紙の本
特捜部Q カールの罪状
2023/11/29 08:00
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投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヤコブスンの過去解決できなかった捜査をカール、ローセ、アサド、ゴードンの特捜部Qが解決するシリーズです。今回の敵はシスルで猟奇的な殺人を繰り返す準備も周到な女性だった。カールのこだわりで最後まで追い詰め犯人を捕まえた。一方過去のくぎ打ち機事件の罪を着せられ指名手配中の中での奮闘であり、次回カールが逮捕されながらどう対応していくのか楽しみです。来年になると思いますが、次回作も期待しています。
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特捜部Qシリーズ。一人の女性が自殺した。息子を亡くしたことで精神が壊れ、誕生日に自殺した。その息子が死んだ爆発事故を調べなおすうちに他にも類似した事件がいくつも見つかる。同時に過去のカールの事件、釘打ち事件が新たな展開を見せる。カールは容疑者として警察に追われてしまう。
現実の社会問題を作中でも取り入れている。コロナ禍における捜査への影響を描写し、正義マンが暴れる。安定して面白いが、本作は最終巻への前日譚の意味合いが強く、事件は犯人が判明してからのたたみ方が駆け足で、長いが薄っぺらく感じた。
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続きが読みたいのか読みたくないのか、はっきりしなくなってしまった。
だって、特捜部Qが次回で最終回だなんて!
シリーズは最初から10作構成で考えられていたという。
読者もわかっている。
ローセの過去が描かれ(『自撮りする女たち』)、アサドの過去が描かれ(『アサドの祈り』)、そろそろ主人公カールの番かなと予想はつく。
見れば本作の帯に書かれているではないか。
『あの未解決事件がカールを追いつめる』
ああ、ついにあれだなと、シリーズ・ファンは頷くだろう。
「ステープル釘打ち機事件」と呼ばれるあのあれだ。
シリーズ最初から時々出てくる、真相のわからないあの事件だ。
あのあれが、ついに! と思って読み出したら――拍子抜けするかもしれない。
過去のことが出てくるのだが、あのあれではない。
ヤコプスン課長がずっと引っかかっていた、30年以上前の出来事である。
事故だか事件だかもはっきりしないこれを、もう一度調べようというところから話は始まる。
調べるのは、特捜部Qの面々だ。
ローセ、アサド、そしてゴードン。
どこから手を着けるか、どうやって調べていくかを見るのが興味深い。
カールと彼らのやりとりが楽しい。
カールの、口には出さない文句がおかしい。
調べて出てくるものが重くとも、彼らの様子で笑うことができる。
原題は『Natrium chlorid』――『塩』だそうだ。
何がどう塩なのかは、読んでのお楽しみだ。
そして、あのあれは、ステープル釘打ち機事件は、出てくる。
ちょっと遅れて出てきて、たしかにカールを追いつめてくる。
ああ、これは・・・・・・次も読まなくてはならない。
楽しみにしてとは言えないが、待っている。
心待ちにしている。
それまでは、シリーズを読み返していようか。
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待ち焦がれているもの、第二弾。特捜部Qの新作です。シリーズの9作目。10作完結という事ですから、今作を入れて、残り2作です。どのようなエンディングに繋げて行くのかが、興味深い所です。そして、毎度の事ながら、かなりのボリュームです。
ストーリーは、殺人捜査課課長ヤコプスンが、過去の事件の再捜査を特捜部Qに依頼します。自動車修理工場の爆発事故現場に塩の山が盛られていた事が気になるというものでした。そして、塩が置かれていた事件が他にも有った気がするというものでした。
捜査を続けると、次から次に、塩が関係する事故や事件が見つかります。そして、2年に1度、悪名高い独裁者や人道に反する罪を冒した人物の誕生日に合わせて、社会の害となっている人物を事故や自殺に見せかけて殺害していた組織が存在する事を突き止めます。
犯人が、早い段階で明らかにされますので、犯人探しの醍醐味は有りません。本作の醍醐味は、12月26日(毛沢東の誕生日)に合わせて起こる殺人を少なくなる時間との戦いの中で止められるかどうか?犯人に拉致されてしまった仲間のゴードンも同時に救えるかどうかというサスペンスフルな展開です。更に、カールは、ステープル釘機打ち事件の容疑で指名手配されるというピンチにも陥ってしまいます。後半になれば成程、ページを捲る手が止まらなくなります。相変わらずの面白さです。
☆4.7今の所、今年のベストか?この結末にした事からして、ラストは、カール不在の中、残された特捜部Qのメンバーが、ステープル釘機打ち事件を解決するという流れになるのでしょうか?
