紙の本
難しい!でも面白い!
2023/05/13 17:35
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ムーミン・パパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
はっきり言って文系の私にはついて行くのがやっとです。でも内容は非常に興味深く、何度も見返してしまいます。「今の精神科医学ってこうなってんだ…」理解が及ばないまでもついつい引き込まれる内容でした。
紙の本
精神病・発達障害の最新医療研究が分かる、盛り沢山の内容です。
2023/04/25 14:44
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
統合失調症・双極性障害・うつ病といった精神病や発達障害などの病気に対し、最新医学はどこまで研究が進んでいるかが、当書を読めば分かります。
多数の研究者による共著です。内容は極めて盛り沢山で、読み飽きません。値段に合った、濃い内容です。
投稿元:
レビューを見る
感想
心も風邪を引く。仕組みがわかれば治療可能な病気となる。本人だけでなく社会にとっても重要。偏見をなくし支え合える世界を作る一歩。
投稿元:
レビューを見る
レビューが追いつかない…
新生活が始まってすぐにゴールデンウィークに入って、そのまままた新しい一週間が始まった。
仕事も、楽になったはずの通勤にもあんまり慣れなくて、なかなか読書の時間がとれない。当然、レビューを描く時間なんてもっととれない。
先月読み終わった作品のレビューを、今さらながらに描いてみることにする。
これだけ医学が進歩しても、未だに解明されていない、うつ病、統合失調症、発達障害などの精神疾患の謎に迫った作品。
無事精神保健福祉士の資格を取得したわたしとしては、とても興味深い作品として手に取った。
(みなさん本当に応援してくださりありがとうございました!)
細胞学、遺伝学、神経学など、それぞれの専門家がそれぞれの立場で、最先端の研究をもとに、精神疾患の謎に迫る。
どのように発症するのか。
脳の、細胞の、神経の、どの部位が反応しているのか。
日々、実験を重ねる。
途方もないことだなと思う。毎日仮説検証していく日々というのは。
だからこそ、そこから得られる発見はとんでもないことで、山中伸弥さんが発見したiPS細胞は、こうした研究を重ねる人たちにとって、とてつもない成果だったことがわかる。
ただ、分かりやすく描かれているとはいえ、やはりすごく読むのに労力というか脳みそを使う作品で、かなりエネルギーを使った。
「シナプス」なんて言葉も、精神保健福祉士の勉強の中で触れたものの、当時教科書のどこを見ても鼻と鼻クソにしか見えない図しか載っていなくて、全然分からなくて、結局理系の知人に猿でも分かるように解説してもらったのだ。結局、脳の話に触れるには、まずはこの「シナプス」を理解しなきゃならない。わたしはそうやって事前に知人から聞いていたから、この作品の冒頭でシナプスが出てきた時になんとなく読み進めることができたけれど、その後出てくる塩基配列やDNAについて触れられている部分なんかはもう大苦戦!
各専門分野で、精神疾患について分かってきている部分も増えてきている。ただ、現在のように、体調不良を抱えた患者が病院を訪れ、自分の症状を伝える、というやり方では根本的な原因が分からず、対処療法にしかならないのだ。
その体調不良(例えば、抑うつ状態)の原因が、脳にあるかもしれないし、遺伝子にあるかもしれないし、環境にあるかもしれない。もしくはそれら全てが関与している可能性だってある。それらは、患者が自分の状態を伝えるだけでは見えてこない。さらに、それを伝えたところで医者がそれをどう捉えるかもわからない。ここで紹介されている研究が実用化され、誰でも平等に検査が受けられて、ふさわしい治療を受けられることができるようになるには、どうすればいいのだろう。そしてそれには、何年かかるのだろう。
例えば、ここで様々な分野の専門家が発表した最先端の実験結果を、それぞれの分野の専門家が共有して「なるほど!」ってなって、また新たな発見があったりするんだろうか。そうやって分野を超えて横断的に精神疾患を捉えた時、精神疾患はもはや精神疾患ではなく、脳の疾患、遺伝子の疾患、とかになっていったりするんだろうか。
わたしにはそこまでの発展的な理解はできなかった。
「なるほどー」と思ったり思わなかったりして、とにかくついていくのに必死だった。
そして今は、新しい職場で、新しい日々についていくのに必死な毎日を送っている。
Help!
