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紙の本
囚われの山 (中公文庫)
著者 伊東 潤 (著)
199人の犠牲者を出した八甲田雪中行軍遭難事件。120年前の痛ましき大事件に、歴史雑誌編集者の男が疑問を抱く。すべての鍵を握るのは、白い闇に消えたひとりの兵士。男は取り憑...
囚われの山 (中公文庫)
囚われの山
05/02まで通常968円
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商品説明
199人の犠牲者を出した八甲田雪中行軍遭難事件。120年前の痛ましき大事件に、歴史雑誌編集者の男が疑問を抱く。すべての鍵を握るのは、白い闇に消えたひとりの兵士。男は取り憑かれたように八甲田へ…。長篇ミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】
世界登山史上最大級の遭難――一九〇二年の八甲田雪中行軍遭難事件。一九九人もの犠牲者をだした痛ましきこの大事件に、歴史雑誌編集者の男が疑問を抱いた。鍵を握るのは、一二〇年前の白い闇に消えてしまった、ひとりの兵士。男は取り憑かれたように、八甲田へ向かうのだが……。未曽有の大惨事を題材に挑んだ長篇ミステリー。〈解説〉長南政義【商品解説】
著者紹介
伊東 潤
- 略歴
- 伊東潤
一九六〇年、横浜市生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。外資系企業に勤務後、経営コンサルタントを経て二〇〇七年、『武田家滅亡』でデビュー。『国を蹴った男』で第三十四回吉川英治文学新人賞を、『巨鯨の海』で第四回山田風太郎賞を受賞。そのほか文学賞多数受賞。近著に『一睡の夢 家康と淀殿』がある。
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紙の本
天は我を見放したかに謎あり
2023/06/21 09:05
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投稿者:okh - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本陸軍の対露戦を想定した雪中行軍演習にして登山史上最悪と称される遭難事件。新田次郎の小説はベストセラーになり、映画化もされ、なんとテレビドラマも放送された。映画は高倉健に北大路欣也と、やはり俳優の力量は大きいのだなあと、改めて思わされた。
この小説のほうは、歴史的事実と残された謎を題材に、ミステリーに仕上げた巧みさは、思わずうなった。オチの部分は人によって評価は分かれるだろうが、深く考えずに楽しむというスタンスで読めば、問題なし。
手あかのついた歴史を新しくよみがえらせ、後世に伝えるという意味では、フィクションの役割は大きいものだと改めて思う。司馬遼太郎の代表作、「燃えよ剣」で土方を付け狙う剣客も架空の人物だし。
登山者の火山ガスによる死亡事件はいまもあり、山には今も謎が多いが、八甲田山遭難事件も、その責任や、組織と軍政の評価をめぐる問題など、あいもかわらず現代の日本にも引き継がれており、最近のニュースを見ても、デジャブな感覚に襲われることがある。人間の起こす大きな事件・事故のきっかけって、ささいなことからおこるものなのだと、つくづく思わされた。