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シリーズ第9弾。ひとりの女性の死を不審に思った殺人捜査課長から特捜部Qに捜査の指令が。Qのカールたちは捜査を始めるが、思っていた以上にたくさんの事件が絡んでいた。なかなか手がかりがつかめないなか、カールの関わった過去の事件が浮上してくる。シリーズを通して少しずつしか語られてこなかったものが、カールに大きな影響を与える。次作でシリーズは完結で、今作のラストの展開でさらに続きが気になる。
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特捜部Qのお馴染みのメンバーが捜査課長のゴリ押し案件を捜査する内に32年前の爆発事故にたどり着く。現場に残された不審な塩を基にその後2年おきに発生する殺人事件を特定解明する。ロックアウトの人出不足とカールが特捜部に送られたおおもとの事件がブレーキになり、、、と言う展開だが、次作が楽しみな終わり方。一気読みに相応しい作品。
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シリーズ9作目。
デンマークのミステリーは、
ユッシ・エーズラ・オールスンを入門として2017年くらいから読み始め、特捜部Qシリーズは全部読んできた。
北欧ミステリー漁りが始まったのは、
特捜部Qからだと言ってもよいくらいだ。
まったくストーリーとは関係ないけど、
カールがどんどんポンコツになっていき、
ローセがしっかり者になり、
ゴードンも成長したけど、
家族も含めてアサドの行く末が心配。
9作目はトンデモぱっぷんの終わり方というか、
10作目への続け方なんで、次を待たなくてはならない。
シリーズ最終作は、
~カールの罪状~下巻になるのかな。
番外編くらいは出してくれないと、
特捜部Qファンとしては、さびしいかも。
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久しぶりに帰ってきたQのメンバー。
初期の頃のように異様な犯罪を相手にしてぐいぐい引き込まれる。
コロナ禍の社会をしっかり書いている。
自宅待機のになった他部署の事件を押し付けられたり、
ロックダウンで困窮する役者などなど。
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シリーズ完結目前の9作目
コロナウイルスが流行した2020年12月頃のデンマーク
カール は課長のマークス・ヤコスプンから過去の不審な事件の再捜査を託される。事故と処理されたがこれはただの事故ではないのでは? 殺人なのではないだろうか。
マークスから託された事件は塩がキーワード。また、調査によって他にも現場に塩が置かれた事件が複数あることがわかる。
今回は
- 塩でつながっている一連の事件
-女性Aが公共道路で女性Bを殺害し、現場から逃亡した女性Aもまた無残な状態で埋められていたところを発見される事件
- カールに麻薬所持の疑惑がかかって麻薬取締調査に操作される事件
この三つの流れが関わってくる。
塩事件は、雷に打たれたが奇跡的に生き残った化学の秀才が独善的な正義執行に目覚め、デンマーク中のモラルを逸脱した人間を処刑していったことが顛末。
始めはゴミを捨てたとかのマナー違反者を軽く懲らしめる程度だったのが、エスカレートしてきてモラルを逸脱して不正を犯して金儲けをしている人物を殺人をするまでに至る。その過程で組織化され、複数人で事件を犯していった
女性が埋められていた事件の実情は、
その正義執行組織にいた女性たちの仲間割れによるもので、結果、正義執行組織が女性Aを殺害し埋めたというもの。
一方、警察の内部調査の手がカールに迫る。
カール立ち会いのもとにカールの元の家を操作すると、屋根裏から開けられないスーツケースが見つかる。中からは大量の札束が発見。
以降、謹慎して捜査からは外れるように命じられる。
札束からカールの指紋が発見されると、ついに逮捕状が出て警察から追われるようになる。カールは警察から身を隠し、正義執行組織の捜査を続ける。
カール、アサド、ローセ、ゴードン達は、神から選ばれたと勘違いして犯罪を起こしてきた化学の秀才とその組織を塩つながりの一連の事件に残る証拠から追い詰めるが
