貸本屋とマンガの棚
著者 高野慎三
60数年前、人々は貸本屋から本を借りて読むことが、ささやかな娯楽だった。とくに貸本マンガと呼ばれる作品群は、子どもや若い労働者たちの心をつかんだ。そのなかには若き日の白土...
貸本屋とマンガの棚
商品説明
60数年前、人々は貸本屋から本を借りて読むことが、ささやかな娯楽だった。とくに貸本マンガと呼ばれる作品群は、子どもや若い労働者たちの心をつかんだ。そのなかには若き日の白土三平、つげ義春、さいとう・たかを等の作品があった。戦後社会のあだ花のように咲いた貸本文化の全貌に迫る!『貸本マンガと戦後の風景』を改題・文庫化。
目次
- はじめに/第一章 貸本マンガの誕生まで/夜店の赤本と『愉快な三振王』/「おもちゃマンガ」と手塚の赤本単行本/街頭紙芝居と太平洋文庫/紙芝居、赤本から貸本マンガへ/第二章 貸本マンガの隆盛/花売り娘と貸本少女マンガ/五〇年代の復讐譚──『坊太郎天狗』/滝田ゆうの社会派少女マンガ/白土三平『こがらし剣士』と戦後状況1/白土三平『こがらし剣士』と戦後状況2/貸本屋探索行と『バレエ』/戦記マンガの読者とは/『影』『街』の創刊/『少年山河』に描かれた“怒れる若者たち”/五〇年代のユーモアの諸相/第三章 貸本マンガ・一九六〇/三茶書房と『忍者武芸帳』との出合い/貸本SFと戦記マンガの同時代性/荏原地区の零細工場群と東京作画会/つげ忠男の幻のデビュー作/つげ義春『忍者秘帳』と安保論争の頃/戦災孤児とつげ忠男の少女マンガ/漁村の貸本屋と『少年 近藤勇』/第四章 貸本マンガ 衰退期の光芒/中目黒の工場群と『轟先生』/『刑事』とさいとう・たかを評価をめぐって/小島剛夕の世界/『血だるま剣法』の問題性/面影橋の佐藤プロと水木しげる/渋谷・大盛堂と『忍法秘話』/つげ忠男と“ハイティーンの怒り”/つげ忠男の疾風怒濤時代/二人の貸本作家──池上遼一とつげ義春/第五章 貸本マンガと新宿・十二社と/十二社の料亭街とつげ義春『戦雲のかなた』/新宿・成子坂下の『ロケットマン』/石子順造と杉村篤(コン・太郎)/石子順造の貸本屋巡礼/石子順造と「貸出票」/第六章 貸本マンガと戦後大衆文化/高橋真琴と少女小説/任侠映画と佐藤まさあきの劇画/貸本時代小説と小島剛夕/映画の隆盛と貸本現代小説/無名の貸本作家/『旗本退屈男』と少年講談の隆盛/抵抗の系譜が問いかけるもの/第七章 貸本マンガの「場所」/貸出票が物語るもの/下層の人びとと貸本屋/奥付とその痕跡を尋ねて/神田村とつげ義春『奴隷侍』/『全国貸本新聞』の先駆性/太平洋文庫にみる戦後現実/水木しげるの肉声──「読者投稿欄」/おわりに/文庫化にあたって/単行本版解説 梶井 純/文庫版解説 宮本大人
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