紙の本
古代史は詳しくないけど充分楽しめました!
2023/05/13 18:11
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投稿者:ムーミン・パパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「螺旋プロジェクト」全巻読みました!その中でもオススメの一冊です。
日本史は好きだけど、古代史の登場人物〜特に天皇家〜の名前が難解で苦手なのですが、巻頭の系譜図を何度も見返しながら楽しく読み進められました。
次の「螺旋プロジェクト」が楽しみです。
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み物としては面白かったけれど、
物語としては難しかった。
道鏡がいろいろな人から聖武天皇まわりのエピソードを
聞き取っていく形式。
エピソードが積み重なっていくけれど、
ストーリーごとの関わりが読み取りにくくて、読み方が掴めなかった。
神道の家系の中臣氏から出た鎌足(出自はまた別という説もあるけれどさておき)
から始まった藤原氏全盛の時代に仏教に傾倒した聖武天皇の行いを親藤原ととってみたり、
天照大神を無欠の皇祖神のように扱ってみたり、
ちょっとスルーできない時代考証もあった。
ルールの扱いは丁度。
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聖武天皇の遺召を探すために、選ばれた中臣継麻呂と道鏡。
それは本当に存在しているのか?
何故、帝になった安部帝はそれにこだわるのか?
天皇家(山の一族)と藤原家(海の一族)の血を引いた聖武天皇が何を思い、自分の中にある対立するものをどう受け止めていたのか。
螺旋プロジェクトで書かれた作品の一つです。
日本人は血族主義ですから、彼の立場は辛かったのかもしれないなぁと読みながら思ってました。
大仏に関してはいろんな史料があるので、改めて、あの大きな廬舎那仏を作った彼の気持ちは本当はどうだったんでしょうね。
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奈良時代を舞台にした話で、学生の時に習った名前を久しぶりに思い出しながら、聖武天皇という人にすごく興味が湧く作品だった。
螺旋プロジェクトでは4作目だが、聖武天皇という1人の人物の中で海と山を対立させているのは面白かった。
改めて歴史の勉強をしたいと思った。
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母への想いと、出自の葛藤に引き裂かれる帝――国のおおもとを揺るがす天皇家と藤原氏の綱引きを背景に、東大寺大仏を建立した聖武天皇の真実に迫る物語。
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螺旋プロジェクト第2弾。
この「月人荘士」も最初は苦戦しました。人名・地名と役職名が難しかった。ので、フリガナが書いてある所まで、何回も戻ってっていうのをやって。苦戦でした。
でも、この「月人荘士」の世界観になじめると案外読めるようになって。また、おもしろく感じれるようになりました。
主人公は首(おびと)天皇(聖武天皇)。ただ、物語はこの首が崩御されたところから始まります。この首のご遺詔を探し求め、その過程で主人公の首の人間像に迫る、っていう形で進んでいきます。インタビュー形式で物語が進んでいくんですが、新鮮な感じがしました。
螺旋プロジェクトのテーマには「超越的な存在」の出現がありますが、最初は山族たる皇族の血と海族たる藤原家の血を併せ持った首天皇がこの物語の「超越的な存在」かと思ったんですが、そうではなかった。
首は、全き天皇であろうとするのに、自分の中の藤原家の血を憎んでいる。ただ自分が天皇になれたのは藤原家の血があったからこそ、っていう葛藤とか、親族への愛憎などの矛盾を一人で抱え、苦悩していた。日本古来の日輪の裔である天皇でありながら、外国から渡来した仏教に傾倒していったのも矛盾に満ちていたんだと思う。
螺旋プロジェクトは海族と山族の対立が大きなテーマですが、この「月人荘士」は直接的な対立ではなく、首天皇の内なる海と山の対立が描かれていました。
このストーリーの「超越的な存在」は首天皇その人ではなく、佐伯今毛人(さえきのいまえみし)という、一介の地方官吏。ただこの佐伯今毛人は「ウナノハテノガタ」のウェレカセリと同じような身体的特徴を持っていました。
佐伯今毛人はすごいことをやってのけたのではないけど、東大寺周辺の自然のバランスを図らずともやっていたのがなるほど、と思いました。その近くに大日女(おおひるめ)という猟師の少女がいたのが印象的。大日女とは天照大神の別称なんだそう。「超越的な存在」と天照大神を並べて描くって巧いなぁと感心しました。ただ、ここに出てくる大日女と天照大神の関係はないはずなんですが、もしかしたら・・・?って思う何かを感じた気がしました。実際、この佐伯今毛人の章だけ、他の章と雰囲気が違っていたような。
この「月人荘士」も、最初は読み進めるのに苦労しましたが、「ウナノハテノガタ」同様、慣れれば割と読めるようになったし、世界観を楽しめるようになりました。
面白かったです。
螺旋プロジェクト、続けて読んでいきます。
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螺旋プロジェクト、古代編。
首おびと(聖武天皇)が、崩御し、その御遺詔は「皇太子は道祖王」。それに疑問を持つ葛城王が、藤原系中臣継麻呂と道鏡に、その真偽を調べさせる。そこから二人は、首の周囲の人々を訪ねて、彼らから聖武天皇の人となりを知っていく。彼が、何を行い何に悩んでいたかその人生を描写する。
天皇家を山族、藤原家を海族として、螺旋プロジェクトの一編とします。
史実の流れをくみ取り、そうだったかもしれないと思わせてしまう巧さと知識。日本史お詳しい方には、なかなかのファンタジーでしょうか。
私は誰が何だったか調べながらでないとおぼつかないので、思い出から歴史を辿るのは流れを掴むのが難しかった。
今回は、一人の人間(聖武天皇)が自身の身体に流れる山族と海族の血の交わりに葛藤するといった趣向が面白いと思います。
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読了。海と山、自らに流れる血。
亡くなった人物に関する話を聞き集めて明らかになる人物像。
ストーリー、描かれ方、どれも素晴らしい作品だった。
螺旋プロジェクト、ひと通り読まなくてはならぬ!