動きを監視していたゴードンが誘拐される。ゴードンを誘拐したことを知らせるためにカールに送ってきた写真から、これから行われる犯罪現場を特定して、駆けつける
ゴードンはギリギリ救えたものの、悪趣味な番組企画を生み出してきた大物プロデューサーは志望、犯人も自殺
ゴードンはかっこよかった
最後にカールは逮捕されてこの巻は終わる。
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特捜部Qシリーズ第九作。
コロナ禍のデンマーク。
殺人捜査課長は自殺した女性が、
過去の不審な爆発事故で息子を亡くした母親だと気が付く。
再捜査を命じられた特捜部は、
他にも不審な事故や自殺が起こっていることを調べだす。
山盛りにされた塩や塩の袋と塩がからんでいたり、
死んだ日が歴史上の悪人の誕生日だったりと、
なんの意図があるのか。
アサドの家族は一緒に暮らし始めたものの、
心の傷を負ったり、アラビア語を話し続けたり、亡命申請中だったりと、
苦労が絶えない。
そのアサドの家族が国外退去になりそうだとわかって、
ローサがあっという間に課長に怒鳴り込んだのはさすが。
カールの家からコカインと大金が入ったスーツケースが見つかっても、
誰もがカールのことを信じ、
謹慎処分にもかかわらず被害者の家をアジトにして捜査を続けたり、
犯人に拉致されたゴードンの救出に必死になったりと、
チームのメンバーの信頼関係が素晴らしい。
切断された手の写真を見てゴードンの気を失ったのに、
放っておかれたのはかわいそうだったが。
事件の方は、
落雷で十字の傷跡ができて生き延びた犯人が、
復讐の天使として悪者を殺し始めたとか、
復讐のサークルと作って仲間を募っていたとか、
ちょっと現実感がないかな。
娘が産まれてモーナと幸せに暮らしていたのに、
逮捕されてしまい、どうなってしまうのかカール。
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エンタメ度高く、ザ北欧ミステリという感じのヘビーさ。とんでもないシリアルキラー登場で、改めて特捜部Qだなあ、、としみじみ。途中のエピソードでは、レクター博士を思い出すほど。冷静沈着なイメージあったマークが取り乱す取り乱す、、。それほどの手強い相手でした。コロナ禍もリアルに描き出されていて、リモートワーク捜査やロックダウン出てきて、ミステリもポストコロナに完全に突入したな、と感慨深いです。マーク、どうなるんでしょう。次作が楽しみです。
#夏の読書感想文
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過去の未解決事件を解決するのが特捜部Qだが、今回は自殺の事案から始まる。
過去の事件に端を発する自殺であることがわかり、他にも周期的に殺人事件や自殺に見える不審死が連続していたことが分かった。特捜部Qが活動を開始するが、コロナによるロックダウンで思うように活動できない。さらに、特捜部Qシリーズ1作目の事件にからみ、チームの中心であるカール・マークに麻薬取引の嫌疑がかかり、指名手配までされてしまう。
次々と明らかにされる断片的な事実や推論からどんどん捜査が進んでいく。
後半は怒涛の展開で、特捜部Qのチームが一丸となって事件解決に向かってなだれ込んでいく。コロナパンデミック時期のデンマークの状況も垣間見られて面白かった。
シリーズ最終章となる10作目へのブリッジで本作9作目は終わるが、次回作が最終作となることがわかると、少し寂しい。
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特捜部Qの超久しぶりの新作。最初から10作完結と予告されたシリーズでありながら、ここのところ出版そのものにブレーキがかかってなかなか翻訳が日本に届いて来ず、やきもきさせられていたところ、ようやく届いた新作が本書である。これを読み切ると、シリーズ最大の謎である昔の事件の解決編がただ一冊残ることになるのだ。このやきもき感がシリーズ読破を読者に強いていると言っても過言ではない。作者のトリックにむざむざ引っかかっていながら、そのことが嬉しくもあるのが不思議なところだけれども。
