェンダーと構造的暴力
- 第一章 多様な慰安婦像から定型ストーリーへ
- 第二章 韓国人サバイバーの証言ナラティヴ
- 第三章 歴史としての日本の軍慰安婦制度
- 第二部 パブリック・セックスと女性の労働
- 第四章 慰安婦をめぐる戦後/解放後の公的記憶
著者紹介
C.サラ・ソー
- 略歴
- 〈C.サラ・ソー〉ハワイ大学で文化人類学を専攻し博士号を取得。サンフランシスコ州立大学名誉教授(人類学)。
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紙の本
慰安婦を政治的に定型ストーリーでとらえるリスクを考える
2022/12/31 11:46
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を手に取って感じたのは、2008年に韓国人研究者がシカゴ大学出版から英語で刊行した研究書であり、日本語版は2022年に出されたのかということである。しかし、内容的に古いものでなく、刊行当時から現在まで慰安婦問題をめぐる基本構図は変わらない。日本軍の慰安所について、丹念に調べた上で、認可業者型、軍専属型、犯罪型に分類し、商業性と犯罪性があることを指摘する。公娼か性奴隷かの二元論で、特定の勢力の主張として、困惑された方も多かったのではないだろうか。実態を軽視しがちな論争は問題の核心すら見逃すのではないかと警鐘を鳴らす。そもそも日本と朝鮮半島で、女性蔑視・搾取の構造があり、植民地化、戦争を通して日韓双方が国家レベルでも国民レベルでも加担していた事実、見たくないであろう事実に迫ろうとする。一貫した問題意識であるから、家父長制下の女性に対する抑圧、日本の敗戦後は、占領軍に対する日本の女性供出(日本の多くの女性を守ると言いながらの自己保身か)、朝鮮戦争時を含む在韓米軍に対する女性供出に言及している。当然、日本政府や日本軍の責任を軽くするものではない。本書の目次を見ると、
はじめに
序―ジェンダー、階級、セクシュアリティ、そして植民地下における労働と帝国主義戦争
第1部 ジェンダーと構造的暴力
第1章 多様な慰安婦像から定型ストーリーへ
第2章 韓国人サバイバーの証言ナラティヴ
第3章 歴史としての日本の軍慰安制度
第2部 パブリック・セックスと女性の労働
第4章 慰安婦をめぐる戦後/解放後の公的記憶
第5章 パブリック・セックスをめぐる個人の記憶
第6章 パブリック・セックスと国家
おわりにー真実、正義、和解
補遺―「在外者人類学」を実践するということ
謝辞 となる。また、解説も読むべきところである。
日本で、戦前から公娼制度が幅を利かし、国際的な批判を浴びて廃止したといいながら、公娼制度の実態を継続した上に、植民地に持ち込んでいった。歴史的事実と家父長制や公娼制度等を直視した取り組みを考えるにも、一読する価値がある。
紙の本
残酷な出版社
2022/07/14 22:42
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の主題とはズレるかもしれないが、みすず書房が出した「スペイン内戦と国際旅団」には弟が国民戦線に投じたので刑務所に放り込まれて囚人達から輪姦された末に「売買春の廃止」のはずのスペイン共和国の軍隊の外人部隊という扱いになっている国際旅団の慰安所に慰安婦として連行されたブルジョワ階級の女性の話しがある。みすず書房は「慰安婦」という言葉は日本軍か、せいぜい同時代のドイツ軍あたりの「専売特許」とでも思っているのか、「街娼」だなどという訳語を使っている。みすず書房は「スペイン内戦と国際旅団」を回収して「街娼」を「慰安婦」と置き換えた版を出さない限り、こんな本を出す資格がない。みすず書房はスペイン共和国と国際旅団を酷評しているビーヴァーの「スペイン内戦」を出しているとは言え、スペイン共和国の慰安婦問題など「大した問題」ではないとでも認識しているとしか思えない。