※評価はすべて3にしています
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聖武天皇はもともと理解しがたい人だと思っていましたが、やっぱり理解できない人でした。歴史ものとしては面白いけれど、螺旋プロジェクトで無理に海と山の対立を盛り込んだのが不自然な気もしました。普通に書かれた方が良かったかも。
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螺旋プロジェクト 奈良時代編。
対立する天皇家と藤原家の両方を血を持つ聖武天皇が苦悩するお話。死後に周辺の人たちの回想によって、主人公を多面的な角度から描いていく手法を取っている(「阿寒に果つ」が同じ手法だったような)。
奈良・平安のドロドロとした争い。誣告、密告、呪い、毒殺、放火…。高校生の時かな、古本屋で買った小松左京の「応天炎上」の3篇が面白く、以来なんども読んでる。その中で聖武帝が何度も遷都したのは地震のせいではないかという説があった。災害があると、権力基盤が揺らぐのはいつの時代も同じか。
古刹や大社に行った際には、昔の権力者たちが作った建築物や庭園(再建されたものが多いのだろうけど)に圧倒されつつ、この太い柱や大きな石はどうやって運ばれてきたのだろうとか、想像しながら見物することにしてる。いつも思うが権力の源って何なんだろう?
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プロジェクトの他の作品とはちょっと違った感じで、海族と山族も抽象的に例え話みたいな感じでしか出てこない。その分、対立する感じに無理矢理感がなくて良かったと思う。
奈良時代、聖武天皇と言われても、無学な自分にはちょっと難しく、新しい名前が出る度に調べて読んだ。
今更すごく勉強になった。
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螺旋プロジェクトの最終作品
やっぱり歴史モノは難しい。
色んな作者の作品に触れられたキッカケになったのは良かった。
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同プロジェクト他作品と違って「海族の人」と「山族の人」間の対立ではなく、その両方の血を引く聖武天皇の内面の葛藤を対立として描いているのが面白かった!
周囲の人々による首様(聖武天皇)語りを聞く形式で話が進んでいって、最後にやっと聖武天皇目線でその内心が少しだけ描かれるんだけど、それがもうしんどくて…。
このプロジェクト、各作家さんが対立というものをどのように捉えてどのように描くのか、その違いがとっても面白いな〜。
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『螺旋プロジェクト』の2つ目の時代である古代が描かれる。
聖武天皇(首)が崩御。
そこから物語は幕を開けて、彼を取り巻く者たちの語りによって展開してゆく。
読み始めは、独特の言い回しと漢字の読みに苦戦した。
読みながら、家系図とルビのふられたページとを行ったり来たり 笑
それでも次第に慣れ始め、「月人壮士」の世界に上手く入り込めば、これまで苦戦していた独特の言い回しの、なんと雅なことか。
其々のキャラクターごとに、血筋を尊び、気品を保とうとする姿に魅せられる。
そして作者である澤田さんの表現の美しさが随所に光る。
「堅く閉ざされた瞼がしんと冷えた半月の如く青ざめていた」
「うっすらと雪を頂いた梯子が明るく輝き、まるで何者かがわたくしを差し招いているかのようでした」
「夕映えの切れ端かと疑うほど赤い蜻蛉が一匹…」
同じ母から生まれたのに、かたや一族の期待を背負った皇太子(聖武天皇=首)、かたや不義を犯した母親のお陰で官位を得た橘諸兄。
若かりし頃その忌々しさに橘諸兄は、皇太子の拝朝の儀式の際、ただの白い雲を指差して「慶雲が出ておるぞ」と大声を張り上げる。
人々はその声に反応し、何の変哲もない雲であるのに「慶雲だ!」と騒ぎ立てる。
その馬鹿馬鹿しさを、橘諸兄は心の内で嘲笑う。
しかし年老いた今、橘諸兄は「あの強く哀れな首さまは、日輪であるとともに月輪。まさにこの国を覆う天そのものの如きお人」だと首を敬っている。
首は崩御の際、次の皇太子は道祖王にとの遺言を残した。
しかし橘諸兄は、これまで目立った活躍もなかった道祖王を抜擢した事が首の本意と思えず、二人の男に調べるよう命ずる。
中臣継麻呂と道鏡だ。
その二人の訪問を受け、人々が持回りの章で話をするのだが、
皆、いつしか己の胸の内をさらけ出し、独白のように滔々と語り出す。