投稿元:
レビューを見る
神経変質疾患や、精神病を、脳の機能から分析、対策の進化や、問題に触れる。
各章毎に筆者が異なっていることもあって、幅広い上に、一個一個の掘り下げが深いこともあって、まとまりもなく、逆に浅い感じもして、えー、難しかったです。
ちょっと興味のある人が読むには向いてないかな。
入り口ではあるが、マジに、興味がある人向けな気がする。
投稿元:
レビューを見る
統合失調症、双極性障害、ASDやADHDといった発達障害、PTSDなど、「心の病」についての脳研究がどこまで進み、それが治療にどう生かされるかという最先端の研究を平易な形で述べられた本。平易といっても現在の研究は分子医学であり、理解が難しい。多少、臨床に生かせれそうな知見もあるが、精神疾患自体が単純な遺伝的要因だけではないため、研究が難しく、その本体に迫るのは困難なようだ。しかし研究者の言葉は明るく、未来は必ず開けるという姿勢には好感が持てた。
投稿元:
レビューを見る
全12章にわたって脳科学の最新話題を解説。
各章は研究者へのインタビューを元にサイエンス・ライターの立山晃さんが執筆・構成したもの。
最新研究の話題なので、素人にはやや難解だけど、概要を知るのに良かった。
精神疾患が「治る」時代がいつか到来することを願います。
投稿元:
レビューを見る
専門用語満載だけど、分かりやすくて面白かった。
精神疾患を「心の病」だと思っていたが、「脳の病」である。心は脳の働きで生み出されるのだから(そもそもそんな認識がなかったのだけど)、脳の病なのだろう。
でも、この本を「初めから」読んでいくと、複雑な脳のメカニズムやら、なんやら?で、色々あるのに?何故かとても素直に納得できた(不思議だ)
ただ脳はあまりにも複雑で、環境等々様々な影響を受けるし、生きている人間の脳の状態を細部まで調べるのは不可能に近い。このような厳しい状況下で人間界を代表するトップクラスの頭脳の持ち主である数多の研究者たちが模索し根気よく精神疾患を「治る病」にすべく奔走されていることに敬意を払わずにいられない。
投稿元:
レビューを見る
12の先端研究が「こころの病気」もなんらかの物理的異常に由来することを可視化する
国内の12の先端研究を研究者自らが解説する形式なので「かなり高度」。医師や医学生、あるいは生物学の研究者向けの本と考えたほうがいいくらいのレベル。しかし、かなりバラバラな研究の寄せ集めでもある。入口としてはいい。この先、診療をやりながらこの本に書かれていることが実用化されていくのを実感するときが来ると面白い。
第1部は病因論の総論3題
第1章 シナプスから見た精神疾患(研究者リンク)
第2章 ゲノムから見た精神疾患(研究者リンク)
第3章 脳回路と認知の仕組みから見た精神疾患(研究者リンク)
シナプスにおける「グルタミン酸」と「ガンマアミノ酪酸(GABA)」の関係、シナプス可塑性など基本を学ぶ。ゲノム領域の研究手法ーNGS時代の研究。もう一度回路にもどって。
第2部は実際の疾患とその原因を探る研究3題
第4章 慢性ストレスによる脳内炎症がうつ病を引き起こす?(研究者リンク)
第5章 新たに見つかった「動く遺伝因子」と精神疾患の関係(研究者リンク)
第6章 自閉スペクトラム症の脳内で何が起きているのか(研究者リンク)
第7章 脳研究から見えてきたADHDの病態(研究者リンク)
うつ病の化学説。動く遺伝子「レトロ・トランスポゾン」→LINE-1、これは面白い。なんとヒトDNAの半分近くが動いたあとの遺伝子の残骸。ADSモデルマウス。ADHD、他人ごとではない。
第3部は治療とからめた研究5題
第8章 PTSDのトラウマ記憶を薬で消すことはできるか(研究者リンク)
第9章 脳科学に基づく双極性障害の治療を目指す(研究者リンク)
第10章 ニューロフィードバックは精神疾患の治療に応用できるか(研究者リンク)
第11章 ロボットで自閉スペクトラム症の人たちを支援する(研究者リンク)
第12章 「神経変性疾患が治る時代」から「精神疾患が治る時代」へ (研究者リンク)
メマンチンによる海馬記憶のコントロール。神経変性疾患が2010年頃から治る病気になり始めている!
投稿元:
レビューを見る
さすがのブルーバックス、素人目線では専門的なお話が多く、理解するほど読み込めませんでした。
「どうすれば治るのか」については、あまり身近にできそうなことは少なく、まだまだ研究段階なのだなという印象でした。
投稿元:
レビューを見る
一読では充分理解しきれないが、心の病気を医学的に理解できれば、心の病気を持つ人を理解するのに役立つのは間違いないと感じる。再読再再読して、理解を深めたい。
投稿元:
レビューを見る
心の病、精神疾患は、身体の病気に比べて、とかくわかりにくい印象がある。
それは、精神疾患に関わる「脳」が複雑な仕組みで働いており、その全容の解明が困難であることに一因がある。
しかし、脳を知る「脳科学」の研究はさまざまな面で進んできており、精神疾患の治療も進歩してきている。そうした最先端を紹介しようという1冊。
第1部では、脳の仕組みを解説し、シナプス・ゲノム・脳回路という3つの階層から疾患がどのように生じるのかを見ていく。
第2部では、脳の変化が「心」にどう作用するのかを、ストレスや遺伝子変異、外部環境と関連して考察する。
第3部では、対症療法でない、精神疾患の治療法への道筋。PTSD、双極性障害、自閉スペクトラム症といった疾患を、薬剤やニューロフィードバック(脳血流や脳波のリアルタイムのフィードバックを通じて、特定の神経活動が自己調整できるようにトレーニングする手法)、ロボットを使用して治療することを目指す。
各章、別々の研究者が執筆しており、紹介される手法や対象疾患が多種多様であるのが特長。
全体に、意外に進んでいると感じると同時に、まだまだ未知数が多いという印象を受ける。
脳の機能が複雑であること、適切なモデルが作りにくいことがやはり脳研究が困難である所以だろう。
ニューロフィードバックは、例えば、ヘビを見て怖いと思うような恐怖反応を軽減させることにもつながるようでなかなか興味深い。一方で、この手法がうまく行った場合、悪用されて思わぬ方向に意識を捻じ曲げられるような事例が出ないのか少々気になる。
なかなか一朝一夕には進まないのだろうが、様々な方向からのアプローチを積み重ねていくことで、時に目覚ましい発展があるのがこの分野であるのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
第4章 慢性ストレスによる脳内炎症がうつ病を引き起こす?
