紙の本
まさしく「破局」していく主人公
2023/06/01 10:48
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の大学生のことが初めから好きになれなかった、品行方正でスポーツマンで一流大学の大学生、政治家を目指す彼女がいて、曲がったことが嫌いな彼は清く正しい公務員を目指し受験勉強に勤しむ、「私はもともと、セックスをするのが好きだ。なぜなら、セックスほど気持ちのいいことを知らない」、そうストレートに語られても、また、「彼女がいるから他の女性は家には上げられない」とも語る、真面目さが気に食わない、自分の決めたルールは徹底して守り通す、ルールの外には決してはみ出そうとしないお利巧さん、きっとしっぺ返しを喰らうぞとワクワクしながら読み進める、そして、セックスほど気もいいものはない、他の女性を家に入れないというという彼のいわばルールが彼を「破局」へと追い込む、ざまあみろだ、と思っている私は作者にしてやられているのだ
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当たり前のような日常の中で起きた男の悲劇の物語、主筋と全く関係の無い描写も多く、
その行間を読む読者が試されるように感じた。偶然だけどこれを読む前の小説の主人公も灯だった。
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破局 / 遠野遥さん
えげつない。終始気持ち悪く、でも面白くて即読破。「人間」を特異的な視点で描いた一冊。
主人公は慶應の4男。母校の部活のコーチで厳しく指導し生徒を潰す、自分は性欲に塗れて彼女を乗り換えたり、元カノと寝たりと性欲で破滅。
願わくばもう少し性描写を減らしてくださいまし、、笑
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何かしらの規範を基に自分を形づくる主人公の不気味さが文章で上手く表現されていて、とても現代を表していてグッときた。〜だから〜ある、ということのエクスキューズが全く示されていない点がすごくよかった。
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いつから狂った?
気付いた時には手遅れだった。
真面目に見せかけた変態な男の話かと思いながら読み進めたら、不気味な雰囲気の奇妙な展開の話だった。
破局、不快であり深い。。。
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いわゆる今時の、そして、中身の無い男が主人公。ある一組のカップルが出会って別れるまでを描いただけだが、読後のなんか胃に残ってる感じ、芥川賞と聞いて、ああ、なるほどね、と思った。(芥川賞とは若い小説家に権威を与えてこれからを応援するためのものだと個人的に思っている)
文体は客観的だがところどころ描写がわかりにくいところがあり、私の読解力の問題かも知れないが、まだまだ若い作家。これが刺さるのはどんな人なんだろうか。
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陽介みたいなタイプは少し苦手。
自身の思い描く男性性・女性性に対する理想像への異常な執着が随所に見られ、気味が悪かった。
筋肉が男らしさの象徴という理由だけで筋トレしてそう、、
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つい最近彼氏に振られて破局を経験したので迷わず手に取った。
なんかわかるぅっていういやな共感が多かったな
確かに私の方が段々と制欲が強くなったし、元彼と私の境遇が似ていて、こんなこと思ってたのかな、なんて想像を膨らましたり。
とにかく文章がうまい。私の冷徹さ、灯や麻衣子の愛故の歪みなんかを如実に丁寧に表していた。その余のリアルさがぐろかったなぁ
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うーん、ふむ、うーん、、、?ってかんじで、多分私は男性特有の欲求まみれみたいな小説が苦手なのかなーと改めて感じた、村上春樹さんのノルウェイの森とか白石一文さんの僕の中の壊れていない部分とか、性欲丸出しで空虚な人間が主人公の物語が苦手なんよね。やから感想とか書くのはおこがましい、完全に苦手分野なので感想とか書けない。好きな作家さんの性別とか出身地とかで統計とったら、自分に寄ってしまう可能性が高くなっちゃう気がして、こわい、偏ってるのか、私?好みが偏っている〜世界を知りたいのに、こんなに難しいのか、?
