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- カテゴリ:一般
- 発売日:2022/09/16
- 出版社: 日経BP
- サイズ:20cm/305p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-296-00121-7
読割 50
紙の本
日本経済の見えない真実 低成長・低金利の「出口」はあるか
著者 門間 一夫 (著)
デフレ脱却を目指したアベノミクス、日銀による異次元の金融緩和の前提としてあった日本経済をめぐる「通説」は果たして正しかったのか。元日本銀行理事が、この10年の金融財政政策...
日本経済の見えない真実 低成長・低金利の「出口」はあるか
日本経済の見えない真実 低成長・低金利の「出口」はあるか
05/02まで通常2,640円
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商品説明
デフレ脱却を目指したアベノミクス、日銀による異次元の金融緩和の前提としてあった日本経済をめぐる「通説」は果たして正しかったのか。元日本銀行理事が、この10年の金融財政政策を総括し、新たなフレームを提示する。【「TRC MARC」の商品解説】
「一国の経済成長と密接な関係があるのは、株価ではなくて生産性上昇率である。2010年代も含めて日本を『失われた30年』と言うなら、米国も大局的には『失われた30年』であり、米国の方が途中で少し良い時期があっただけにすぎない。」(本書第2章「正しい『成長戦略』の難しさ」から)
著者は、白川方明、黒田東彦の2人の総裁を支えた元日本銀行理事。現在はエコノミストとして活躍している。デフレ脱却を目指したアベノミクス、日銀による異次元の金融緩和の前提としてあった日本経済をめぐる「通説」が果たして正しかったのだろうか。この10年の金融財政政策を総括し、新たなフレームを提示する。【商品解説】
目次
- 第1章 アベノミクス景気の日本経済
- 金融政策の大転換
- 成長率が最低の景気回復
- ゼロに近づく潜在成長率
- 誠実さを欠く「中長期試算」
- 内部留保のため込み批判は的外れ
- 個人消費はなぜ弱い
- 人手不足でも上がらない賃金
- 格差のマクロ経済的な含意
- 第2章 正しい「成長戦略」の難しさ
著者紹介
門間 一夫
- 略歴
- 〈門間一夫〉1957年生まれ。ペンシルバニア大学ウォートン校経営大学院MBA取得。日本銀行を経て、みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミスト。
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電子書籍
「ゼロインフレの磁力」があるならば
2023/10/22 17:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:象太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日銀には、国債の買い 入れを減額しつつ、それを「緩和の後退ではない」と説明できる魔法のような仕掛け が必要だったのである。その仕掛けこそが、イールドカーブ・コントロールであった。 「短期金利」「長期金利」の二変数で金融緩和の度合いを表すなら、それらの目標水準を変えない限り、国債買い入れの量をいくら減らしても「緩和の後退ではない」 と説明できる。「量」はもはや、それを増やせば金融緩和、減らせば金融引き締めという関係にはない、ということにしてしまったのである。(本書より)
日銀は2022年12月20日の金融政策決定会合で、長期金利の上限を従来の0・25%から0・5%程度に引き上げた。これを巡って市場では、日銀が利上げしたと言ってよいかどうかちょっとした論争になった。市場では、利上げと受け止める向きと、利上げに当たらないという見方が混在した。当時の黒田総裁自身は会合後の記者会見で「利上げではない」と説明したが、約3カ月前の9月26日の大阪市での会見で、長期金利の上限引き上げが利上げに当たるのかとの質問に「なると思う」と明言していて、日銀ウォッチャーの理解を混乱させた。
日銀はさらにその時の決定会合で、幅広い期間の国債を無制限に買い入れることも決めてた。長期金利の上限引き上げは金融引き締めで、国債の買い入れは金融緩和の方向に働く。結局、金融緩和したのか金融引き締めをしたのか。その時の日銀の決定は、市場には分かりにくいものに映った。
しかし、これはどう解釈してもよかったのだ。冒頭の本書の引用部分がそれを示唆している。つまり、市場がどちらに解釈しても、日銀が言い訳できる制度として取り入れたのが、イールドカーブ・コントロールだった。
金利の目標水準を変えなければ国債買い入れの量の増減が緩和と引き締めに関係ない。これが冒頭引用部に示した導入時の立て付け。今回は、国債買い入れ増を続けるなら金利の目標水準を変えても緩和である、と理屈をずらした。イールドカーブ・コントロールは、金融緩和を続けているという建前を維持するための「二枚目の舌」なのだった。
では日銀は、緩和を続けている、という姿勢をなぜ保たねばならないのか。それは、政府・日銀が2%の物価目標を掲げていて、未達だからだ。だが、低成長・低金利の時代の中で2%目標の「物価の番人」たることが日銀のあるべき姿なのか、というのが本書の問いだったと思う。
本書に出てくる「ゼロインフレの磁力」という言葉は印象的だ。過去30年は、インフレ率が多少上昇しても再びゼロインフレ近辺に戻るという現象が見られる。人々にとっての物価の望ましい水準は、目標とする2%上昇より、前年と変わらない「ゼロインフレ」なのではないか。
だとすれば、物価目標の設定はどこか無理があり、目標の達成まで金融緩和を続けるという政策も的外れかもしれない。
経済学の教科書を超えて、ゼロベースで物を見ようとする筆者の観点は大変面白く、その姿勢は敬服する。筆者は白川、黒田と2代の総裁に仕えた日銀の上級幹部で、その時その時の政策の狙いを正確に知悉している。ちまたにあふれる周辺的な立場の憶測的な分析とものが違うのは確かだ。