第8章 PTSDのトラウマ記憶を薬で消すことはできるか
第11章 ロボットで自閉スペクトラム症の人たちを支援する
が、興味深かった。
慢性ストレスを受けることで、脳内で分泌されるホルモンが、身体に変化を及ぼしていること。
これは、経験的にはみんな分かってることだとは思うけど、それが科学的に証明されているなんて朗報だと思う。
トラウマ記憶を薬でコントロールできてしまうこと。
そんなところまで精神疾患の研究が進んでいることは驚きだ。恐ろしいような、気になるような。「恐怖記憶の不安定化」や「恐怖反応の消去」に関する治療法も知らなかったので面白かった。
自閉スペクトラム症の人が、人間よりロボットとのほうが、目を見る頻度が高いという研究結果も傾向が顕著すぎて面白い。個人的には「人は人によって癒されていく」ということを信じていたいのだが、このことを応用することでスムーズに社会に適応していくリハビリができるのなら、それもありなのかもしれないとも思う。
投稿元:
レビューを見る
なかなか読み通すのは大変ではある。
でも、精神疾患についての研究の現在の、一角は見えてくる。
パーキンソン病やアルツハイマー、ALSなど、脳細胞が大量死する「神経変性疾患」は、脳そのものの変化から診断される。
けれども、精神疾患は、従来確認できる脳の異常がなく、症状から判断するしかなかった。
そのため、ある症状が主症状なのか、他の障害から来る二次的なものなのかの判別も難しく、投薬その他の治療がうまくいかないこともあったという。
本書は、そういった精神医療の困難に対処するため、さまざまなアプローチの研究が発展したことを紹介していく。
脳の神経細胞のはたらきを解明して、神経の情報伝達回路の変調を調べる研究。
疾患の発症に繋がりやすいゲノム変異を探る研究。
環境要因としての慢性的なストレスや身体的な不調から脳内炎症のつながりを見て、疾患の原因をつきとめようとする研究。
ニューロフィードバックの新手法を用いて、PTSDの治療につなげるという研究や、ASDの子どもたちの社会性を発達させるためのロボットを用いた療育の研究なども紹介されている。
脳の報酬系を操作して感じ方を変えていくニューロフィードバックは、ちょっと恐いような気もするけれど。
過去には見えなかった変調がfMRIなどの新しい技術で見えるようになった。
その成果の一つでもある神経伝達の特性についての研究が進めば、創薬にもつながる。
治らないと言われていた精神疾患も、やがて治る時代がくるのかもしれないと思った。
「障害」であるASDやADHDも、この障害への認識は今後変わっていくのかな、と感じた。
ASDはスペクトラムだと近年よく強調されている気がする。
本書を読んで、ADHDもそれに近いものなのかな、と思った。
本書で紹介される研究にこんなものがあったからだ。
子どもの頃そう診断された人で、大人になってもそう診断しうる状態の人は6人に1人。一方、大人になってからADHDの症状が出てきた人で、子どもの時そう判断できる症状があった人はわずかだったという。
たしかに、自分について考えても、子どもの頃よりかなり集中力を欠いていることが増えてきた気がするし・・・。
患者さんの苦痛が少しでも減っていくのは間違いなく喜ばしいことだ。
ただ、新しい知見や技術を受け、社会がどうしていくのかは、また別の問題。
健康な人を基準とした社会に、病や障害を持った人を無理矢理適合させるなんてことにならないようにしたい。
投稿元:
レビューを見る
ややハードな内容であったが、論文を読んだときのような満足感があり、現状で最先端の研究を知れたのではないかと思う。とくに、自閉症で見られる感覚過敏の仕組みが興味深く、また、ロボットとのコミュニケーションについてはなるほどなと思った。統合失調症の幻覚や妄想についても、シナプスの発火するタイミングが関係している可能性があることを知れてよかった。