終盤に近付いたところで、ローセ、アサドと、話題の中心人物を入れ替えてき第7作・第8作であったが、本書はまだあの謎には一歩も近づかない。むしろ気を持たせたまま、謎の殺人事件をぼくらの前に提示してくるのが本書である。それも現在の事件をきっかけに古い化石のような未解決事件をいくつも掘り起こす作業が本書では待っている。そんなミステリーにはあまりお目にかかったことがないのだが、本書の読みどころは時空間スケールがとても大きいという点に尽きる。
具体的なケースについては語らないつもりなのだが、未解決犯罪専門部署でもある地下に追いやられた問題児ばかりで構成される特捜部Qという前代未聞の部署ならではの犯罪であり、それが単数捜査から複数事件、それもいくつもの、という波乱の展開を見せ始めることによって、やはりこのQシリーズがただものでないことが本書で、またしても明確になってゆく。いや、却って心地よいくらいに新手の警察小説なのである。予測を覆すという意味ではユッシ・エーズラ・オールスンという名前が覚えにくい上に、何とも凄腕過ぎる作家だ。
そして特捜部Qの破天荒さは、いつもながらでユーモラスですらある。暗い事件と残忍な犯罪に挑む彼らの心意気もチームワークの悪さもいつも通りでありながら、その個性がどれも刑事捜査能力に置いて優秀過ぎるゆえに、それぞれが問題児であるという特徴と跳ね返り合って、本シリーズの個性あふれる独自さが際立つというものなのである。
本シリーズは一部、ドラマ化されているのだが、主人公であるチームリーダーのカール・マーク役ニコライ・リー・カースは、ドラマでは少しハンサム過ぎるイメージである。ぼくの頭の中ではジーン・ハックマンみたいな荒くれっぽいイメージ。ローセはドラマも原作通りのイメージで良いな。アサドもまあまあ、である。
さて本書は、未解決事件を掘り起こしてゆくと、奇妙な現象に行き当たるQメンバーたちが、ある規則に気が付いてしまうという仕掛けになっている。とても長い年月に及んで、数年おきに発生している互いに関連のないがそれなりに有名な事件の時間的要素とその組織性。しかしその正確な犯罪システムのようなものが破綻しつつあるかもしれない。何かが壊れ、その真相が見えそうになっている。
シリーズ中でもスケール感のある本書だが、いつもながら特捜部Qの存続に関わりそうな事件でもあり、Q内の人間関係も崩壊一歩手前を疑わせる覚束なさ。事件、いや過去にまで遡る事件群そのものは驚くべき真相を見せ始める。本書の真相は��期にわたって身を隠してきた犯罪者集団と言ってもよいくらいだ。そのスケール感を味わえるのがシリーズ9作目である本書。これまで本シリーズに縁のなかった読者でも引きずり込まれそうなスケールと、少しダウンビートな感さえあるQチームのメンバーたちの落差はいつもながらなので、しっかり楽しんで頂けることと思う。
でも一作目を読むと、必ず次なる十作目まで興味を引きずられる。そんな仕掛けになっているためにまんまと罠にかかったしまったぼくも読者の一人である。仕掛けだらけの玩具箱。そんなシリーズ、さて次なる大団円の十作目。本作ほど待たされなければ幸いである。
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シリーズ9作目。
相変わらずバタバタの特捜部だが、全体的にちょっとマイルドになってきたような。
みんなが突飛な行動をしながら事件解決に向かっていくのが魅力だったが、今回はちょっと物足りない。
次作が最終話。どんな結末になるか楽しみ。
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デンマークの警察官、カール警部補。その彼の掘り下げてゆく昔の一連の事件を解決してゆく、実に闇が深くて痛々しい真実まで気付かされてきたこのシリーズ、様相を変えてきたのは前回の「アサドの祈り」辺りからだったろうか。辛すぎる。
それでも、『カールと愉快な仲間たち』と感じさせられてはいたけれど、今回の最終行は余りにも驚愕。
次の10冊で完結すると意味深い暗示をかけられたわけだけど続きが出るまでまた、焦らされる時間が長く感じる。
今回は正義の天使(堕天使)のストーリー。正義を前面に掲げ粛清を重ねる彼女たち悪も悪なら、その対称となる正義とは?と、考えさせられる内容。
相変わらずの仲間たちのキャラがいい。今回はゴードン。私個人的に申し上げれば、ローセにもっと弾けてほしい!最初の頃のローセ、実に魅力的でしたので。