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人間の条件 (講談社学術文庫)
「労働」「仕事」「行為」という3つの活動の絡み合いの中で「世界からの疎外」がもたらされるさまを描き出した古典。科学と技術に翻弄され続ける人類の行く末を考えるためには不可欠...
人間の条件 (講談社学術文庫)
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商品説明
「労働」「仕事」「行為」という3つの活動の絡み合いの中で「世界からの疎外」がもたらされるさまを描き出した古典。科学と技術に翻弄され続ける人類の行く末を考えるためには不可欠なハンナ・アレントの主著を新訳。【「TRC MARC」の商品解説】
1957年10月4日、ソヴィエト連邦によるスプートニク1号の打ち上げによって、人類は初めて人工衛星を軌道周回させることに成功した。これは「その重要性において並ぶもののないこの出来事」だったが、「奇妙なことに、湧き起こってきたのは勝利に満ちた喜びではなかった」――翌1958年に英語版が出版された『人間の条件』は、そう始まります。こんな書き出しをもつ哲学書は前代未聞と言えるでしょう。
では、人工衛星の実現が人類にもたらしたのは何だったのか。そのとき人類は「これでようやく「地上という牢獄から人間が解放される第一歩」が踏み出されたという安堵の念」を抱いた、と本書の著者ハンナ・アレント(1906-75年)は言います。確かに、人々は「地上」で十数年前まで激しく戦われていた二度目の世界大戦がもたらした凄惨な状況を鮮明に記憶していたことでしょう。その悲劇を引き起こした原因を、アレントは7年前に大著『全体主義の起源』(1951年)で分析してみせました。今や、それを「人間の生活(生)」という観点から哲学的に考察することを企てたのが、本書『人間の条件』にほかなりません。
科学と技術の進化によって実現された地球からの脱出――それは、アレントから見れば、「地上」の世界からの「飛翔(flight)」であるとともに「逃避(flight)」でもありました。その二重の意味を込めて、アレントは「世界からの疎外(world alianation)」と呼びます。その疎外はいかにして始まり、人間の生(生活)をいかに変えたのか。この問いに答えるために、アレントは人間の生活(生)の重心が「観照的生活(vita contemplativa)」から「活動的生活(vita activa)」に移行したことを明らかにします。その上で「活動的生活」を「労働(labor)」、「仕事(work)」、「行為(action)」の三つに分類し、それらの絡み合いの中から科学と技術が生まれ、進化を遂げるに至る道筋を細やかにたどっていくのです。
本書が書かれてからすでに半世紀以上が過ぎ、科学と技術は当時では想像もできなかったほどの飛躍的な進化を遂げています。AIの登場によって「人間」とは誰なのかが不分明になりつつある現在、「人間の条件」を考えることの重要性と必要性がさらに増していることに異論はないでしょう。長らく待望された本書の新訳を、第一人者による正確にして平明な日本語でお届けできる時がついに訪れました。
[本書の内容]
プロローグ
第I章 人間の条件
第II章 公的領域と私的領域
第III章 労 働
第IV章 仕 事
第V章 行 為
第VI章 活動的生活と近代
謝 辞
訳者解説
索 引【商品解説】
目次
- プロローグ
- 第I章 人間の条件
- 1 「活動的生活」と人間の条件
- 2 「活動的生活」という用語について
- 3 永遠と不死
- 第II章 公的領域と私的領域
- 4 人 間―社会的動物か、政治的動物か
- 5 ポリスと家政
著者紹介
ハンナ・アレント
- 略歴
- 1906-75年。ドイツに生まれ、アメリカで活躍した哲学者・政治思想家。主な著書に、本書(1958年)のほか、『全体主義の起源』(1951年)、『革命について』(1963年)など。
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新訳
2023/05/27 13:27
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:青空 - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前、ちくま学芸文庫の翻訳を読んで
今回、新訳が出て読むことにしました。
内容は変わらず難解ですが
翻訳によって同じ内容でも捉え方が変わるような気がして、作品対して新しい印象を受けました。
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アーレントの源流
2023/03/13 10:52
4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハンナ・アーレントと言えば大著『全体主義の起原』が有名だが、その源流にあるのは、人間本質である。それは、アーレントの政治哲学そのものの源流と言って良いだろう。それが本書『人間の条件』である。