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アンソロジー10作+競訳余話
現代英語圏の異色短篇ということだけある
真っすぐ歩いてるつもりが後向いてたり、玄関出たら全然知らない場所だったり、面白かったり悲しくなったりハラハラしたり
いろいろ好きなもの持ち寄って、どう?って見せ合ってる自由度
競訳余話がいい感じで挟まれていて、さらにいい
「言葉の暴走を止めない強さ」に唸ってしまう
そして
「娘まみれ」が頭から離れないのよ
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「現代英語圏異色短篇コレクション
岸本佐知子 柴田元幸 編訳」
もう、この文字列だけで読む前から期待値爆上がり(ですよね?)大丈夫!期待を軽々超えてきます。どの作品も、どこかに心を騒つかせるポイントがあるのだけど不思議な気持ちで読み終えると、実に良いタイミングでおふたりの「余話」が有り、一冊で何度も美味しい!タイトルと装丁も大好き!おもしろかった。
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作品紹介・あらすじ
翻訳家・岸本佐知子と柴田元幸が贈る、海外短篇小説アンソロジー。 日本にまだあまり紹介されていない英語圏の8作家による10篇を精選。 対談「競訳余話」も収録。
*****
柴田元幸さんも岸本佐和子さんも好きな翻訳家、しかも本の帯には「『端っこの変なところ』を偏愛する2人の翻訳家が、新たに発見した、めっぽう面白くて、ちょっと“変”な作家たち」とあるので、直ぐに手にとってレジへ向かった。
「アホウドリの迷信」のデイジー・ジョンソン、「アガタの機械」のカミラ・グルドーヴァ、「野良のミルク」他2篇のサブリナ・オラ・マーク、「最後の夜」のローラ・ヴァン・デン・バーグ、「引力」のリディア・ユクナヴィッチがお気に入り。特に「引力」は、戦争の、そしてゴムボートで国を離れる難民の話として読めるのだけれど、岸本さんがこの作品を選んだあとに、ロシアとウクライナの戦争が始まるというなんとも言えないタイミング。
全10篇、どれも一筋縄ではいかないし、ストーリーを読ませるというよりも(短篇だからかも知れないけれど)一種独特の世界観を楽しむみたいな感じになるのだろうか。きちんとその世界のバックボーンが説明されていないので、余計に想像力が掻きむしられることになる。だから面白いのだけれど、多分好き嫌いがはっきり分かれる短篇集だろうな、と思う。
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まだ短編2つしか読んでない
読後、これ何?って頭の中が??マークだらけになるんですが。
競訳余話を読んで、そういう話だったのかと思いつつ、でも変わってるよね、でもなんか好きって思った。
万人受けしなさそう、おまけに2640円は地味に高いので好きな人しか買わなさそうでもあるけど、好きな人は読んで損はしない気がする。
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『柴田)顰蹙を買うのを覚悟で乱暴な一般論を言うと、日本の短篇小説はそういうところが薄いことが多い気がします。もっとストレートに物語を語るところにエネルギーを注ぎ込むから、いいものはいいんだけど、いまひとつなものはあらすじを読んでいるような気になる。逆に英語圏、特にアメリカの小説は細部を丁寧に書き込んではいるんだけど、それだけにもう細部はいいんだけどな、みたいに思うことはある。もちろん例外はいくらでも挙げられるでしょうけど。
岸本)体力の差もあったりするんですかね。
柴田)それはあると思います。』―『競訳余話 Part 3/現実の丁寧な描写が支えている』
