完全犯罪の恋 （講談社文庫）

４０代後半、独身、恋愛経験は４度、それもここ数年途切れている。華やかさのない生活を送る作家・田中の前に、突然若い女が現れた。そこから高校時代の三角関係を痛みを伴って思い出す日々がはじまり…。【「TRC MARC」の商品解説】

「すごい小説を読んでしまった。
私はこの先も、何度も自分の血を辿るように
この作品を読み返すと思う」
　　　　　　　　　　　　　――紗倉まな

「人は恋すると、罪を犯す。
運命でも必然でもなく、独りよがりの果てに。
その罪を明かさないのが、何よりの罰」
　　　　　　　　　　　　　ーー中江有里

「私の顔、見覚えありませんか」
突然現れたのは、初めて恋仲になった女性の娘だった。

芥川賞を受賞し上京したものの、変わらず華やかさのない生活を送る四十男である「田中」。
編集者と待ち合わせていた新宿で、女子大生とおぼしき若い女性から声を掛けられる。
「教えてください。どうして母と別れたんですか」
下関の高校で、自分ほど読書をする人間はいないと思っていた。
その自意識をあっさり打ち破った才女・真木山緑に、田中は恋をした。
ドストエフスキー、川端康成、三島由紀夫……。
本の話を重ねながら進んでいく関係に夢中になった田中だったが……。

芥川賞受賞後ますます飛躍する田中慎弥が、過去と現在、下関と東京を往還しながら描く、初の恋愛小説。
【商品解説】