そこで露になるのは、首を取り巻く人々の愛憎と悲哀。
天皇家は山族、藤原氏は海族との設定はあれど、争いは最早それだけに留まらない。
同じ血縁故の競いあいや、それによって芽生えた悔しさ、疎ましさが、複雑に絡んでゆく。
そこに絡むのは、男児を産めと求められた女子だけではない。
首に仕える者や僧までもが、今後の身の振り方を案じてざわつく。
雅な宮城は伏魔殿であり、皆、権威に魅せられた者と、その犠牲者だった。
75ページ、首の母である宮子の「首、首。哀れな子。……ならばあの首は結局、山の形を借りただけの不完全な皇子なのだわ。」は、呪いのように響く。
誰もが次の帝との血縁を求め、嫁に出した妹さえ役に立たぬと思えば見限り、別の女子を差し出す。
次なる天皇の母になるべき唯一の存在と育てられながらも、男児を産めなければ所詮代わりのきく駒でしかないという事実。
94ページ以降、光明子が自らを語るシーンは苦しく悲しい。
読み進めるほどに、雅できらびやかであるはずの都に暮らす人々の哀しみが益々露になってゆく。
物語の後半、『螺旋プロジェクト』の共通ルールである、何���が壊れる時に始まる対立をめぐる会話。
本作では蜂蜜湯を入れた玻璃杯が、がしゃりと砕け散る。
「人の心というものは、ぐるぐると渦を巻く川瀬の如く、優しさと険しさを同時に胸の中に納めてしまえるものなのかしら。だとすれば人の争いとは、どれだけ歳月がながれようとも、決してなくならないものなのかしら」
読み始めはただ確認の為だけに見返していた無機質な家系図が、
悲しい運命の曼荼羅に見えてくる。
物語を読み進めるほどに、どの人物の背景もみな悲しい。
人々がたまに口にする山海の例えは、『螺旋プロジェクト』の設定である種族というよりも、神話的に聞こえる。
「この国に深く深く根を下ろした山が、自ら海原に向かって崩れ落ちるようなものではございませぬか」
これまで読んできた『螺旋プロジェクト』の作品達における、山海両方の特徴を持つキャラクターは超越的で、何かに脅かされることはなかった。
本作の聖武天皇(首)がそれに値する存在なのか?
だとすると今回初めて、山海両方に翻弄される哀れな1人の人間ということになる。
それはおかしい。
天皇家と藤原氏の両方の血筋を引いているけれど、振り回され過ぎやしないか?
しかし私のその疑問は「その八 佐伯今毛人」で、意外な方向から唐突に解決する。
作者の澤田さんは、最後の最後までドラマチックに仕立て上げてくれていた。
タイトルが回収された時、争いの種を我が身の内側に抱えた首の、孤独で哀れな運命を思わずにいられない。
聖武天皇(首)の真意はどこにあったのか?
彼は山の血(天皇家)か、海の血(藤原氏)か、それとも山海を交えた存在か?
そして、お守り(木片に渦巻きのような模様が彫られたもの)はどこで登場するのか?
このお守りは澤田瞳子「月人壮士」、乾ルカ「コイコワレ」、天野純希「もののふの国」の3作品を繋ぐ共通モチーフであり、
所有者が命の危機に直面した時、1度だけ身代わりになってくれるという。
どのように、誰の手に渡るのか?
いつの間にか当初の読みづらさも忘れ、夢中で読んだ。
そして何とも言えぬ哀れみと深い感動を持って本書を閉じた。
これまで読み終えた『螺旋プロジェクト』作品と同じく、とても良く出来ていて、読み応えもあった。
そして何よりどの時代の作品においても、懸命に生きている登場人物たちが愛おしい。
【追記】
いつもの事なのだが、私は小説を読むのと同時進行で、スマホのメモ帳にブクログの為のレビューを書き出す。
そうしないと、そのシーンを読んだ時の生の感想が、読了と共に消えてしまいそうだからだ。(記憶力の低下とも言う 笑)
単語のみの時もあれば、書きかけの文章の時もあるけれど、とにかく自分の心に湧いたものをメモして、後で整理しながら感想文としてブクログにアップしている。
小説を読み終えてからの後書きも楽しみの1つなのだが、今回は文芸記者である佐藤さんの後書きの中の、澤田さんの言葉に嬉しくなった。
と言うのも、私がレビューの中で用いた曼荼羅というフレーズを、澤田さんが使っておられたからだ。
作者である澤田さんが込めた想いを、少しでも読み取ることが出来たのではないかと、
本書「月人壮士」を心の中で抱き締めた。
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難しかったけど面白かった。
海と山の戦いが、こういう表現もあるのかと思った。
夕暮れの話とか、共通認識になってるシーンが分かりにくくて、どのシーン!?と何度かページペラペラしてみたけど、あまり分からなかった(+_+)
登場人物たちがこのお話のあとに辿った運命を思うと切なくなった。