この二人が翻訳していることを指標として本を手に取る人は多いだろう。かく言う自分もまたその一人である。柴田元幸といえばポール・オースターだし、岸本佐知子といえば、自分の中では、ニコルソン・ベイカーだけれど、この二人の翻訳を通して好きになった作家は数多い。特に岸本さんの翻訳では、ジュディ・バドニッツやミランダ・ジュライのような想像力を刺激する作家を教えてもらったのは大きいし「変愛小説集」から色々な作家にも手を伸ばした。それになんと言ってもルシア・ベルリン。比較的変わった小説の翻訳が多い岸本さんではあるけれどベルリンの翻訳はシリアスでドライでそれでいてテンダーでとても良かった。これはオースターの元妻のリディア・デイヴィスからの繋がりだね。ご本人のエッセイとしては「気になる部分」や「ねにもつタイプ」のようなバドニッツ/ジュライ系ではなく「死ぬまでに行きたい海」系の岸本佐知子節に近い感じ。
柴田さんがオースターの翻訳をやっているのに対してその元妻のデイヴィスの翻訳を岸本さんがやっているのが象徴的だけれど、この二人は似ているようで守備範囲が少しずれている。最近はMonkeyも買わなくなって柴田さんの翻訳の滑らかな感じも忘れていたけれど、改めてその翻訳の良さを味わう。もちろんそんなことは分かっているのだけれど、柴田さんの翻訳を読んでいると作家の顔よりも柴田さんの顔が浮かんでしまうんだよね。それでリチャード・パワーズにも中々手が伸びなかったし、少し距離を置いたりしたのだけれど、今回集められた作品の翻訳を読んで改めてその日本語の良さを再確認した。それにここに選ばれた作家もこれまでとは少し傾向が違うようにも思う(その辺りの種明かしは、お二人の余話でたっぷりと)。最初に置かれたレイチェル・クシュナーの短篇こそどことなくオースターの雰囲気があるけれど、その他の三人は岸本さんが選んでいても良さそうな作家。その若干の意外性と翻訳の確かさがこの本の収穫の一つだろうね。
そして相変わらず一風変わった作家を取り上げる岸本さん。表題作「アホウドリの迷信」のデイジー・ジョンソンはバドニッツ的妄想系。新作が出なくなって暫く経つけれどバドニッツの新しいのを読みたいなあという気にさせられる。その他「月の部屋で会いましょう」のレイ・ヴックサヴィチをどことなく彷彿とさせる妄想系がずらり。でも柴田さんとの対談でも話題になっているように現実の細部が丁寧に描かれ作品の世界を立体的にしているので、妄想が現実の世界と地続きな印象となりふと恐ろしくなったり可笑しくなったりするところがよい。そういうのってちょっと小川洋子の妄想系の作品と共鳴するところがあるようにも思う。こうなると紹介された作家の作品がもっと読みたくなるところだけれど、このアンソロジーは余り作品が本邦で紹介されていない作家というのがお題になっていて、中々日本語で読むことが出来ないし英語で読むのは時間が掛かるしという「変愛小説集」で味わったジレンマを再び経験することになる。うーん。
とはいえ、あとがきで岸本さんが作風繋がりで紹介している作家はどれも読んでいるので、どれだけ影響受けているんだよと自分に突っ込みを入れたくなったのだけれども。
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集中力が薄れて、短編さえ読むのが大変になってきた私
最初の「大きな赤いスーツケース…」は、デカメロン・プロジェクトの方で既に読んだことがありましたね。
個人的には次の「オール女子フットボールチーム」が好きかな。
LGBT的要素もありながら、終始さわやかな感じがよかったかも。
岸本さんと柴田さんの対談も面白くて、積読減らしたいのに、増えてしまったな…うーん
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日本でまだあまり知られていないまさに、はじっこ の作品のアンソロジー。
作品と作品の間に挟まれる柴田さんと岸本さんの対談も面白い。
こういう本から次に掘っていく作家を見つけるのが楽しい。
巻末の「この作品が好きだったら次はこれを」というリストもやさしい。
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訳者の2人が「面白い」と感じた海外短編を集めた本。異色短編集という名の通り境界が曖昧な作品が多く、不思議な読後感に包まれます。チアリーダーをきっかけに目覚める男性を描いた「オール女子フットボールチーム」冒頭から不可思議な言葉のやり取りが始まる「野良のミルク」が良かった。
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翻訳家の岸本佐和子と柴田元幸が、英語圏のマイナー作家を8人セレクトした魅惑のアンソロジー。
