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紙の本
菓子屋横丁月光荘 6 光の糸 (ハルキ文庫)
著者 ほしお さなえ (著)
家の声が聞こえる守人は、月光荘オーナーの島田から狭山市の古民家を改修した蕎麦懐石店に誘われる。大学の恩師と3人で店を訪ねた守人を待っていたのは、自分が目指すべき道へとつな...
菓子屋横丁月光荘 6 光の糸 (ハルキ文庫)
菓子屋横丁月光荘 光の糸
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商品説明
家の声が聞こえる守人は、月光荘オーナーの島田から狭山市の古民家を改修した蕎麦懐石店に誘われる。大学の恩師と3人で店を訪ねた守人を待っていたのは、自分が目指すべき道へとつながっていく不思議な音との出会いだった…。【「TRC MARC」の商品解説】
家の声が聞こえるという力を持つ遠野守人は、月光荘二階をイベントスペースとしてオープンした後、管理人として慌ただしい日々を過ごしていた。
そんな折、月光荘オーナーの島田から「社会人としての門出を祝おう」と狭山市の古民家を改修した蕎麦懐石店「とんからり」に誘われる。
大学の恩師・木谷と三人で店を訪ねた守人を待っていたのは、自分が目指すべき道へとつながっていく、不思議な音との出会いだった。
大切な過去、つながる縁、そして未来。感動のシリーズ完結!【商品解説】
収録作品一覧
広瀬斜子 | 7−145 | |
---|---|---|
光る糸 | 147−294 |
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紙の本
消えていく家
2024/02/18 00:44
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投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりの月光荘です。
月光荘のイベントスペースとしての活動も軌道に乗り、大学を卒業してそのまま月光荘の管理人に就職した守人は母方の親戚との再会やゼミ生たちとの交流もあり人との絆を深めていっている。
浮世離れした雰囲気はそのままに、それでも他人と積極的にかかわれるようになったのは数々の出会いを通して学び成長したのだろう。
人との出会いはもちろんだが、家の声が聞こえるという特殊能力を持った守人には家との出会いもまた大切なものだった。
ゼミ仲間だった田辺の祖父母が暮らしていた家では昔の養蚕の光景が伝わってきたし、ゼミの教授とその友人で月光荘のオーナーでもある島田に連れて行ってもらった古民家を改装した蕎麦屋では昔機織が行われていたという話を教えられる。
店では「とんとん、からー」という機織の音が響いているのが守人の耳には聞こえてくる。
それは古民家が過去の記憶を再生しているかのようだ。
その古民家の特徴的な柱から、古民家に住んでいた「マスミ」という名の女性の子孫と古民家の縁をつなぐことができた。
蕎麦屋の閉店と共に取り壊しが決まっていた古民家だったが、気にかけていたマスミが何年も前にその一生を終えたこと、その子孫に会えたことで満足したようだ。
「イエ、ナクナル。デモ、イイ。モウ、タクサン、ミタ。モウ、カエル」という古民家の台詞に胸が締め付けられる。
月光荘に出てくる古い家の話を読んでいて思い出すのは祖父母の住んでいた家だ。
古い農家で中庭があって半地下には竈や五右衛門風呂にポンプ式の井戸があり、お米が入った大きな収納庫や台所、木の階段を上がると畳の部屋と水田が見下ろせる縁側、すりガラスの木の扉。
夏休みに何度か訪れただけだが、今でもガラスの模様まで目に浮かんでくるくらいはっきりと思い出せる。
その後改修したりもしたが、今ではもう取り壊されて近代風の家が建っているのだろう。
祖母を亡くし祖父が施設に入ってしまうことになった田辺が祖父母の家に執着する気持ちが自分に重なっていく。
消えていく家があり、形を変えて残る家があり。
そんな姿を形にしようと、守人はカイコの吐く糸に人の一生を読み取ることができる娘を主人公にした小説を書き上げた。
儚い糸でも織れば布になり、周りと繋がっていくことができる。
そろそろ紙屋も川越にやってくるだろうし、川越ワールドの今後が楽しみだ。