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めちゃくちゃ芥川賞だなって感じの小説だった。特に変態的でもない、男の真っ当な性欲の気持ち悪さをここまで克明に書いているのがすごいなと思った。
「私」の思考は一見すると正しいように思える思考なのに、「私」に対してどうしようもない気持ち悪さを感じてしまう。それがよかったなと思う。
「私」は一人称の地の文さえなければ、文武両道で女性に対して思いやりを持ち合わせている、いい青年であるはずだ。
「女性には優しくしないといけないから優しくする」「同意を得てない性交はダメだからしない」「彼氏だから灯の下着を見てもいいが、彼氏でない人間に灯の下着を見る権利はない」
「私」の行動は、自分の意思がどうこうではなく、社会でこうなっているからこう、といったように、他者の価値観に支配されている。それがとても気持ち悪かった。本当に傍から見たら筋トレ好きの青年なんだけどな……。
真面目で正しい青年の、正しいがゆえに社会常識に縛られすぎている気持ち悪さ、というのは面白いなと思った。
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コンビニ人間が好きな人には面白いはず!と聞いて読みましたが、文体が滑稽で面白かった‼️出てくる人みんな、少しずつ変だよね。主人公の親友的存在の膝というあだ名の友人が、唯一の癒し。たまにはさまれる、膝からの長文メール(LINE?)がたまらない。
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「〜はずだ」という「世の規範」を基準に生きる究極の自己喪失。慶應生で頭はいいのに自我がない。誤解を恐れずに言えば"気持ち悪い"主人公。
自己肯定感はあるように見えたが、それすらもあるべきだという「世の規範」に沿った「模範生」だからなのかな。
性欲が強くなっていって主人公への愛より性を欲していく灯や、別れてから無理やり部屋に押し入ってセックスしてしまう麻衣子は、感情の起伏のない主人公との対比がなされていると思ったし、(彼女らが欲望を持ちすぎとはいえ)主人公の不気味さをより際立たせると思った。
生徒たちにゾンビ理論とかいう持論を熱弁する主人公、恐ろしすぎるでしょ。でも主人公は熱意を持ってしまうほどゾンビとして生きることを正義としているんだよね。怖いね。
一人称視点だからこそ、語り手の主人公の不気味さがある。
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スマートなのか泥臭いのか、どっちなんだろうな。「私」ののっぺりとした感じが、若いし、青いし、世代で一括りにはしたくないけど。そういう世代だなと思った。頭でっかちで、計画的に人生を築き上げている独りよがり感。公務員志望のどちらかというと優秀で、体育会系の勝ち組・陽キャっぽい印象を演じてるように見える。蓋をあけたら、幼いところ、未熟なところ、見た目のマッチョさとは裏腹に繊細で、もろい。前半の彼の人となりにページをさきすぎて「破局」部分が駆け足だった印象はある。
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うーーーーーん、、、?
性欲に人生狂わされたって人の話でしょうか、、?
膝の存在意義とかあんまり分からなくて正直支離滅裂だと感じてしまった
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芥川賞をとった2020年に単行本でこの作品を読んだ。当時は単行本の帯に遠野遥の顔写真がデカデカと載っていて、作品の主人公の「陽介」が脳内で遠野遥の顔で再生されていた。今回、文庫本として3年ぶりに破局を読み、自分なりの「陽介」のイメージができたのと、分かりやすく興味深い解説「ゾンビたちの涙」が付いたのが自分の中ではデカかった。
相変わらず登場人物たちに何一つ感情移入できないまま、ページを捲るたびに言葉にできない気持ち悪さがどんどん増えていった。
ルールへの依存、正しさへの執着。自衛のために選び取られた鈍感さ。「規範」に頼る分、自分の感情がすりつぶされて、それにさえ気づかない。まさに死にながらも自分の痛みや状況に気づかず歩き続ける「ゾンビ人間」。いたいけなチワワは大量の車に押し流され、泣いている子供は人混みの中にかき消される。自分の目の前から消えれば、それで「解決」。もう「大丈夫」。
教えられたから女性に紳士的な態度を取れる陽介は、元カノが夜中に家に来て泊めてくれと言ってきても、彼女がいるからと断りつつも、なぜか目の前の元カノの顔の穴を、鼻の穴を目の穴のことを考える。こわい。ルール的にはダメなはず、という気持ちしかそこにはなく、本人の感情が全くない。
嬉しいときに全力で笑い、悲しい時に全力で泣く、という私の思想と正反対な人間が登場する遠野遥の作品が、私は本当に好き。こわい、こわい、共感できない、と感じながらも、本当に?と自分に問いかける。この気持ち悪さは何だろう。
マイコともアカリとも破局した陽介の行き着く先が怖い。またこの2人もただの記号になるのかな。この世の中はルールが、規範が適用されない瞬間ばっかりで、だからこそ感情や思考が大切になる時がある。それに対応できない人間はどうやってそれに気づいて生きていけばいいの?おもしろい。