巻末の「この話が気に入った人はこれもお勧め」リストが秀逸で、芋づる的に読みたい本が増えていくのが素敵。
特に気に入ったのは次の三篇
レイチェル・クシュナー「大きな赤いスーツケースを持った女の子」
コロナ禍で、引きこもる人びとが交互に「楽しい話」を語ることに(デカメロン的)
英語の話せないノルウェー人作家が、妻の口を通して自身の体験を語る。間接的な語りと、結末の爽やかさが印象に残る。
カミラ・グルドーヴァ「アガタの機械」
奇妙なクラスメイト、アガタの家を訪れた主人公が、彼女の持つ「機械」の魅力にどうしようもなく囚われていく幻想的な物語。
ローラ・ヴァン・デン・ヴァーグ「最後の夜」
「私が列車に轢かれて死んだ夜の話をしたい」から始まる、三人の女たちの一夜の物語。
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「アホウドリの中に死んだ船乗の魂が入っている」
10代の妊婦は音信の途絶えた迷信深い船乗を待ち,
奇妙な思いに取り憑かれていく。アホウドリの出現が不気味。
オール女子フットボールチーム:性的倒錯
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英米文学の翻訳家の大家の柴田元幸氏と岸本佐知子氏が、ほとんど日本に知られていない現代作家の短編を自由に選ぶという企画で選んだ異色短編アンソロジー。
どちらが選んだ話も、どこか歪(いびつ)で、淡々と不協和音を聞かされているような違和感がある。
短編だから読めてしまうが。
一方で、作品の初めの作家のプロフィールを見ると、どの作家も長編も書いている。長編も読んでみたいなー。
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読み終わった後、原因のよく分からない居心地の悪さを感じ落ち着かなかった。赤いスーツケースとアホウドリの話が好きだったかな。
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短編集。最初の小説が面白くて頑張って最後まで読む。
幻想小説も多くてなんか怖かった。
全ての短編に翻訳者お二方の解説「競訳余話」が挟まっているので読み通せた気がする。
最初の小説が面白かった人へのおすすめとして「舞踏会へ向かう三人の農夫」が紹介されていた。
これ小説だったのか。
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一編あたり20ページ前後の短編10編。
ただ、選者、訳者が柴田元幸と岸本佐知子ときたら、それはもう珠玉だろうと。
二人が選ぶ作品なのでもちろん一筋縄では理解できない不思議な文章のものも多くありつつ、でもそれは短編のいいところ。理解できなくても雰囲気を十二分に味わえ、「辛いかも」って思う前に不思議な読後感のみを残して終えられる。
そんな中でも私は比較的物語の筋がはっきりしている
ルイス・ノーダン「オール女子フットボールチーム」(岸本訳)
レイチェル・クシュナー「大きな赤いスーツケースを持った女の子」(柴田訳)
の2編が好きだったかな。
カミラ・グルドーヴァ「アガタの機械」(柴田訳)もよかった。最後に少しぞっとさせる展開、好きだな。
世の中には、世界には面白い話がたくさん埋もれているなあって、感じさせてくれた。
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岸本佐知子さんと柴田元幸さん。
両氏が、日本ではあまり知られてない英語圏の作者の作品を訳した短編集、と聞いて、これは読まねば!と、思っていた。
柴田さん、岸本さん、お二人の対談と、リズムに乗ってどんどん読み進めていった。
各4作家ずつ訳されているが、どれも「変な」おはなしでワクワク。
「変な」という言葉はお二人の対談でも何度か出てくる。
特に好きなのは『アガタの機械』カミラ・グルドーヴァ、『オール女子フットボール』ルイス・ノーダン、『最後の夜』ローラ・ヴァン・デン・バーグ、『野良のミルク』サブリナ・オラ・マーク。
特に『アガタの機械』は私の大好きな映画『乙女の祈り』みたいな雰囲気で良かった。
翻訳小説を読了すると、「文学読んだ!」感あって、満たされる〜